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柔軟な拡張性と導入・管理の簡便さを両立、HPEが統合型インフラ製品「Nimble Storage dHCI」を提供

 日本ヒューレット・パッカード株式会社(以下、HPE)は23日、自社のエンタープライズストレージ「HPE Nimble Storage」を中核とした統合型インフラ製品「HPE Nimble Storage dHCI」を発表した。

 「dHCI」は、disaggregated Hyper Converged Infrastructureの略で、「構成要素に分けられた(disaggregated)HCI」を意味しており、ハイパーコンバージドインフラ(HCI)のシンプルさと、コンバージドインフラの柔軟性を兼ね備えている点が特徴という。価格は1360万円(税別)からで、提供は1月23日より開始されている。

HPE Nimble Storage dHCI

 ITインフラを導入するにあたっては、特に仮想環境において、導入作業の簡単さやシンプルな運用管理を行える点などを評価し、HCIを検討するケースは増えている。しかし、構成が固定されているがゆえに、「要件の異なるワークロードが入ってくると、サイジングや拡張が難しくなってしまう」(ハイブリッドIT事業統括 ハイブリッド製品統括本部 統括本部長の本田昌和氏)点が課題とされてきた。

 一方で、コンバージドインフラに代表される旧来型の混在3Tierシステムでは、「柔軟だが迅速さがなく、俊敏性が犠牲にされている」(本田氏)とする。

ハイブリッドIT事業統括 ハイブリッド製品統括本部 統括本部長の本田昌和氏
HCIとコンバージドインフラ、双方の課題

 そこで、このようなHCIとコンバージドインフラの“良いとこ取り”を図るべく開発されたものが、今回発表されたNimble Storage dHCI。一般的なHCIでは、SDS(Software Defined Storage)技術によってサーバー内部のストレージをプール化するが、dHCIでは“disaggregated”の名の通り、それぞれが別のハードウェアとなっており、サーバーとストレージをそれぞれ個別に拡張できるようにしているため、ワークロードに応じて必要な構成を選択できるという。

 具体的には、コンピューティングリソースとしてx86サーバー「HPE ProLiant」を、ストレージリソースとして管理機能を強化したNimble Storageをそれぞれ採用し、個別に増設できる仕組みとした(サーバーは最小2台から最大20台まで)。

 こうした分割構成によって、例えば、ストレージのI/Oが必要なワークロードにも、サーバー側の処理リソースが必要なワークロードにも、同一インフラで柔軟に対処できるようにしている。

パフォーマンスと容量を個別に拡張可能

 一方で、HCIの特徴である容易な導入・拡張も維持されており、HPEによれば、ラックマウント後から15分で仮想マシン(VM)を使用開始できるとのこと。仮想環境はVMwareに対応し、vCenterを通じた仮想マシンベースでの運用が可能だ。

 加えてNimble Storage dHCIでは、Nimble Storageが強みとしてきたクラウドベースの統合管理・監視ツール「HPE InfoSight」が実装されている点も特徴。サーバー、ストレージといったハードウェアから仮想マシンまで、InfoSightによって一括で管理・監視を行える。またInfoSightでは、障害を予測して回避し、仮想化環境全体の自己最適化を行うためのインテリジェンスと自動管理機能を備えた設計となっているため、管理者は詳細な情報を確認できるとともに、問題の解決を迅速に行えるとした。

InfoSightによるインテリジェントな管理機能を提供

 用途としては、仮想環境に加え、VDI、データベース、クラウド、エンタープライズアプリケーションとインフラの統合などを見込む。

 なお、HPEでは「HPE SimpliVity」などのHCI製品をすでに提供しているが、本田氏は、「お客さまが求めているソリューションとして、今ある製品で足りないところを、Nimble Storageのソフトウェアを強化することで対応したものがNimble Storage dHCIだ」と説明。カバー範囲が異なるため、それぞれの製品を適材適所に提供していく考え方を示した。

 実際、両製品は価格も異なるほか、SimpliVityは特徴としているストレージの高速性などから、バックアップ用途での導入が増えているとのことで、そうした用途や、より簡便さを求める場合などに提供していくものと思われる。

Nimble Storage dHCIの構成要素