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日本ヒューレット・パッカード、HCI製品「HPE SimpliVity 380」のHyper-V対応モデル
Hybrid IT戦略をさらに推進
2018年6月1日 06:00
米Hewlett Packard Enterprise(HPE)の日本法人である日本ヒューレット・パッカード株式会社は5月31日、ハイパーコンバージドインフラストラクチャ(HCI)製品「HPE SimpliVity 380」(以下、SimpliVity)のMicrosoft Hyper-V対応モデルを発表した。最小構成価格は150万6400円(税別)から。
SimpliVityは、2Uサイズのラック型サーバー筐体を利用したHCI製品。自社のx86サーバー「HPE ProLiant DL380」のハードウェアに、HPEが1月に買収した米SimpliVityのソフトウェアを搭載して提供されている。
従来、ハイパーバイザーはVMware vSphereにのみ対応していたが、今回提供されるモデルではHyper-Vに対応した。ただしHyper-V対応モデルはHyper-Vのみ、従来のVMware対応モデルはVMwareのみで利用でき、ハイパーバイザーを混在して利用することはできない。
なお、SimpliVityでは専用の管理ツールなどは提供されておらず、VMware対応モデルではVMwareのvCenter、Hyper-V対応モデルではマイクロソフトのSystem Center Virtual Machine Managerといった、仮想環境標準の管理ツールにアドオンを導入して利用する。このため、IT管理者は新たなツールの使い方を覚える必要がなく、仮想マシンの観点から仮想環境を管理することができるのだ。
こうした点について、日本ヒューレット・パッカード ハイブリッドIT製品統括本部 エバンジェリストの山中伸吾氏は、「物理システムに縛られない柔軟な仮想マシンの管理が可能」とアピールする。一般的なサーバー/ストレージを利用した従来型のシステムでは、ある仮想マシンがどのサーバー上で稼働しているか、どのストレージにデータが搭載されているかを意識して運用する必要があったが、SimpliVity 380では仮想マシン中心の管理になっており、ハードウェアを意識する必要はない。
また、SimpliVity 380の特徴として挙げられるのが、FPGAを備えた専用アクセラレータカードやハードウェアRAIDコントローラを搭載し、ハードウェアによって圧縮や重複排除の処理を行っている点がある。これにより、インラインでのデータ容量の最適化を実現しており、ストレージのパフォーマンスを落とさずにHCI環境を利用できるという。
こうした重複排除と圧縮の機能は本番環境での利用時にも生きるが、もっとも効果があるのはバックアップに関してだろう。山中氏は、「1TBの仮想マシンを60秒未満でバックアップ/リストア可能。重複部分が多ければバックアップは1秒以下で終わる場合もある」とアピール。こうした特徴により管理者の作業を省力化し、“ITスタッフの働き方改革”を実現できるとした。
今回、日本ヒューレット・パッカードでは、こうした重複排除と圧縮による効率化を顧客が確認できるよう、顧客の実データを利用して実際の効果を測定する「HPE SimpliVity 圧縮体感センター」を、東京・江東区の本社内に設置。検証機の貸し出しやセットアップといった面倒な手間をかけずに、SimpliVityを検証できるようにした。同センターの利用は、日本ヒューレット・パッカードの営業経由で申し込める。
なお、日本ヒューレット・パッカードがSimpliVityの展開を積極的に進めるのは、同社が掲げる「Hybrid IT」環境の実現に向けた1ステップに、SimpliVityの導入を位置付けているからだ。
Hybrid ITでは、オンプレミス環境とパブリッククラウドを適材適所で利用した上で、シームレスに管理・運用できる環境を目指している。そのためには、オンプレミス側の環境をプライベートクラウド化することになるが、それに適した製品としてSimpliVityが位置付けられているという。
日本ヒューレット・パッカード 執行役員 ハイブリッドIT事業統括 統括本部長の五十嵐毅氏は、「オンプレミスをプライベートクラウド化するには、物理システムに捕らわれない、柔軟に仮想システムの管理が必要になるが、SimpliVityではこれが実現可能。また、今回対応したHyper-Vはパブリッククラウド、つまりMicrosoft Azureとの一貫性を持ち、Azureとの連携が簡単にできる。Windows OSとの高い親和性で、オンプレミスとパブリッククラウドの垣根をなくすことが可能だ」と述べ、SimpliVityと、そのHyper-V対応の意味をアピール。
ゲストとして登壇した日本マイクロソフト パートナー事業本部 パートナー事業統括本部 統括本部長の細井智氏は、「オンプレミスから仮想化環境へ、また既存サーバーからクラウドへの橋渡しとして、SimpliVityは最適な製品だ」と、その役割に期待していると述べた。