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クラスメソッドがAWSと戦略的協業、人材育成や営業活動を共同で実施へ

 クラスメソッド株式会社は4日、米Amazon Web Services, Inc.(AWS)と4年間の戦略的協業契約(SCA:Strategic Collaboration Agreement)を締結したことを発表した。4年のスパンで、特に事業会社に向けた、DXのためのITシステム内製化支援を強化するという。

 日本でAWSとSCAを結ぶのは、NEC(2020年11月)および富士通のモビリティ事業部(2021年5月)に続いて3社目となる。

顧客企業のクラウド移行やシステム内製化などの支援を強化

 10月4日に開催された記者発表会では、クラスメソッド株式会社 代表取締役の横田聡氏と、アマゾン ウェブ サービス ジャパン株式会社(AWSジャパン) 代表取締役社長の長崎忠雄氏が出席。今回の協業の背景や目的について語った。

クラスメソッド株式会社 代表取締役 横田聡氏
アマゾン ウェブ サービス ジャパン株式会社 代表取締役社長 長崎忠雄氏

 今回の協業の目的として、横田氏は「特に、事業会社のITシステム内製化支援を強化したい」と語った。具体的な重点施策は、「クラウド移行および最適化支援」「中堅・中小企業、地方企業向け支援」「SaaS開発・拡販支援」の3点。

 1つ目の「クラウド移行および最適化支援」については、移行と最適化に関わる「AWS移行コンピテンシー」「AWS Well-Architectedパートナープログラム」の2つの認定を取得しており、顧客に活用支援をしていきたいと横田氏は語った。

 2つ目の「中堅・中小企業、地方企業向け支援」については、運用体制や予算の不足といった課題への対策を用意していると横田氏は説明。運用代行サービスによる割引、利用サポートなど、クラウド最適化アセスメント、セキュリティ対策(セキュリティチェックはデフォルトオプション)、トレーニングなどを挙げた。

 3つ目の「SaaS開発・拡販支援」としては、クラスメソッド自身のSaaS開発実績による開発支援や、CPPOによるAWS Marketplaceでの拡販支援を挙げている。

今回の協業の目的
重点施策1:クラウド移行および最適化支援
重点施策2:中堅・中小企業、地方企業向け支援
重点施策3:SaaS開発・拡販支援

顧客企業自身が手を動かすのを支援する

 クラスメソッドは、パートナー企業の中でも最上位コンサルティングパートナーに認定されている。それと今回のSCAとの違いについて尋ねられた横田氏は、「パートナーはあくまで支援だが、SCAはさらにもう一歩踏み込んだもので、極端にいうと、営業活動まで共通の目標の数字を掲げて一緒にやろうというもの」と説明した。

 SCAの契約書の中では、人材の育成や営業活動などについて、その達成目標やミーティングの開催など、具体的な活動まで書かれているという。「単体の活動はすでにやっているものもあるが、ただしそれは別々でやっていた活動だ。それを一緒にやるというのが今回のSCAとなる」と横田氏は付け加えた。

 なぜクラスメソッドが選ばれたかについて、「情報発信力と支援体制が整っていることをAWSに認めてもらった」と横田氏は語った。

 1つ目は技術メディア運営。自社エンジニアによる技術ブログ「DevelopersIO」や、外部のエンジニアによる情報共有サイト「Zenn」を運営して、技術の活用を支援しているという。

 2つ目は、グループ全社員の8割以上がAWS認定資格を保有する点で、それも、ネットワークやセキュリティ、機械学習など、上位の資格も半分以上だという。

 3つ目は、人材提供ではなくノウハウ提供と伴走のスタイル。「クラスメソッドでは540名しかいないのに対し、支援している会社が2000社ある。そこで人材派遣ではなく、お客さまが中心となってやっていく中で、困ったことがあったらクラスメソッドが答えを出すという形をとっている」と横田氏。

 「DXプログラムというと、SIerでは結局、チーム派遣になったりすることもあるかもしれないが、当社では、お客さま自身に手を動かしてほしいと考えている。ただし、事業を回している人がネットワークからアプリケーション、UIまで全部わかるわけでない。そこで困ったことをクラスメソッドが支援するということ」(横田氏)。

 今回のSCAによるクラスメソッド側での達成目標としては、「100億円規模の新規ビジネス創出」と「社内外ハイスキルAWSエンジニア育成」を横田氏は掲げた。

クラスメソッドが選ばれた理由
クラスメソッドでの達成目標

 なお発表にあたり、顧客企業としては、サントリーシステムテクノロジー株式会社、株式会社 FOOD & LIFE COMPANIES(あきんどスシロー親会社)、東急株式会社、星野リゾート、パナソニック株式会社がエンドースメントを発表。パートナー企業としては、東日本電信電話株式会社と株式会社SHIFTがエンドースメントを発表している。

 発表会に出席したAWSジャパンの長崎氏は、「次の10年を見据えたクラウド人材の育成に日本全国で取り組んでいる。このミッションはAWSだけでは難しく、パートナーの力が不可欠だ。特にクラスメソッドは、クラウドの進化にいちはやく気付いて、ビジネスの価値創造につながる顧客のイノベーションを支援してきた。パートナーと連携することで、あらゆる企業規模・地域で求められている、お客さまに応じたDXを支援できると確信している」と述べた。