ニュース

キヤノンMJ、2021年度上期連結業績は増収増益 高付加価値製品やサービスの構成比が高まる

2021年度の見通しを上方修正

 キヤノンマーケティングジャパン株式会社(以下、キヤノンMJ)は27日、2021年度上期(2021年1~6月)の連結業績を発表した。売上高は前年同期比4.8%増の2751億円、営業利益は同56.7%増の205億円、経常利益は同29.2%増の215億円、当期純利益は同51.1%増の150億円となった。

2021年度上期の業績サマリー

 また第2四半期(2021年4月~6月)では、売上高が前年同期比11%増の1348億円、営業利益は同86%増の100億円、当期純利益は21同%増の71億円となった。第2四半期は、プロフェッショナル分野は減収となったものの、コンスーマやエンタープライズ、エリアが増収となり、全体で増収。また、すべてのセグメントで高付加価値製品やサービスの構成比を高めたことで粗利が増加し、全体で増益になったという。

2021年度第2四半期の業績サマリー

セグメント別の業績

2021年度上期のセグメント概要

 セグメント別業績では、エンタープライズの売上高が前年同期比1.1%減の918億円、セグメント利益が同14.7%増の62億円となった。

 ビジネス機器では、大手企業のオフィス機器への設備投資が抑制傾向にある一方で、第2四半期は、前年同期に比べて、オフィスへの出社率が増加したため、プリントボリュームの改善が見られたという。

 ITソリューションは、金融業向けのSI案件や、文教向けのオンライン化ニーズに対応した案件が順調に推移。2020年10月に竣工したデータセンター2号棟の売り上げが堅調に推移したことや、1号棟の更新案件も貢献。金融業向けBPOでの大型案件の獲得、セキュリティ案件が順調に推移したことなどにより、売り上げが増加した。製造業、流通業向け案件も増加しているとした。

 なお、同セグメントに含まれるキヤノンITソリューションズ(キヤノンITS)の売上高は前年同期比4%増の479億円、営業利益は前年同期から3億円減の45億円となった。

エンタープライズの概況(2021年度第2四半期)

 エリアの売上高は、前年同期比4.5%増の1162億円、セグメント利益が同55.0%増の73億円。第2四半期は、前年同期に新型コロナウイルス感染症の影響を大きく受けた反動や、セキュリティ、IT保守などの案件が順調に推移していることにより増収となっている。

 ビジネス機器では、営業活動の再開や非対面営業の実施などにより、オフィスMFPやレーザープリンタの案件数が増加。ITソリューションでは、テレワーク環境の構築需要が継続。IT支援クラウドサービス「HOME」や、ウイルス対策ソフト「ESET」などのセキュリティの売り上げが増加した。

 さらに、IT機器などの保守や運用サービスの獲得に引き続き注力して受注件数を伸ばしたことや、ネットワークカメラの案件が拡大。ネットワークカメラは、中小企業を中心に、人との接触を避けた遠隔監視や遠隔操作などの利活用が促進されたほか、製造業向けの大型案件があったことで、第2四半期の売上高は前年同期比10%増になったという。

 なお、連結子会社のキヤノンシステムアンドサポート(キヤノンS&S)の売上高は前年同期比4%増の509億円、営業利益は11億円増の18億円となった。

 また、エンタープライズおよびエリアを含めたグループITソリューションの売上高は前年同期比2%増の1088億円となった。そのうち、SIサービスの売上高は同2%減の362億円、保守・運用サービス/アウトソーシングは同8%増の201億円、システム販売・ITプロダクトは同2%増の524億円となった。

 キヤノンマーケティングジャパン 取締役上席執行役員の蛭川初巳氏は、「大手企業、中堅企業、中小企業のすべてにおいて、IT投資は旺盛だと認識している。2021年1月から、市場を明確に分けて対応する営業体制を敷いている。それぞれの顧客の課題を明確にした上で、的確な提案を行いも、売り上げを伸ばしていきたい」とした。

グループITソリューションの売上
キヤノンMJ 取締役上席執行役員の蛭川初巳氏

 コンスーマは、売上高が前年同期比21.9%増の612億円、セグメント利益が同229.3%増の66億円。デジタルカメラやインクジェットプリンタが、付加価値製品を中心に売り上げを伸ばしたほか、在宅勤務によりPCの周辺機器が増加したことや、ゲーミングPCの販売の伸びにより、ITプロダクトの増加が貢献。特にプリンタでは、特大容量タンク「GIGA TANK」を搭載した製品が好調に推移したという。

 プロフェッショナルの売上高は前年同期比5.5%減の161億円、セグメント利益は同10.9%増の15億円となった。売上高は、産業機器が好調に推移したものの、医療ITやプロダクションプリンティングが減少した。連結子会社のキヤノンプロダクションプリンティングシステムズの売上高は前年同期比13%減の42億円、営業利益は前年並の1億円となった。

2021年度業績見通しを上方修正

 一方、2021年度(2021年1月~12月)の業績見通しを上方修正した。売上高は前回(2021年4月)修正値を据え置き、前年比4.0%増の5670億円、営業利益は10億円増とし、同11.8%増の350億円、経常利益が10億円増とし、同1.6%増の358億円、当期純利益が7億円増となる同10.0%増の242億円とした。

2021年度業績予想サマリー

 コンスーマセグメントのレンズ交換式デジタルカメラやインクジェットプリンタにおいて、高付加価値な製品の構成比が高まり、利益が当初計画を上回ったことなどを踏まえて修正したという。

 2021年度のセグメント別業績見通しは、エンタープライズの売上高が前年比4%増の1927億円、営業利益が同25億円増の119億円。エリアの売上高が2%増の2285億円、営業利益は27億円増の117億円。コンスーマの売上高が前年比3%増の1281億円、営業利益は13億円減の110億円。プロフェッショナルの売上高は13%増の347億円、営業利益は同5億円増の24億円を見込んでいる。

2021年度業績予想 セグメント概要

 キヤノンMJ 上席執行役員の大里剛氏は、「前年度下期には、広告宣伝費を使う場面がほとんどなかったが、本年度下期は需要を喚起するために効果的な使い方をしていきたい」と述べた。

キヤノンMJ 上席執行役員の大里剛氏