ニュース

NECの2020年度第3四半期連結業績は減収増益、5G基地局の出荷が本格化

 日本電気株式会社(以下、NEC)は29日、2020年度第3四半期(2020年4~12月)の連結業績を発表した。

 売上収益は前年同期比6.0%減の2兆444億円、営業利益は5.7%増の823億円、調整後営業利益は7.0%増の970億円、税引前利益は8.8%増の857億円、当期純利益は10.9%増の545億円となった。

業績サマリー

 NEC 代表取締役執行役員副社長兼CFOの森田隆之氏は、「売上収益は、市況悪化の影響により減収だったが、第2四半期以降の堅調な受注に支えられ、第3四半期は増収に転じ、回復基調にある。相模原事業場などの資産売却による330億円の特別対策の影響によって増益だが、5GやGIGAスクール需要が牽引しており、第3四半期の調整後営業利益は、特別対策を除いた実業ベースでも増益になった」という。

NEC 代表取締役執行役員副社長兼CFOの森田隆之氏

 また、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う市況悪化の影響は縮小傾向にあり、2020年10月時点では、営業利益で650億円のマイナス影響としていたが、これを500億円のマイナス影響へと見直した。売上収益は年間1400~1500億円のマイナス影響と見ている。

 「上期決算発表時点では、コロナ収束時期が当初想定よりも長引いていることから、影響を慎重に見ていたが、足元の受注が回復傾向にあること、この状況下でもオペレーションをマネージできるようになってきたことで、年度初めの想定範囲内で、マイナス影響を収めることができると考えている。社会公共とエンタープライズが最もコロナ影響を受けているが、自治体向けは堅調であり、改善傾向にある」とした。

 エンタープライズのなかでは、金融分野におけるモダナイゼーションの動きやDXの進展が見られているほか、製造業は早い段階に投資抑制があったが、ここにきて自動車、機械、建設などが好転し、中断、凍結していたプロジェクトがおおむね再開しているという。だが、「小売、ホテル、レジャー、交通、物流は厳しい状況が続いている。来年以降もこれが継続する可能性がある。とはいえ、これらの領域でもデジタル投資の検討が徐々に活性化している」とした。

 また、リモート環境に適合した新しい費用構造への転換や、ネットワークサービスや社会基盤の事業拡大によって、費用削減額が縮小。年間では170億円の費用改善を見込んでいる。また、2021年度以降本格化することが見込まれる5Gの展開、政府・金融領域のデジタル化への布石など、ニューノーマル需要の実績が拡大し、新たな需要獲得では年間90億円の改善を見込んでいる。

 「ハワイ空港への感染症対策ソリューションの導入といったコロナ以前には想像もしなかった案件獲得もある。これも、来年度に本格化するデジタル化への布石にもなる」とした。

セグメント別の業績

セグメント別 9カ月累計実績サマリー

 セグメント別業績では、社会公共事業の売上収益が前年同期比13.2%減の2742億円、調整後営業利益は前年同期から65億円減の114億円。消防・防災は堅調に推移したが、医療向けや地域産業向けの減少に加えて、ビジネスPCの更新需要の一巡によって減収となった。

 社会基盤事業は売上収益が前年同期比1.0%減の4605億円、調整後営業利益は前年同期から71億円減の353億円。中央省庁向けITサービスや、GIGAスクール構想を背景とした教育機関向けパソコンが寄与。不採算案件が改善したものの、連結子会社の日本航空電子工業は減収減益になった。

社会公共セグメントの概況
社会基盤セグメントの概況

 エンタープライズ事業は、売上収益が前年同期比13.4%減の3544億円、調整後営業利益は前年同期から101億円減の262億円。前年度の大型案件の反動や、ビジネスPCの更新需要の一巡に加えて、製造業や流通・サービス業におけるIT投資抑制が影響した。だが、「10月以降は前年同月比100%となり、12月は前年実績を上回っている。プロジェクトが予定通りに遂行されれば年間計画を達成できる」とした。

 ネットワークサービス事業は、売上収益が前年同期比13.4%増の3658億円、調整後営業利益は前年同期から61億円増の199億円。5G導入に伴う移動ネットワーク領域や固定ネットワーク領域の需要が増加。「第3四半期から5G基地局の出荷が本格化している」という。

エンタープライズセグメントの概況
ネットワークセグメントの概況

 グローバルは、売上収益が前年同期比11.2%増の3252億円、調整後営業利益は前年同期から65億円増の81億円。海洋システムが増加したが、ディスプレイ事業の2020年11月からの非連結化に加え、KMDの一部事業の終息により減収となった。しかし、サービスプロバイダソリューションの収益性改善が増益に貢献したという。また、セーファーシティ、サービスプロバイダソリューション、ワイヤレスソリューシヨン、海洋システムによる継続事業だけで見ると増収になっているとのこと。

グローバルセグメントの概況

n
 その他事業は、売上収益が前年同期比10.8%減の2644億円、調整後営業利益は前年から135億円減の96億円となった。このセグメントでは、システムプラットフォームやデジタルビジネスプラットフォーム、クロスインダストリーなどで構成している

国内の5Gネットワークの構築が本格化

 なお、2020年度第3四半期累計の国内受注状況は全体では前年同期比3%増。内訳は、社会公共が同18%減、社会基盤は同22%増、エンタープライズは同5%増、ネットワークサービスは同24%増、グローバルは同48%増となった。全体では、第1四半期が同5%減であったが、第2四半期は同10%増、第3四半期は5%増となっている。

受注動向(ハードウェア含む)

 2020年度第3四半期までのトピックスとして、国内の5Gネットワークの構築が本格化し、基地局では、RU(無線部)に加えて、O-RAN対応のCU(制御部)の出荷を開始したことを挙げたほか、5Gコアでは、NTTドコモと楽天モバイルが採用。5Gの海外展開に向けた活動も拡大し、英国では事業開発拠点の設立とともに、政府主導の実証プロジェクトに参加した。ドイツでは、テレフォニカドイツによるO-RAN実証実験のSIerに選定されたという。

経営トピック:5G

 また、GIGAスクール構想に沿った教育機関へのソリューション提供や、総務省の第二期政府共通プラットフォームの運用管理業務の事業者に採択されるなど、先行プロジェクトへの積極参画による実績が上がっているほか、行政のデジタル化にあわせて、全社横断的な社内実行体制を構築。マイナンバー利活用など関係府省への提言活動、ISMAPに対応した「NEC Cloud IaaS」の提供などに取り組む姿勢をみせた。

 「デジタル先進国であるデンマークのKMDのノウハウの活用を含め、NECは、行政のデジタル化の実現に大きく貢献したい」とした。

 また、2020年12月に、スイス金融大手のAvaloqの買収を完了し、第4四半期から業績に寄与するほか、海外通信・放送・郵便事業支援機構(JICT)から、約3億スイスフラン(約350億円)の出資受け入れを決定。2021年2月以降に実施する予定を発表した。「出資受け入れと資産売却をあわせ、Avaloqの買収は手元キャッシュフローの範囲内で実行できる。資産売却の成果は、事業拡大に向けた投資に振り分け、将来の成長につなげる」とした。

スイス金融大手のAvaloqの買収を完了

 2020年度通期業績見通しは、見通しを据え置き、売上収益が前年比2.1%減の3兆300億円、営業利益は同17.5%増の1500億円、調整後営業利益は同13.2%増の1650億円、当期純利益は同10.0%減の900億円とした。

業績予想サマリー