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IBM、7nmプロセスの次世代プロセッサー「POWER10」を公開

 米IBMは現地時間17日、次世代のIBM POWERプロセッサーとなる「POWER10」を発表した。

 POWER10は、サムソン電子の7nmプロセスを使用して製造される、IBM初の商用プロセッサーとなり、POWER9と比較してプロセッサーのエネルギー効率とキャパシティーを最大で3倍へと高め、処理能力を向上させた。

 また、POWER10は行列計算アクセラレーターを搭載することで、POWER9と比較して、ソケットあたり32ビット単精度浮動小数点演算(FP32)で10倍、16ビット半精度2進浮動小数点演算(BFloat16)で15倍、8ビット整数演算(INT8)で20倍の高速処理が期待できるとしている。

IBM POWER 10チップ

 メモリについては、新技術のMemory Inceptionにより、マルチペタバイト級のメモリクラスターが利用可能になり、SAPやSAS InstituteなどのISVや大規模なAIモデルの推論のようなメモリ集約型ワークロードに対して、クラウドのキャパシティを高め、経済性を改善する設計が行われた。

 さらに、エンドツーエンドのセキュリティをサポートする透過的なメモリ暗号化を搭載し、需要の高い暗号化規格や耐量子暗号/完全準同型暗号といった将来の暗号化規格に対応したAES暗号化エンジンをPOWER9と比較してコアあたり4倍搭載。コンテナのセキュリティに対する新しい拡張機能も利用できるようになった。

 IBMでは、これらのキャパシティー向上により、POWER10搭載システムはPOWER9搭載システムと比較して、最大で3倍のユーザー、ワークロード、およびハイブリッドクラウドワークロードのOpenShiftコンテナ密度をサポートできると説明。IBM POWER10搭載サーバーは、2021年後半に提供を予定しており、ハードウェアとRed Hatソフトウェアとが互いに最適化され、ハイブリッドクラウドの未来を実現するとしている。