ニュース

富士通のデジタル生産準備ツール新版「VPS V15L21」、さまざまな製造情報を考慮した工程情報の作りこみを可能に

 富士通株式会社は5日、デジタルプロセス株式会社が開発したデジタル生産準備ツール「FUJITSU Manufacturing Industry Solution VPS」(以下、VPS)の新版「VPS V15L21」を、8月5日から販売開始すると発表した。

 「VPS」は、製品の組み立て工程を支援するデジタル生産準備ツール。製品の3次元デジタルデータを活用することにより、製造用図面や組み立て手順だけでなく、使用する工具や組み立て作業に必要な工数、作業における注意点など、さまざまな製造関連情報を集約・表示することができる。

 従来のバージョンでは、製品構成に基づいた組み立て順序を製造フロー画面として作成し表示していたが、今回の新版では、「何を」「どの部品で」「どこで」「どのように」組み立てるのかといった製造情報を工程ごとに集約し、工程の順番や階層構造を工程ツリー画面として一覧表示する機能を追加した。

 工程計画者は、製造フロー画面上での作業の順番や階層に影響せず、工程ツリー画面にて工程内の作業順番や階層を変更できるため、事前にできる作業、並行して行える作業を考慮して工程計画を立案可能になったという。

 また、背景に工場の平面図を取り込み、作業場所に各工程をレイアウトした工程ブロック図を表示する機能も備えた。これらの機能を利用することで、工程全体の関係や流れ、作業場所の位置関係も含めて計画を検討できるとしている。

 加えて今回は、個々の工程における各種製造情報を表示して、関連システムとの連携を行えるようになった。工程ツリー画面での一覧表示から、工程ごとに付加された部品の一覧や保管場所、工数や工程全体に掛かる時間といった属性の一覧表示へと切り替えられるので、必要な工程情報を容易に引き出し、精度の高い工程計画を効率的に実行できるとのこと。

 あわせて、各工程で使用される部品情報の表示や関連するシステムへの出力機能も搭載。これを利用すると、例えば、部品供給を管理するシステムに、該当する工程の作業が行われる場所や使用する部品の種類と数量といった情報を連携させ、これまでは個別に供給部品リストを作成していた作業の効率化が図るとした。

 さらには、作業量の全体最適化を実現する、工程分担リスト機能を新たに備えた。この機能では、作業者や設備など、リソース別に割り当てた合計工数を比較し、人数や生産台数別など、複数パターンの検討を支援することができる。

 なお、これらの新機能で作成した工程情報は、富士通が無償で提供しているビューワーソフトウェア「VPS Viewer」でも閲覧可能なため、「VPS」を簡易的なBOP(Bill of Process)として利用できるとのことだ。

 「VPS」の価格は、1ライセンス400万円(税別)から。富士通では、2020年度末までに50億円の売上を見込んでいる。