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SUSEジャパンは再スタートしたところ―― 新社長・関原氏が掲げる、5つの新たなビジネス方針
2020年9月14日 06:00
独SUSEの日本法人SUSE ソフトウエア ソリューションズ ジャパン株式会社(以下、SUSEジャパン)は11日、代表取締役社長に関原弘隆氏が8月1日付で就任したことを発表した。
SUSEは、Linuxディストリビューション「SUSE Linux Enterprise Server」などを開発・販売するドイツ企業。2019年には、親会社だったMicro Focusから再独立した。最近ではKubernetesやOpenStack、SDI(Software Defined Infrastructure)などにもソリューションを広げており、2020年7月にはKubernetesベースのコンテナプラットフォームを開発するRancher Labsの買収を発表している。
関原氏の前職はSAPジャパン。バイスプレジデントとして、サービスセールス第二本部長、S/4 HANA Cloud事業本部長、デジタルコアクラウド事業副本部長を歴任した。
関原氏は、9月11日にオンライン開催された記者会見で、日本におけるビジネス方針として「オープンソースコミュニティへの貢献」「ダイレクトセールス」「パートナーとのアライアンス強化」「市場認知度の向上」「組織強化、拡充」の5つの施策を挙げた。このうち、オープンソースコミュニティへの貢献は従来どおり。
「ダイレクトセールス」では、これまでパートナー企業からの販売に依存していたのに対し、エンドユーザーとの直接の接点を強化する。「お客さまの声をグローバルに届けることが、弊社の成長のための施策になる。また、直接ご提案することで売上を伸ばしたい、サービスやトレーニングなどのメニューも提案していきたい」と関原氏。
その一方で「パートナーとのアライアンス強化」を挙げるように、パートナーの商流も強化する。これまでのOEMやハードウェアベンダー、クラウドサービスプロバイダといった区分から、パートナー企業の特性に合わせ、セールスやサービス、トレーニングなどの分野に分け、複数のパートナーシップを結んでいくパートナープログラムを開始し、認定証を発行する。
「市場認知度の向上」について関原氏は「話を聞くと、SUSEのイメージは『Linuxの老舗』『openSUSEを学生時代に触っていた』『SAP HANAのOS』といった声が多い。まったく知らないよりはいいが、最新の動向を伝えられていないなと感じている」と語る。これに対し、「海外の施策を翻訳するだけでなく、日本独自のマーケティング活動を実施していきたいと考えている」と氏は語る。
これらの施策の土台となる「組織強化、拡充」としては、2022年度までにSUSEジャパンの社員数を倍増する。まずはGo To Market(市場開拓)部門の人員を増やして組織を再編する。そして国内で、プレミアムサポートやコンサルティングなどのサービスビジネス、およびトレーニングビジネスの展開を目指す。
これらの方針をまとめて関原氏は「SUSEジャパンは再スタートしたところと考えている。海外企業の日本販社というのではなく、SUSEジャパンとして、日本のお客さまの課題を解決することに重きを置く」と語った。
関原氏は、SUSEのグローバルおよび日本でのビジネス状況についても報告した。グローバルでは、2020年第2四半期で9年連続で成長しており、特にクラウド関連では前年比70%増加しているという。また、日本では2020年上期で2けた成長となり、クラウドの売上を41%向上したと語った。
また、SUSEで現在注力する4分野として「システム基盤(Software Defined Infrastructure)」「クラウドアプリケーションのデリバリープラットフォーム(Container and Cloud Platform)」「エッジコンピューティング(Edge Computing)」「AI」を挙げた。
「システム基盤」としては、ソフトウェア定義型インフラを用いてシステムをシンプル化し、安定稼働させる。サポートするオープンソースソフトウェアとしては、CephやKVM、Xen、Open vSwitch、DPDKなどがある。
「クラウドアプリケーションのデリバリープラットフォーム」としては、コンテナを活用したアプリケーションの継続的な開発、配信、運用の基盤を提供する。買収を発表したRancherはこの分野に入る。
「エッジコンピューティング」としては、エッジデバイスから大型基盤まで同一アーキテクチャで対応し安定稼働させる。
「AI」としては、AIの処理を支援する基盤ソフトウェアをサポートする。KubeFlowやOpenACC標準などがここに入る。