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KDDI、法人向けの5G対応ソリューションを発表 5Gと映像・AIを組み合わせたサービスを2020年3月から順次提供

 KDDI株式会社は2日、第5世代移動通信システム(以下、5G)と高精細動画像、AIを組み合わせた法人向け5G対応ソリューションとして、「AIカメラ」、「Intelligent Display」、「3Dホログラム」を、2020年3月より順次提供を開始すると発表した。

 また、5G時代のビジネス開発拠点「KDDI DIGITAL GATE」を通じた5Gトライアル環境の提供を11月より開始する。

5G対応ソリューションをKDDIがワンストップで提供

 同日に行われた記者発表会では、5G対応ソリューションの概要説明およびデモンストレーションが行われた。

 KDDIは、IoT領域で約20年にわたる実績を持ち、法人向けに最適なセンサー・デバイスから通信ネットワーク、データ活用クラウド、用途別パッケージまで、IoTソリューションをワンストップで提供してきた。このIoTソリューションで培ったノウハウ・知見をベースに、5Gの通信サービスを組み合わせることで、5G対応ソリューションについてもKDDIがワンストップで提供し、法人顧客の5Gビジネスの早期構築を支援していく方針。

5G時代のソリューションサービスの方向性

 KDDI ビジネスIoT企画部長の原田圭悟氏は、5G時代のビジネスモデルについて、「5G時代は、あらゆるモノがつながり続け、通信がサービスに溶け込む時代になる。また、これにともない、従来のフロー(売り切り)型から、リカーリング(循環)型のビジネスモデルへのシフトが加速すると予測している。AI/5G/IoTの3階層モデルによって、顧客の状態・行動・感情がデータとして循環することで、新たな価値が生み出されていく」との考えを述べた。

KDDI ビジネスIoT企画部長の原田圭悟氏

 今回発表した5G対応ソリューションは「映像×5G」をコンセプトとしており、5Gの特長である大容量・低遅延を生かし、高精細動画像の伝送とAIを組み合わせたサービスを提供する。「映像と5Gを組み合わせることで、映像認識精度が大幅向上し、さらなる『見える化』を実現するとともに、リアルなOne to Oneマーケティングが可能になる。

 また、これまで固定回線やオンプレミス環境で構築されていたシステムが効率化され、導入・運用コストを低減できるほか、店舗や現場の省スペース化やトラブル時の遠隔対応といったニーズにも対応できる」(原田氏)としている。

 具体的には、「AIカメラ」、「Intelligent Display」、「3Dホログラム」の3つのサービスを、来年3月以降に順次提供開始する予定だ。

 「AIカメラ」は、高精細カメラと画像解析エンジンによる分析ソリューション。5Gを利用することで、大容量・高精細な映像のアップロードが可能となり、画質向上によって認識精度が大幅に向上し、マーケティングや店舗設計への活用が可能となった。

 加えて、従来のローカル環境にサーバーを設置するシステム構成と比較して、クラウド環境へのサーバー設置により、スペースや配線の課題に悩むことなく運用できる。さらに、店舗への機器設置コストも削減することができる。

「AIカメラ」のサービス概要

 主に小売業界、飲食業界、鉄道業界、航空業界の顧客を中心に、滞在時間分析、空席情報可視化、スタッフ勤怠管理、乗客ホーム転落検出、踏切侵入検出、混雑検出などの用途を想定している。提供価格は、クラウドサーバー利用料が4万円/月・台から、カメラ台数単位が1万6000円/月・台から。

「AIカメラ」のデモンストレーション

 「Intelligent Display」は、高精細カメラやセンサーと連携し、来場者の属性に合わせたコンテンツ配信を実現するソリューション。5Gに対応することで、画面をタッチした人の属性に合わせてコンテンツを表示したり、二度目にタッチした人にはタッチ履歴に合わせたコンテンツを表示することができる。さらに、属性解析を行うことでOne to Oneマーケティングでの活用も可能となった。また、ローカル環境に設置していたサーバーをクラウド環境に移行することにより、コンテンツの即時更新や導入コスト削減など業務効率化を図ることができる。

「Intelligent Display」のサービス概要

 主に商業施設や公共施設、イベント会場における電子案内板や広告表示などの用途を想定している。提供価格は、4万9000円/月・台から。

「Intelligent Display」のデモンストレーション

 「3Dホログラム」は、ヘッドマウントディスプレイなどを装着することなく、裸眼で3Dコンテンツを立体的に視聴することができるソリューション。専用ディスプレイに加えて、センサー連携によるインタラクティブなコンテンツ生成の実現、3DCGコンテンツの制作などをワンストップで提供する。遅延が少ない操作性と触感も加えた新しい「Natural User Interface」を実現し、新たな訴求方法やコンテンツの利用が可能となる。また、ローカル環境に設置していたサーバーをクラウド環境に移行することにより、筐体のダウンサイジングおよびコスト削減を図ることができる。

「3Dホログラム」のサービス概要

 主に小売業界における商品展示や、美術館・博物館における展示物の360度視聴、受付業務などの用途を想定している。提供価格は、7万7000円/月・台から。

「3Dホログラム」のデモンストレーション

 なお、同社では、サービスの提供開始に先立ち11月から、5G時代のビジネス開発拠点「KDDI DIGITAL GATE」において5Gトライアル環境の提供を開始する。また、2019年度内に、第2弾、第3弾のサービスを発表する予定で、今後も続々と5G対応ソリューションをリリースしていくとしている。