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テラスカイ、2019年度上期業績はSalesforce市場の好調を受け増収増益

量子コンピュータ分野の事業進捗も説明

 株式会社テラスカイは12日、2019年度上期(2020年2月期第2四半期)の事業概況、および注力事業である量子コンピュータ分野の展開について説明会を開催した。

 説明会ではまず、テラスカイ 代表取締役社長の佐藤秀哉氏が、上期の事業展開を振り返り、「コールセンター関連」、クラウド型データ連携サービス「DataSpider Cloud」、クラウド・コミュニケーションプラットフォーム「mitoco」の各ビジネスのトピックスを挙げた。

テラスカイ 代表取締役社長の佐藤秀哉氏

 「コールセンター関連」では、今年6月に、スカパー・カスタマーリレーションズのオムニチャネルコールセンターシステム「スマートコンタクトセンター」の構築を支援。8月からは、CRMと連携したLINEのマーケティングソリューション「OMLINE-O」を提供開始した。9月には、Twilioとゴールド・SIパートナー契約を締結している。

 「DataSpider Cloud」のトピックスとしては、トヨタ自動車の基幹システムとSalesforce次期営業活動支援システムをつなぐデータ連携基盤に「DataSpider Cloud」が採用されたほか、鎌倉新書が「DataSpider Cloud」を採用して基幹システムをリプレースしたことを発表した。

 「mitoco」については、JCBの国内営業部門で採用され、Salesforceの導入に合わせて600IDを利用開始したという。

 こうした取り組みを踏まえ、上期決算のハイライトについて佐藤氏は、「上期実績は、ソリューションと製品の需要拡大によって、対前年比増収増益で着地することができた。売上高は、Salesforce開発案件の増加により自社製品の導入が好調に推移したほか、ソリューション事業で大型開発案件が増加した。営業利益は、『DataSpider Cloud』、『SkyVisualEditor』、『mitoco』の導入が伸びたことやソリューション案件の受注、納品が好調を維持したことで、前年の赤字から黒字に転換した」と説明した。

2019年度上期決算のハイライト

 「クラウド別の売上構成比は、Salesforce市場の好調を背景に、Salesforceビジネスの比率が増加。前年上期はAWS(Amazon Web Services)が33%、Salesforceが67%だったが、今上期はAWSが30%、Salesforceが70%となっている。事業別では、Salesforce関連自社製品の販売が拡大したことで、製品事業の売上比率が増加した。前年上期は製品が18%、ソリューションが82%だったが、今上期は製品が21%、ソリューションが70%となった」としている。

事業別の売上構成比

 注力事業である量子コンピュータ分野の展開については、2019年6月に量子コンピュータの新会社「株式会社Quemix」を設立し、「量子コンピューティング・ラボ」と「組み合わせ最適化支援」の2つの取り組みを進めている。

 「量子コンピューティング・ラボ」では、世界で初めて、量子コンピュータの最新鋭機「IBM Q」を利用し、計算時間の短縮または精度向上を目指していく。「組み合わせ最適化支援」では、D-Waveをはじめとするさまざまな手法を駆使して、膨大な組み合わせの中から最適なものを見つけ出すソリューションを提供していくという。

 「Quemixでは現在、量子コンピューティング・ラボでの共同研究がスタートしている。また、モバイルコンピューティング推進コンソーシアム(MCPC)における実証実験を10月から開始した。このほか、Quemix社員である須郷聖也氏の提案プロジェクト『量子性を活かしたゲームの開発』が、IPAの未踏ターゲット事業に採択された」と、Quemixの事業進捗を説明した。

 また、佐藤氏は、上期に実施した資本施策についても触れ、「今年3月に出資先のサーバーワークスが東証マザーズに上場した。また、同月にベンチャーキャピタル子会社の『株式会社テラスカイベンチャーズ』を設立した。5月には、Ruby on RailsのWebシステム開発に強みを持つCuonを子会社化。9月には、日本システム技術と資本業務提携を結んでおり、今後も多方面にビジネスを広げていく」との考えを述べた。