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Dell Technologies幹部が語る同社のマルチクラウド戦略――、アジアでの「VMware Cloud on Dell EMC」提供は2021年に
2020年6月5日 11:09
「ビジネスのデジタル化が進む中、データとソフトウェアのマルチクラウド化は欠かせない。これにより柔軟性とアジリティが高まり、変革が進む」――。
こう語るのは、Dell Technologies アジア太平洋地域・日本 担当 プリセールス バイスプレジデントのダニー・エルマージ(Danny Elmarji)氏だ。多くの企業もこうした認識を高めつつあり、マルチクラウドへの需要も高まる一方だが、Dell Technologiesでは、いかにしてマルチクラウド化を進める企業を支援しようとしているのか。
その戦略について、エルマージ氏がオンラインで語った。
Dell Technologies Cloud Platformでマルチクラウド化を推進
同社のマルチクラウド戦略の中核となるソリューションは、「Dell Technologies Cloud Platform」だ。DellとVMwareのソリューションを組み合わせたというこのプラットフォームは、「パブリッククラウドやエッジクラウド、プライベートクラウドなど、あらゆるクラウドに対応し、どこからでも一貫したサービスが利用できる仕組みだ」とエルマージ氏は語る。
Dell Technologies Cloud Platformの中で、すでに全世界で提供しているのは、ハイパーコンバージドプラットフォームの「VMware Cloud Foundation on VxRail」と、ストレージ、コンピュート、ネットワークの組み合わせを事前検証して提供する「Dell Technologies Cloud Validated Designs」だ。
これに加え、現在米国ではDatacenter as a Serviceとして「VMware Cloud on Dell EMC」を提供している。今回エルマージ氏は、アジアにおける同サービスの提供時期が2021年になることを明らかにした。また、これまで同サービスはハーフラックにしか対応していなかったが、「今後フルラックソリューションで提供する」としている。
Dell Technologies Cloud Platformには、数多くのパートナーソリューションも存在する。Amazon、Microsoft、Googleといった大手クラウド事業者はもちろん、同社のクラウドパートナーは4200社を超えており、「世界で最も充実したクラウドパートナーエコシステムを形成している」とエルマージ氏は述べている。
Dell Technologies Cloud Platformの優位性
Dell Technologies Cloud Platformの優位性についてエルマージ氏は、「クラウドデータ保護、クラウドストレージサービス、クラウドソリューション、クラウドコンサンプション(消費)モデル、クラウドサービスのそれぞれの分野で高付加価値の製品やサービスを提供している」と語る。
データ保護については、「クラウドベースのディザスタリカバリ(DR:災害対策)、クラウドへのバックアップやクラウド内でのバックアップ、そしてデータの長期保存が可能だ」とエルマージ氏。すでに同社のクラウドデータ保護サービスを利用する顧客数は世界で1000社以上にのぼり、パブリッククラウド上で保護しているデータの総量は3エクサバイトに達しているという。
クラウドストレージサービスでは、ストレージをクラウドに直接接続することで、オンプレミスとクラウド間のネイティブなレプリケーションを実現する。同サービスは、DRやテスト、開発用途に最適だとエルマージ氏は述べている。
また新たなクラウドストレージサービスとして、5月下旬にGoogle Cloudと連携したハイブリッドストレージソリューションも発表している。「Google Cloudと完全に統合することで、ストレージからコンピュートまでパフォーマンスが最大化できる。ネイティブクラウドのエクスペリエンスが得られ、分析やAIといった高負荷ワークロードに最適だ」とエルマージ氏。
この新ソリューションは、現時点では米国、豪州、ニュージーランド、シンガポールのみで提供されるが、今後はほかの地域でも展開予定だという。日本市場については、「現在需要を見極めている段階だ」と述べるにとどまっている。
クラウドソリューションとしては、複数のクラウドやアプリケーション上のデータを連携するソリューション「Boomi」や、クラウドデータの暗号化ソリューション「CloudLink」をアピール。また、クラウドコンサンプションモデルについては、「Dell Technologies On Demand」によって柔軟で幅広い選択肢を用意していると説明した。
さらに、Dell Technologiesが企業のクラウド化の計画や導入、サポート、管理・運用までを担うクラウドサービスでは、今年前半にサブスクリプションサービスも発表している。
「サブスクリプションサービスの対象となるのは、VMware Cloud FoundationとVxRailの組み合わせ。Dell Technologiesがマネージする形となるが、オンプレミスのオプションとして提供する」とエルマージ氏。現在米国のみで提供しているサブスクリプションサービスだが、今年後半にはアジアパシフィック地域でも展開する予定で、「時期についてはコメントできないが、サブスクリプションサービスをデータセンターポートフォリオ全体で提供することも視野に入れている」という。
日本市場についてエルマージ氏は、「日本の顧客はクラウドに対する意識が高く、今後も積極的に支援していきたい」と話す。そのためには、サービスプロバイダーと連携した体制を作ることが重要だとしており、「現在すでに提供しているサービスのみならず、日本未導入のサービスも状況に合わせて検討し展開していきたい」と述べた。