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デルテクノロジーズ、従量課金でインフラを利用できる「Dell Technologies on Demand」を国内提供

 デルテクノロジーズ(デルおよびEMCジャパン)は5日、従量課金サービス「Dell Technologies on Demand」の提供を日本でも開始した。

 本誌でも既報の通り、2019年11月に米国テキサス州オースティンで開催された「Dell Technologies Summit」の基調講演において、Dell Technologiesのジェフ・クラーク副会長から発表されたもので、その時点では日本でのサービス開始時期は未定としていた。

 Dell Technologies(EMCジャパン) Dell Financial Services 日本および韓国担当リージョナルセールスディレクターの小川哲也氏は、「Dell Technologies on Demandで提供されるサービスの一部には、アジア地域においては、日本だけで展開しているものもある。デルテクノロジーズ全体として日本への投資を強化しており、その姿勢がDell Technologies on Demandにも反映されている。新しい柔軟な支払いサービスとサービスオプションの提供により、大手企業から中堅・中小企業まで、幅広い日本の企業のITコストを最適化できる」としている。

Dell Technologies(EMCジャパン) Dell Financial Services 日本および韓国担当リージョナルセールスディレクターの小川哲也氏
Dell Technologies On Demandの特徴

幅広いコンサンプション(消費)モデルを提供

 Dell Technologies On Demandは、幅広い支払いソリューションと基本サービスを統合して提供する「幅広いコンサンプション(消費)モデル」、広範なアプリケーションとユースケースに対応した「統合されたフルスタックソリューション」、革新的なインフラストラクチャーテクノロジーによる「業界をリードするエンド・ツー・エンドのポートフォリオ」の3つの特徴を持つ。

3つの特徴

 「幅広いコンサンプション(消費)モデル」では、従量課金制により、使用量に応じた支払いが可能であり、ワークロードにあわせて使用量を調整できる「Flex On Demand」、ビジネスの成長にあわせて支払え、支払いソリューションのカスタマイズが可能な「Pay As You Grow」、ITインフラ全体を対象にカスタマイズした課金モデルを提供する「Data Center Utility」の3つを用意する。

3つのコンサンプションモデル

 このうちFlex On Demandは、従来、Dell EMCブランドのストレージ製品や、HCIであるVxRailを対象にサービスを実施してきたが、今回はx86サーバー「PowerEdgeシリーズ」にも新たに対応。さらに、日本でも提供開始する自律型コンバージドインフラシステム「PowerOne」にも適用できる。

 「基本容量の要件を予測し、ピーク時の使用をカバーする必要バッファ量を用意。基本容量が固定料金となり、従量容量の使用量にあわせて支払額が増減する。ストレージであれば全体容量の40~80%、サーバーであれば全体容量の70~80%を基本容量として設定できる。ストレージでは、ディスクの平均GB使用量で測定。サーバーではCPUのコア使用時間の合計で測定する。またPowerOneでは、ストレージとサーバーの組み合わせによって支払額が決まることになる」という。

 なお、Flex On DemandにおいてPowerEdgeを対象として利用できるのは、北米、欧州のほか、アジアでは日本だけとなっている。「企業ごとに利用環境が異なるため、基本容量の設定などについては、いくつかの提案を行う形で最適な形に詰めていきたい」。

Flex On Demand

 2つ目のPay As You Growでは、ストレージ間のデータ移行などの際に、一時的に新旧ストレージが混在する環境になっても最適な料金で利用できるといった、柔軟なカスタマイズが提供できるという。

 なお、PowerOneとDell Technologies on Demandの組み合わせについては、「大なインパクトを生むものになる」とアピールする。

 「PowerOneはVMwareの活用が特徴であり、マルチクラウドを推進することができるインフラになる。オンプレミスとオフプレミスとを行き来するような利用が増加するなかで、Dell Technologies on Demandのサービスモデルは最適なものになる。インフラストラクチャカンパニーを目指すデルテクノロジーズを象徴する提案のひとつになると考えている」。

オプションサービスもコンサンプションモデルの対象に

 Dell Technologies On Demandにおけるもうひとつの特徴は、オプションで提供するサービスもコンサンプションモデルとして提供することだ。

 ここでは、サポートノウハウをAIベースのインサイトを活用し、生産性とアップタイムを最大化できるサポートサービスの「ProSupport」、テクノロジーの導入を促進し、少ない手間で迅速な展開と高いコントロールを実現するデプロイメントサービスの「ProDeploy」、顧客のITオペレーションをエンド・ツー・エンドに管理できるマネージドサービスの「Client & Infrastructure」を用意する。

 「ProSupportは、これまでは年額支払いが中心であったが、Dell Technologies On Demandでは月額での提案も進めることになる。また、ProDeployも月払いとすることで、初期導入費用の低減につなげることができる」とする。

 これらのサービスをオプションで提供することで、より広範なサービスを従量課金モデルで提供する一方、「日本では、システムインテグレータなどのパートナーによるサービスが充実しており、当社のサービスをオプションにすることで、パートナーのサービスを利用することができるようにしたこと、一方で再販を中心とするパートナーは、自らが持たないサービスをDell Technologies On Demandのオプションのなかから組み合わせ、提案できるようになる」とした。

PC as a Serviceを中小規模にも提供

 Dell Technologies On Demandのもうひとつの特徴が、PCの導入、運用においてサブスクリプションの仕組みを活用できる「PC as a Service」の拡張だ。従来は、日本においては150台以上を対象に利用できたが、Dell Technologies On Demandでは、20台からを対象にし、ひとり情シスの企業や、管理者がいない中小企業でも、容易に導入・管理ができるようにした。

 「ProDeployを組み合わせることで、社員一人ひとりにあわせた設定やカスタマイズを行った形で、PCを納品することも可能になる」という。

 デルテクノロジーズの小川氏は、「Dell Technologies On Demandは、業界随一のエッジからコア、クラウドまでを網羅したデルテクノロジーズのソリューションを、柔軟な消費モデルとインフラソリューション、サービスを統合して提供するものになる。すでに、日本でも営業活動を開始しているが、大手企業にとどまらず、中堅・中小企業まで幅広い企業からの反響がある」とする。

 Gartnerの調査では、オンプレミスコンピューティングの新規導入プロジェクトに従量課金制が占める割合は、2019年には1%未満であったものが、2022年までに15%に拡大すると予測されている。

 「Dell Technologies On Demandが占める割合は未定だが、デルテクノロジーズとしてはこの提案を加速することになる。まずは、調査会社が示す15%の比率が、ひとつの目安になる」などとした。