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富士通、ニューノーマル時代における製造業向けものづくりソリューションを拡充

 富士通株式会社は12日、ニューノーマル時代における 製造業のデジタルトランスフォーメーション(DX)加速に向けたものづくりのソリューションおよびサービスを拡充し、2020年11月からグローバルに順次提供を開始すると発表した。

 今回、拡充するソリューションおよびサービスは、「COLMINAサブスクリプションサービス」「リモート設計・開発ソリューション」「ものづくり現場リモートエキスパートサービス」「Design Review 高速リモートデスクトップ」の4種類。

 COLMINAサブスクリプションサービスでは、製造業のDXを加速するためのサービス、ソリューションとして従来提供してきた「COLMINA」を、サブスクリプションサービスとしてグローバルで提供する。

 株式会社DUCNETが2021年4月からサービス提供を開始する製造業のデジタル革新を加速するクラウドサービス「デジタルユーティリティクラウド」を活用し、生産オペレーション効率化や工作機械の効果的活用を実現する設備稼働の可視化、工場ダッシュボード、生産性・品質の分析テンプレート群などを当社サービスとして提供する。

 従来、製造業各社が個々に構築しているものづくり業務システムをサブスクリプションサービスとして提供することで、さまざまな業務システムを早期に初期投資を抑えて利用でき、社内業務の効率化、顧客サービスの高度化、さらにはDXの加速に貢献すると説明。サービスは2021年4月から工作機械業界向けに展開し、その後順次自動車や機械・エレクトロニクス市場へ拡大していく。価格は月額15万円(税別、以下価格はすべて税別)から。

 リモート設計・開発ソリューションでは、シーメンスデジタルインダストリーズソフトウェアの「Xcelerator」や、アルテアエンジニアリングの「Altair HyperWorks Unlimited Virtual Appliance」からなるリモート設計・開発を支援するソリューションを提供する。

 Xceleratorは、異なる場所やデスクトップ環境にいるエンジニアのチームが、クラウド上でCADも含めた設計業務を共同で進めることができる、プロジェクトコラボレーションサービスなどのソリューション群。従業員がテレワークで別々の場所に分散して作業するなど、設計開発環境の変化にも柔軟に対応したセキュアなリモート製品開発を支援するとともに、円滑なコラボレーションを可能にし、従来の製品開発環境と同等以上の製品品質を実現する。2021年3月から国内での提供を開始し、2021年中に欧州や北米などグローバルで提供予定。価格は未定。

 Altair HyperWorks Unlimited Virtual Applianceは、製品開発に必要なCAE(Computer Aided Engineering、工業製品の設計・開発工程を支援するコンピューターシステム)や構造シミュレーションといったさまざまな解析を行うためのソフトウェア群と、その計算を行うためのクラウド環境をセットにしたサービス。リモートワークでのデジタル製品開発や、事業継続に向けた突発的な品質検証などが行えるようになり、製品開発リードタイムの短縮や製品品質の向上を図れる。

 また、CAEを未導入の企業でも、富士通のPLM(Product Lifecycle Management)製品群およびCAE技術サポートと組み合わせることで、ものづくりプロセスにおけるCAEを早期に実践できるとしている。サービスは2021年3月から国内での提供を開始し、2021年中に欧州や北米などグローバルで提供予定。価格は85万円(500ノード時間/2カ月)から。

 ものづくり現場リモートエキスパートサービスでは、富士通のものづくり現場で培った実践的技術・知見を持つエキスパートによる設計・製造現場改善や、ものづくりDX実現をサポートするサービスを、株式会社富士通研究所が開発する、ストレスのない同時双方向遠隔コラボレーション技術「Izumina」を活用し、リモートサービスとして提供する。

 これにより、地理的な制約を受けることなく、実践経験豊富なエキスパートが生産状況の数値データや現場動画などのリアルタイム情報とICT技術を活用して、作業内容や順序の見直しによる作業効率化や工程やレイアウトの見直しによる在庫削減・省スペース化など、顧客の生産性向上やコストダウンを支援する。サービスは2021年1月から国内での提供を開始し、2021年中にドイツや北米などの欧米をはじめとしたグローバルで提供予定。価格は300万円から。

 Design Review高速リモートデスクトップは、4K解像度で45fpsを実現し、3D-CAD、CAE、映像やコンピューターグラフィック編集などの高画質領域でのスムーズな操作を実現。事務用のノートPCなどでも描画遅延のストレスを感じることなく、遠隔地からでも自席での業務と同じように作業することが可能となる。

 また、富士通研究所が開発した技術「RVEC」を利用し、描画するための通信データを従来比2分の1に圧縮する。低速回線でもより高精度かつなめらかな画像転送で、従来と同等の描画が可能になる画面コラボレーション機能により、設計者・工場間等の複数拠点が参加するデザインレビューも円滑に行うことができ、スピーディーなものづくりを実現する。サービスは2020年11月末に国内での提供を開始し、2021年中にドイツやアメリカなど欧米をはじめとしたグローバルで提供予定。価格は月額1万8000円から。

 富士通では、2025年度までにCOLMINAサブスクリプションサービスおよびニューノーマルに向けたものづくりソリューションビジネスで売上500億円を目標とする。