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ctcと中部電力、ローカル5Gの実用化に向けた共同検証を実施

ラストワンマイルとしての活用などを検証

 中部テレコミュニケーション株式会社(以下、ctc)と中部電力株式会社は30日、スタンドアローン方式(SA方式)によるローカル5Gの実用化に向けた共同検証を、9月1日から開始すると発表した。

 SA方式は、5G設備のみを使用するため、4G設備と連携して通信を行うノン・スタンドアローン方式(NSA方式)と異なり、設置や運用コストを抑えながら、「高速大容量、低遅延、多接続」という5Gの特性を最大限に発揮することが期待されている。

 検証では、名古屋市西区にある中部電力の小田井寮の敷地内に基地局を設置し、4.5GHz 帯を使用したSA方式のローカル5G環境を構築する。これらの設備を用い、寮施設や、隣接する中部電力パワーグリッド株式会社の枇杷島変電所で、実フィールドにおける電波伝搬特性や通信性能、基地局の設置や運用など、ローカル5Gの実用化を見据えた検証を行う。

 検証期間は2021年9月1日~11月30日。屋外に設置したローカル5G基地局から建物内への電波伝搬特性の検証や、インターネットや電話などの複数ネットワークへの接続・優先制御機能の検証を行う。また、ローカル5G基地局の設置・運用に関する課題の洗い出しおよび解決方法の検証や、現場の業務効率化などに向けた、遠隔監視、映像伝送、画像解析などの検証を行う。

検証イメージ

 ctcは、「コミュファ光」ブランドのインターネット・電話・テレビのサービスにおいて、光ファイバーの幹線から顧客宅までのラストワンマイルを、ローカル5Gで無線化することで、高速大容量サービスの提供、顧客宅への光ファイバー工事の不要化による納期短縮などが見込めると説明。検証を通じて、ローカル5Gによるインターネット接続の実用化に向けた評価を行い、商用化を検討するとしている。

 中部電力は、5Gを活用した遠隔監視・映像伝送・画像解析などによる災害時の設備復旧迅速化や、日常的な巡視点検の効率化などについて、課題解決に向けた研究を進めている。今回の検証を通じて、これまでに研究を進めている携帯電話事業者の5Gと比較を行い、それぞれの特性を把握することで、高度な自社通信ネットワークの構築に努めるとしている。