KDDI、大林組、NEC、5Gを活用した建設機械の遠隔施工に成功

　KDDI株式会社、株式会社大林組、日本電気株式会社（以下、NEC）の3社は15日、次世代移動通信システムの「5G」と4K3Dモニターを活用した、建設機械による遠隔施工に国内で初めて成功したと発表した。

　実証試験は、2月1日～14日に大林組の東京機械工場で実施。5Gの特徴である高速・大容量通信を建機の遠隔操作に応用し、既存のモバイル通信では実現が困難だった高精細映像の伝送を実現した。

　災害復旧などに代表される危険作業においては、オペレーターが建機に搭乗せず、離れた場所から映像を頼りに建機を操作する、無人運転が求められている。しかし、遠隔操作の場合には、建機に設置したカメラからの映像と建機を俯瞰する映像のみを頼りに作業を行うため、作業効率が50％～60％程度に低下すると言われているという。

　実証試験では、現行の建設機械に高精細4Kカメラを2台、2K全天球カメラを1台、2K俯瞰カメラを2台設置。計5台からのカメラ映像を、28GHz帯の超多素子アンテナによるビームフォーミングを活用して遠隔操作室に伝送した。

　遠隔操作室では、裸眼でも自然に立体視が可能な4K対応の3Dモニターを導入することで従来のモニターに比べて奥行をより正確に捉えることが可能となり、遠隔操作の作業効率を従来に比べて15％～25％改善できることを確認。これにより、遠隔地からでも繊細な操作が可能となるため、人が立ち寄ることができない災害現場においても復旧作業を安全かつ迅速に進められるとしている。

　実証試験は、総務省の技術試験事務における「5G」総合実証試験として実施。KDDI、大林組、NECは実証試験を通じて、5Gを活用したICT施工の実現に向け、「建機の無人化」「リアルタイム遠隔施工」など高度な建設技術の実現を目指すとしている。