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日本マイクロソフト、新世代の「Azure Stack HCI」を提供 ハイブリッドクラウド管理機能「Azure Arc」を統合
2021年2月26日 00:00
日本マイクロソフト株式会社は25日、ハイブリッドクラウド戦略に関する説明会を開催し、同日より新世代の「Azure Stack HCI」を国内にて提供開始すると発表した。
これまでマイクロソフトでは、Windows ServerをベースにしたHCI(ハイパーコンバージドインフラストラクチャ)ソリューションとしてAzure Stack HCIを提供してきたが、新世代のAzure Stack HCIは、ハイブリッドクラウド管理ソリューションの「Azure Arc」を統合したハイブリッドクラウドサービスとして提供する。
日本マイクロソフト マーケティング&オペレーションズ部門 Azureビジネス本部 プロダクトマーケティング部 プロダクトマネージャーの佐藤壮一氏は、「新世代のAzure Stack HCIは専用のオペレーティングシステムになる」と述べ、「これまで実績を積み重ねてきたHyper-Vなどをベースとし、Azure Arcを完全に取り込むことで、ハイブリッドサービスとしての機能を強化する」としている。
一方のWindows Serverについては、「仮想化ホストの部分にフォーカスし、開発系イノベーションを促進していく」と佐藤氏。「ホスト以下の部分をAzure Stack HCIに任せることで、Windows Serverは仮想マシンやコンテナプラットフォームとしての最良オペレーティングシステムを目指す。注力分野をより明確にした上で、Windows Serverの開発も引き続き促進する」と説明する。
Azure Stack HCIは、従来のオンプレミスの仮想基盤としての機能にAzure Arcの管理機能を統合するほか、オンプレミスやエッジ環境で稼働するAzureのマネージドサービス「Azure Kubernetes Service」などの機能を追加する。また、Azure Arcと密に連携することで、Azureのパブリッククラウド上のマネージドサービスをオンプレミスでも提供する。Azure SQL Managed Instanceなど、すでにパブリックプレビューとして提供しているサービスも複数あるという。
OEMパートナー各社も、Azure Stack HCIを搭載したソリューションを提供する。Dell Technologies、富士通、Hewlett Packard Enterprise、Lenovo Enterprise Solutionsがすでに製品を用意しているほか、日立製作所は2021年第2~第3四半期に、またNECは2021年度中にソリューションの受注を開始する予定だ。
日本マイクロソフト 業務執行役員 Azureビジネス本部 本部長の上原正太郎氏は、株式会社MM総研の2020年12月の調査から、「クラウドを利用している、または利用しようと考えているユーザー企業は半数以上にのぼるが、現実としてすぐに既存環境をクラウドに移行するのはハードルが高く、オンプレミスとクラウドというハイブリッドクラウドの利用形態が必要とされている」と指摘、オンプレミスとクラウドの両環境を一元管理できるAzure Stack HCIが最適なソリューションだとアピールした。
「Azure Stack HCIは、顧客やパートナー主導で運用ができ、自ら管理しながらもハイブリッドクラウドでのイノベーションが促進できる。これが他社ソリューションとの違いだ」(上原氏)
上原氏は、「ハイブリッドアプローチで日本市場のデジタルトランスフォーメーション(DX)を促進する」としており、その施策として「ハイブリッド基盤への移行」「ハイブリッドDevOps基盤導入」「インダストリーソリューションのモダナイズ」の3分野に注力すると語る。具体的には、既存インフラをAzureに単独移行してオンプレミスを更新するのではなく、統合ハイブリッド基盤への移行といった形でクラウド導入を進めるほか、Azure Kubernetes ServiceやAzure Stack HCIを活用したクラウドネイティブな開発基盤で開発者を支援する。また、スマートファクトリーや電子カルテなど、オンプレミスでの稼働が求められるインダストリーソリューションに対し、Azure Stack HCIを含めたパッケージングを進めるとしている。
こうした取り組みについては、すでにパートナー各社と具体的な話が進んでいるという。この取り組みにより、「日本市場のデジタル化をさらに促進していきたい」と上原氏は述べた。