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テラスカイ、東証一部への市場変更を受け今後の事業戦略について説明

注力製品「mitoco」の新機能AIアシスタントを来春提供へ

 株式会社テラスカイは28日、同社株式の上場市場が、11月27日付で東京証券取引所マザーズ市場から同取引所市場第一部へ市場変更されたことを受け、都内で記者会見を行った。

 会見では、今回の市場変更の狙いおよび今後の事業戦略について説明したほか、注力製品であるコミュニケーション・プラットフォーム「mitoco」の新機能「mitocoアシスタント」を発表した。

社会的認知度や資金調達力の向上を見込む

 テラスカイは、2006年にクラウド専業のシステムインテグレーターとして設立し、2015年に東京証券取引所マザーズ市場に株式を上場。今年11月27日に、マザーズから東証一部に上場市場を変更した。現在、クラウドインテグレーション事業の導入実績は3500案件を超えており、業種・業態・企業規模を問わず、多くの企業のクラウド活用を支援している。

 今回の上場市場変更について、テラスカイ 代表取締役社長の佐藤秀哉氏は、「マザーズは東証一部に比べると認知度が低く、株の売買を行うファンドも少ないのが実情だ。そこで、当社の社会的認知度をさらに向上させるべく、東証一部への市場変更を行った。また東証一部に上場することで、信用力が担保され、資金調達力が大きく向上することも見込んでいる。これにより、事業規模の拡大とともに、さらなる新規事業領域への展開を加速していく」との考えを述べた。

テラスカイ 代表取締役社長の佐藤秀哉氏

 現在の事業概況としては、「創業以来、売り上げは順調に伸びており、2019年2月期は67億7700万円を見込んでいる。上期の売上実績は、前年同期比32.7%増の30億3200万円で、目標達成への進ちょく率は44.7%だが、十分に射程距離内にあると考えている。また、Salesforce関連とAWS関連の売上構成比は、昨年上期が77%対23%であったのに対し、今年上期はAWS関連の構成比が33%まで高まった。これは、グループ会社であるBeeXとスカイ365の事業が好調に推移していることを背景に、AWS関連ビジネスが劇的に増加したことが挙げられる」と説明した。

創業期からの売上推移

 今後の事業戦略については、「デジタルトランスフォーメーション(DX)に向けた環境を整備する“DX Ready”を支援するべく、成長分野へのチャレンジを進めていく」とし、(1)ポストモダンERP/LIFT&SHIFT、(2)AppExchange化支援、(3)次世代コンタクトセンター、(4)R&D部の設立、(5)「mitoco」への投資--の5つの重点施策を挙げた。

 「ポストモダンERP/LIFT&SHIFT」では、既存の基幹システムをクラウドにリフトして柔軟性を高め、市場の変化に応じて即シフトできる社内システムの実現を支援する。「AppExchange化支援」については、オンプレミスのアプリケーションやサービスをクラウド化し、Salesforceのマーケットプレイス「AppExchange」への登録を支援する。「次世代コンタクトセンター」では、新たなチャネルに対応可能なオムニチャネル・コンタクトセンターの構築を支援する。

 「『R&D部の設立』については、クラウドを軸に機械学習、RPA、IoT、仮想パーソナル・アシスタント、量子コンピュータ、AR/VRの6つの分野に取り組んでいくため、R&D部を新設した。これらの分野を研究し、製品化やサービス化を図ることで実ビジネスへとつなげていく。そして、R&D部による研究成果を生かし、コミュニケーション・プラットフォーム『mitoco』への投資を拡大していく」とした。

AIチャットボットのサービス提供を予定

 今回、「mitoco」の機能強化の1つとして、新たにAIチャットボットによるアシスタント機能「mitocoアシスタント」を開発し、2019年春ごろにサービス提供を開始することを発表した。

 「mitocoアシスタント」は、生産性の低い業務をユーザーの替わりに行うパーソナルアシスタント機能。例えば、社内外の人とのスケジュール調整を、チャットや音声の命令に従って行うことが可能となる。また、Salesforceに登録されている予定を音声で通知したり、Salesforce上の顧客情報や商談情報を調べて回答したりすることができるという。mitocoとの対話は、マルチクライアントを想定しており、現在は、LINE WORKS、Slackとの連携が決定しており、将来的にはAlexa for Businessとも連携する予定。

「mitocoアシスタント」のシステム構成図

 「mitocoアシスタント」の開発の狙いについて、R&D部を統括するテラスカイ CTOの竹澤聡志氏は、「パーソナルアシスタントは、スマートスピーカーを中心に、消費者市場で盛り上がりを見せているが、ビジネスシーンではまだほとんど活用されていないのが現状だ。そこで、当社では、ビジネスパーソンの生産性向上を図ることを目的に、『mitoco』がユーザーと対話し、個人秘書のように働くAIアシスタント機能を開発した」としている。

テラスカイ CTOの竹澤聡志氏

 「mitocoアシスタント」を活用して提供されるサービスとしては、「担当する顧客に関するニュースの自動通知」、「議事録作成および要約の作成」、「メンタリングの実施」、「訪問先までのルート検索」、「タイムカードの記録」、「交通費精算」、「カレンダーと連携した自動アポ調整」、「自然言語によるレポート作成」、「オフィス用品の補充」、「エンタープライズ検索」などを想定している。