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日本ヒューレット・パッカードがHCI製品「HPE SimpliVity」強化、AMD EPYC搭載のエントリーモデルなどを追加
管理サービス「InfoSight」のSimpliVity対応も
2019年9月25日 06:00
日本ヒューレット・パッカード株式会社(HPE)は24日、ハイパーコンバージドインフラ(HCI)「HPE SimpliVity」の製品強化を発表した。エントリーモデルや遠隔バックアップ向けの新製品を提供するほか、クラウドベースの管理サービス「HPE InfoSight」をHPE SimpliVity向けに拡張し、提供開始する。
SimpliVityは、HPEがもっとも注力しているHCI製品で、米Hewlett Packard Enterpriseが2018年1月に買収した米SimpliVityのソフトウェアを、自社のx86サーバー「HPE ProLiant」のハードウェアに搭載して提供している。
今回はそのラインアップに、AMD EPYCプロセッサを搭載したエントリーモデル「HPE SimpliVity 325 Gen10」(以下、SimpliVity 325)を追加した。SimpliVityでは、専用のハードウェアアクセラレーターカードによって、ストレージの圧縮ならびに重複排除を行っていることが大きな特徴だったが、「SimpliVity 325」ではストレージ容量を最大7.5TBまでに限定することにより、ソフトウェアベースの実装でも従来と同じ効率で圧縮・重複排除を達成し、低価格化を実現しているという。
具体的には、従来製品と比較し、同一構成において約39%コストが抑えられているが、さらには、1CPUで最大32コアを搭載するAMD EPYCプロセッサを採用したことにより、仮想化ハイパーバイザーなど、ソケット課金のソフトウェアライセンス料金を削減できるとした。
ハイブリッドIT事業統括 ハイブリッドIT製品本部 エバンジェリストの山中伸吾氏によれば、現在では従業員20名の小規模企業でもSimpliVityを採用した例があるとのことで、HPEはコスト効率の高い「SimpliVity 325」によって、さまざまな企業へSimpliVityを訴求していく考えだ。
最小構成価格は411万6000円(税別)からで、従来製品と同様、最小2ノードから利用できる。
一方でリモートバックアップ向けには、「HPE SimpliVity 380 Backup and Archive node」(以下、Backup and Archive node)を提供する。山中氏はSimpliVityの採用理由として、高速なバックアップが評価されていることを挙げるが、SimpliVityでバックアップ構成を組む場合、「データの送信元・送信先がともにSimpliVityである必要があるため(注:機種は異なってもよい)、従来のオールフラッシュモデルでは“もったいなかった”」と説明。
SSDとHDDのハイブリッドモデルである「Backup and Archive node」を新たに投入することで、SimpliVityの高速なリモートバックアップというメリットを生かしたまま、コストを最適化できるとした。なお、従来製品での構成と比べると、容量単価で約36%安価になるとのことだ。
また「Backup and Archive node」に対して、複数の遠隔地サイトに設置されたHPE SimpliVity(最大96台)からのリモートバックアップが可能なため、統合バックアップ環境を容易に構築できるとしている。すでに顧客が購入済みのSimpliVityの別モデルからも、ソフトウェアのアップデートによりバックアップ可能とのことだ。
「Backup and Archive node」の価格は、最小構成で898万円(税別)から。
3つ目の強化としては、AI主導型運用を可能にするクラウド型管理サービスのInfoSightを、SimpliVityで利用できるようにした。
山中氏は、「HCIでは機器構成がシンプルになったため、ハードウェア故障やヒューマンエラーは減っているが、高集約化によるリソース管理の問題が起こったり、ソフトウェアの種類が増加することによって、バグや組み合わせのパターンによる不具合が起こったりする」という点を指摘。こうした問題をInfoSightによって解決するとした。
InfoSightでは、全世界に設置されているシステムが筐体内の数万におよぶセンサーデータをクラウドへ数分ごとに送信し、AIが分析を行っている。そして、そのシステムに起こりうる不具合を事前に予測し、システムの利用者あてにアラートの発信や具体的な対策のアドバイスを行ってくれるため、問題発生前に対処が可能となり、HCIシステムの信頼性、可用性が向上するとのこと。
まずは、24時間365日の監視、予測分析、使用率の可視化、自動通報といった機能がSimpliVity向けにも10月より無償提供され、今後は、HCIで利用するソフトウェアの組み合わせについても、高度な分析が可能になるとしている。