ニュース

SNCSPなど3社、データ通信量を100分の1以下にしながら性能を向上したモニタリングソリューションを開発

 ソニーネットワークコミュニケーションズスマートプラットフォーム株式会社(以下、SNCSP)とSREホールディングス株式会社(以下、SRE HD)、SRE AI Partners株式会社(以下、SRE AIP)の3社は21日、3次元空間認識技術とIoTプラットフォームを活用し、監視/見守りにおいてデータ通信量を100分の1以下に削減しながら、性能も向上させられるモニタリングソリューションのプロトタイプを開発したと発表した。

 IoT回線プラットフォーム「MEEQ」を展開するSNCSP と、不動産事業およびAIソリューションを展開するSRE HDとSRE AIPは、実環境におけるデータ収集と収集データに基づく実環境へのAIサービス展開に向けて、2020年8月に戦略的提携を行い、それぞれの技術/サービスの開発や拡充を進めるとともに、共同でのソリューション創出に取り組んできた。

 3社は、映像から3次元空間情報を抽出し、映像そのものの通信を行うことなく、分析に活用できるデータのみをクラウド上のサーバーに送信するソフトウェアのプロトタイプを開発した。AIが映像から必要な情報のみを抽出し、全ての映像を送る必要がなくなることで、通信量を100分の1以下に削減する。

 例えば、監視カメラ側のAIが検知を行い、侵入者などの異常が観測された一定時間のみ映像を送ることが可能。この際、MEEQを用いることで、多数あるIoTカメラで観測された映像や抽出された3次元空間情報などのデータを安全に集約し、管理できる。

3次元空間マップを生成することで、データ量を削減しながら人物(赤い領域)と入り口の距離や大きさの関係を把握する

 3次元空間認識の実現には、ステレオカメラまたは深度センサーを用いることで、入力映像から3次元空間情報を取得し、細かいキューブで構成される3次元空間マップを生成。3次元空間マップの変化から動的物体の場所を特定する。さらに、構成した3次元空間マップの差分を抽出してクラスタリングし、ノイズ除去処理を行うことで動的物体を個体ごとに検出。検出された各動的物体の3次元空間上の体積、位置、速度などを観測する。

 技術は夜間の監視でも性能が劣化せず、高価な専用機器を必要としない、AIの学習データの準備が不用といった特徴を持ち、物体認識などの従来型の画像認識AIを用いた監視ソリューションと比べて、監視/見守りの利便性を向上させられる。

 3社は今後、監視/見守り用途において、ショッピングモールや病院、工場などの不動産施設のモニタリングのほか、介護施設や在宅介護での見守りなどへの活用を推進していく。また、物流業界においては、倉庫やトラック荷台の充填率を測定することで、業務支援にも活用できるなど、さまざまな産業における監視/見守りに適用可能なDXソリューションの創出を目指すとしている。