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富士通、デジタル生産準備「VPS」シリーズ新版を発売
2020年8月6日 06:00
富士通株式会社は5日、デジタルプロセス株式会社が開発した、製造業における生産準備業務のデジタル化支援ツール「FUJITSU Manufacturing Industry Solution COLMINA デジタル生産準備 VPS(以下、VPS)」シリーズの新バージョンを販売開始した。
VPSは、製品の設計から製造に至るプロセスをデジタルデータでつなぎ、生産準備業務の生産性向上や情報の一元化などの幅広い活用を実現するツール。製品の3次元デジタルデータを活用することにより、製造用図面や組み立て手順だけでなく、使用する工具や組み立て作業に必要な工数や作業における注意点など、さまざまな製造関連情報を集約・表示できる。
新バージョンでは、製品の生産準備工程において、製品の組み立てで使用する部品や作業手順、場所、設備や治工具、製造ノウハウといったデータ(以下、工程情報)をひも付けて蓄積・管理する「Bill of Process(以下、BOP)」関連の機能を強化。「VPS Standard」「VPS Manufacturing」において、BOPを過去機種モデルから新機種モデルに流用することが可能になった。これにより、VPS上での工程順序や工程情報を、従来比2分の1の時間で作成でき、新機種モデルや別工場での同製品の工程計画時などに、工程検討を効率的に短時間で実施できるとしている。
また、製品の製造工程における作業品質を管理するために作成されるQC工程図および工程FMEA表に必要な情報を、VPS上で表形式で入力できる機能を追加。これにより、工程の管理方法に関する情報を含むBOPをVPS上で一元的に作成可能となり、これまでQC工程図や工程FMEA表を個別に作成・管理していたことで発生していた転記情報の重複や抜け漏れによる修正などを低減できる。
さらに、設計の変更情報を反映する設計変更対応機能を強化。CADから取り込んだ設計構成ツリーと、VPSで作成した製造構成ツリーを並べて表示することや、設計変更前後の製品モデルの比較画面において変更された部品を色分け表示するが可能になり、設計情報の変更内容を把握しやすくした。
「VPS GP4」では、製造ラインのレイアウト検討を行う際に、「VPS Standard」「VPS Manufacturing」の製品モデルに設定したレイアウト情報や設備名をもとに、設備を製造ライン上に自動配置する機能を搭載した。この機能により、製造ラインのレイアウト作成時間が従来比で20%削減され、検討の前倒しと短期化が図れる。
また、生産性検討を行う際、工程間の中間仕掛品を含む作業手順を検討する機能を強化。組み立て途中の製品状態である中間仕掛品を容易に生成することが可能となり、生産ライン改善案のVPS上での作成時間が従来比5分の1に短縮される。これらの機能により、ミスや漏れがなく、より効率的に生産可能なBOPを作り込むことが可能となり、生産の開始直後から歩留まりが高い生産を実現するとしている。
製品の価格(税別)は、「VPS Standard V15L22」が400万円、「VPS Digital Mockup V15L22」が250万円、「VPS Manufacturing V15L22」が250万円、「VPS GP4 V11L22」が440万円。富士通では、今後3年間で2500ライセンスの販売を目標とする。