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事業者データセンターの40%が新設を予定、企業内データセンターは11%~IDC Japan調査
2021年7月21日 11:00
IDC Japan株式会社は20日、国内のデータセンター管理者を対象に、主にデータセンターファシリティ(建物、電気設備、空調設備、機械設備など)への投資やその運用課題などについて調査した「2021年国内データセンター管理者調査」を発表した。
調査は、国内のデータセンター管理者293人に対してアンケートを行ったもので、内訳は金融機関や製造業などの一般企業が所有する企業内データセンターの管理者が246人、ITサービス事業者や通信サービス事業者などが所有する事業者データセンターの管理者が47人。
調査によると、事業者データセンターでは40%の管理者がデータセンターやサーバールームの新設予定があると回答したのに対し、企業内データセンターの管理者ではデータセンターやサーバールームの新設予定があるという回答は11%にとどまった。
IDC Japanでは、多くの企業のIT資産がクラウドサービス上で稼働するようになっているため、企業内データセンターを新設する傾向は弱い一方で、クラウドサービス提供に必要な事業者データセンターが次々と新設されていると指摘。それに加えて、ソーシャルメディアやスマホアプリのようなネットを使った新たなサービスを提供するために、クラウドサービスに対する需要は一層拡大傾向が強まっていることも、事業者データセンターの新設が多く予定されている要因になっていると分析している。
また、こうしたクラウドサービス拠点となる事業者データセンターは、ハイパースケールデータセンターと呼ばれる、新設される建物の規模や電力容量の大きさが特徴になっているという。
その一方で、事業者データセンターの中には、クラウドサービス提供を目的としないようなデータセンターの新設も予定されているが、こうした従来型データセンターの新設規模は、他社データセンター内の一部のサーバールームを賃借することでデータセンターを設置するケースが多いため、ハイパースケールデータセンターの新設規模より小さくなると説明。そのため、事業者データセンターの新設投資は、大規模な建物建設を伴うハイパースケールデータセンターと、小規模なサーバールーム構築にとどまる従来型データセンターとで二極化することになるとしている。
IDC Japan ITサービス リサーチマネージャーの伊藤未明氏は、「ハイパースケールデータセンターの新設投資が、国内データセンター投資の拡大を牽引する傾向は今後も続くだろう」と述べている。