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凸版印刷がARを活用した博物館ガイドシステムを開発、スマートフォンのカメラ越しに情報を重ねて表示

システムの利用イメージ

 凸版印刷株式会社は26日、スマートフォンをかざすだけで、実際の展示物にさまざまなコンテンツを重ね合わせられる博物館ガイドシステムを開発し、同日より提供を開始すると発表した。

 今回開発されたのは、スマートフォンのカメラ越しに現実の博物館や展示物を見た際に、そこには実際に存在しないCG映像や解説情報などのコンテンツを重ねて表示させ、現実の博物館における文化体験を拡張するシステム。スマートフォンのカメラで撮影された画像情報から利用者の位置情報を取得するVPS(Visual Positioning Service)技術を活用しており、ARコンテンツを誤差数センチ以内で展示物と重ね合わせ、表示することが可能になったという。

 こうして、従来は紙やボードで行っていた展示説明文がデジタル化されると、面積/スペースの制約がなくなり、今まで以上に多くの情報を伝達できるようになるとのことで、例えば、展示物にゆかりのある近隣地域への案内を行って、文化体験から得た知識や興味を地域回遊に繋げる、といった使い方も可能になるとした。

展示室にARコンテンツを重ね合わせている様子

 また、データベース上で展示物の説明を管理するため、従来は手作業で行っていた展示説明文の更新や多言語対応を容易に行える点もメリット。さらに、施設の混雑状況をスマートフォンやサイネージからリアルタイムで把握できるサービス「nomachi」と連携して、博物館、あるいは併設されたレストランなどの商業施設の混雑状況を画面内に表示することもできる。

 加えて、利用者の鑑賞導線の管理/誘導も「ARミュージアム(仮)」上で行え、より効率的な博物館運営を実現するとした。

 今後は、凸版印刷の遠隔体験技術「IoA仮想テレポーテーション」等のXR技術を活用したサービスをパッケージ化する予定で、博物館運営を始めとしたコミュニケーションビジネス全体において、2025年度までに約30億円の売上げを目指す。

 なお凸版印刷では、今回の発表に先立つ10月13日から、港区立みなと科学館(東京都港区虎ノ門)で開催されている企画展「未来とつながる5G展~社会の多様性を支える通信技術~」の「4G/5Gの速度比較コーナー」に同システムを出展しており、実際に体験できるとのこと。期間は11月7日まで。