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日本ヒューレット・パッカード、Nimble Storageを国内で本格提供開始
AIを活用した分析・管理ソリューション「HPE InfoSight」を3PARにも対応へ
2017年11月22日 11:00
米Hewlett Packard Enterprise(HPE)の日本法人である日本ヒューレット・パッカード株式会社は22日、HPEが買収した米Nimble Storageのストレージ製品ラインアップを強化すると発表した。同時に、Nimble Storageが提供していた、クラウド型の分析・管理ソリューション「HPE InfoSight」の強化も順次行うという。
HPEでは、2017年3月にNimble Storageの買収を発表していたが、11月1日付けで同社の統合を完了。Nimble Storage製品事業を本格的に開始した。
2008年に設立されたNimble Storageは2010年よりストレージ製品の提供を開始しており、同社が長らく主力製品として販売してきたのが、ハイブリッド型ストレージである「CSシリーズ」だ。HDDと比べて高速なNVRAMやDRAM領域、高速フラッシュ領域(SSD)をキャッシュとして利用し、アクセス頻度の高いホットデータをあらかじめ記録しておくことで、ハイブリッド型でありながら高い性能を実現している点が特徴という。
また、2016年8月にはオールフラッシュモデル「AFシリーズ」をラインアップに追加。ディザスタリカバリ(DR)などに適したセカンダリフラッシュアレイ(ハイブリッド型)「SFシリーズ」とあわせ、現在は3シリーズが提供されている。
HPEによるNimble Storageの買収後、日本ヒューレット・パッカードは6月より、エントリーモデルの「AF1000」や「CS1000」など、これら3シリーズの製品を一部提供してきたが、今回より、フルラインアップでの提供を開始することになった。Nimble Storage全製品が、日本ヒューレット・パッカードの直販、およびすべてのチャネルパートナーで取り扱いが可能になる。
クラウド型の分析・管理ソリューション「HPE InfoSight」
加えてHPEでは、Nimble Storageの大きな特徴であるInfoSight(旧称:Nimble Storage InfoSight)を強化し、顧客にさらなるメリットを提供するという。Nimble Storageは世界中に1万社以上のユーザーを持つが、そうした全世界のNimble Storageの稼働データを取得してクラウドへ転送。InfoSightでは、それを顧客ごとに集計・分析し、レポートとして提供している。
このInfoSightが特徴的なのは、ストレージからアプリケーションに至るまでの問題を予測し、プロアクティブな解決を行っている点だ。パフォーマンスや容量に関する詳細な状況を確認できるほか、過去のストレージ利用状況やナレッジを踏まえた予測も行っており、故障の予兆を検知したり、容量やパフォーマンスの増強が必要になったりする場合には、それをレコメンドしてくれる。
また、ストレージとホストとなる仮想マシン(VM)間に存在するパフォーマンス上の問題を解析し、その問題の原因は何か、というところをドリルダウンしてIT部門に示せるとのこと。
今回は、こうした機能を提供する新たなAIレコメンデーションエンジンがInfoSightが搭載されたほか、Nimble Storageだけでなく、HPEのハイエンドストレージ「HPE 3PAR StoreServ」にも標準サービスとして提供されるようになる。
ハイブリッドIT製品統括本部 統括本部長の本田昌和氏は、「アプリケーションとデータの間のギャップは、複数の要因によってもたらされるもので、人間の力ではボトルネックを分析するのは困難。これを解決するのが予測分析であり、今後のインフラ全般に求められることになるだろう」と述べた。
なお、強化された新しいHPE InfoSightは、いずれも2018年1月の提供開始を予定。サポート契約が有効な、すべてのNimble Storage、あるいは3PAR StoreServのユーザーが無償で利用できる。
InfoSightではさらに、集めたデータを分析することで、Nimble Storage自体のサポートの自動化・効率化や、新たな製品開発などにも生かされており、3PARなどのストレージについても、今後こうした取り組みを行っていくことを検討しているという。
また日本ヒューレット・パッカードは、HPE Nimble Storage全製品に対して99.9999%の可用性を保証するSLA契約を標準で提供する。年間ダウンタイムが31.536秒を超えた場合、保守料金の返還などを行うとのことで、ハイブリッドIT製品統括本部 ストレージ製品担当マネージャーの諏訪英一郎氏は、「ここまでコミットしているベンダーはほかにないのではないか」とアピール。
Nimble営業本部 技術 部長の川端真氏も、Nimble Storageは、理論値をベースに主張している他社と異なり、「InfoSightの活用などによって、実績値として高い可用性を達成している(99.999928%)から」と説明し、製品の優位性を強調した。
日本ヒューレット・パッカードでは、これらの優位性を訴えて単体としてもNimble Storageの拡販を図り、新たな市場の獲得を目指すほか、従量課金によるサービス提供型モデル「フレキシブルキャパシティサービス for HPE Nimble Storage」(2018年2月提供開始予定)や、サーバーなどとセットにして仮想化導入を支援するパッケージの追加などにより、国内市場でのストレージ事業拡大を狙う。