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Kofax Japan、製品強化とクラウド版提供で日本市場での売上増目指す
2019年11月14日 12:06
Kofax Japan株式会社は13日、ワールドワイドでのビジネス状況と日本法人の最新状況を紹介する記者会見を開催した。
来日した米Kofaxの最高経営責任者(CEO)、レイノルズ・C・ビッシュ氏は、「当社が提供するインテリジェント・オートメーション・プラットフォーム(IAプラットフォーム)は、あらゆるコンテンツ、ドキュメントを迅速に処理し、理解するとともに、全社規模で一貫した効率的なプロセスを構築する。真の意味でのデジタルトランスフォーメーション(DX)が実現できる」とアピールした。
なお日本法人は9月から、新しい代表取締役社長に荒川勝也氏が就任。「日本市場への投資を増やした結果、本年度(2019年12月期)の売上高は前年同期比で2倍となる見通し」と説明した。
成長するために進出したIAプラットフォーム
同社のIAプラットフォームは、次の5つの要素から成る。
1)コグニティブキャプチャ
どのような情報がどこから出てきても抽出して内容を把握
2)RPA
反復作業の自動化など、ルーティン化した作業をソフトウェアロボットのデジタルワークフォースが対応
3)プロセスオーケストレーション
人、プロセス、データがかかわる複数のワークフローを組織横断のオーケストレーションすることで、組織の俊敏性と機動力を高める
4)高度な分析
プロセスのパフォーマンスに関する実用的な分析とインサイトにより、意思決定の質を向上する
5)可能性とエンゲージメント
電子署名、多機能プリンタ、モバイルデバイスを活用して、効率、効果、信頼性の高いコミュニケーションと取引を行う
最新版では、センチメント(市場心理)分析およびエンティティ抽出のために、自然言語処理(NLP)を伴う拡張AI、機械学習(ML)を活用している。
このうちセンチメント分析においては、メール、法律文書、SNSの投稿、顧客サポートに関する問い合わせを含む、非構造化コンテンツの情報から意図と感情を理解できるようになった。またエンティティ抽出では、非構造化コンテンツから「人、場所、物」を簡単に見つけることが可能になる。
さらに、これまではオンプレミス版として提供され、ライセンスは無期限契約版、短期利用などが可能な期限付き契約版の選択ができるようになっていた。今回は新たにクラウド、SaaS版の提供を予定しており、ユーザーは自社に都合がよいものを選択することができるようになる。なお、クラウドはMicrosoft Azureに対応する。
分断されたシステム自動化はかえってマイナスになる
ビッシュCEOは、「当社は設立から30年以上を経過する企業で、かつての主力製品はキャプチャソフトウェアだったが、純粋なキャプチャ市場は天井が見えていた。成長するために進出したのがIAプラットフォームだ」と説明。そのうえで自社製品の強みを次のように解説する。
「ビジネスプロセスオートメーションは、決して新しいものではない。企業の業務を見ると、ポイント、ポイントでの自動化は行われている。しかし、本当の意味でのエンタープライズレベルの自動化を実現している企業は数少ない。サイロ化された自動化は企業にとってマイナス要因となることもある。分断されたシステム自動化は、新しい働き方を目指す企業にとっては大きな障壁となる。当社のIAプラットフォームはこの障壁を解消する力を持っている」(ビッシュCEO)。
サイロ化されたシステムを変えていく力となっているのが、強力なワークフロー。実はキャプチャ製品を提供していた時代にユーザーから要望があって開発に着手したものだという。
「キャプチャ時代には簡素なワークフローを提供していたが、お客さまから『なぜ、ダウンストリームでのビジネスプロセスにとどまるのか?』という声をいただいた。そこで6年前、ワークフローのケーパビリティを強化するための投資を行い、ビジネスプロセスマネジメント(BPM)のダイナミックケースマネジメント分野に進出。キャプチャ時代のワークフローに比べ、包括的なワークフローが実現できるようになった。RPA発でBPMに取り組む企業もあるが、当社はまずBPMありきで企業の改革に取り組む仕組みとなっていることが強み」(ビッシュCEO)。
こうした製品の特徴が理解され、日本法人のビジネスは好調。1月~9月の売上成長率は前年同期比70%増、特に7月~9月は305%増で、本年度(2019年12月期)売上高成長率を2倍とすることを目標としている。
また、日本法人の体制も強化を進める。従来は本社の役員が日本法人の社長を兼務していたが、9月に、デロイトコンサルティングなどに在籍した経験を持つ荒川氏が社長に就任。プロフェッショナルサービス部門、パートナー部門、マーケティング部門にも新たな責任者が就任し、本社が買収した企業のスタッフなども加わり、営業、技術のスタッフを倍増したという。
さらに日本市場でのマーケティング施策としては、RPA製品にはユーザーコミュニティが必要という声が多いことから、ユーザーコミュニティを新設している。
導入企業としては、三菱UFJフィナンシャル・グループがKofax RPAとKofax IAを国内およびグローバルで導入している。
「広島銀行では、30業務にKofax RPAを導入し、年間2万時間の効率化を目指して業務改革が進められている。当社製品が選択された要因としては、サーバー型で開発と運用にガバナンスをきかせることが可能な点がまず評価された。さらに、UIが直感的でプログラミングが不要である点、金融機関に導入実績がある点も評価点となったようだ。こうした導入要因は、大手保険会社での導入の際にも評価点となっている」(荒川氏)。
Kofaxでは、今後も日本市場に対する投資を進め、2020年度はさらなる売上拡大を目指していく考えだ。