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インテル、HPEサーバー向けの最新FPGA製品「FPGA PAC D5005」を提供開始

 インテル株式会社は26日、FPGA製品に関する取り組みについてのプレス向け説明会を開催。最新製品である「インテル FPGA PAC D5005」が、HPE ProLiant DL 380 Gen10サーバー製品に搭載され、提供開始されることを紹介した。

 米国では8月5日付けで発表されており、国内でも同様の提供体制が整った形となる。なおHPEではオプションの名称として、「インテル Stratix 10 SX FPGA」と呼んでおり、8月29日から国内受注を開始する予定。

「インテル FPGA PAC D5005」搭載のHPE ProLiant DL 380 Gen10を提供
会場に展示されていたHPE ProLiant DL 380 Gen10サーバーと「インテルStratix 10 SX FPGAアクセラレータ」(HPEの製品名)。3基が搭載され、価格は221万円とのこと。なお、サポートされるサーバーの機種は今後拡大される予定という

高性能、高スループットのサーバー向けアクセラレーションカード

 「インテル FPGA PAC D5005」は、インテル Stratix 10 SX FPGAを搭載したプログラマブルアクセラレーションカード(Programmable Acceleration Card:PAC)で、サーバー向けのアクセラレーションカードとして最新製品となる。以前は「インテルPAC インテルStratix 10 SX FPGA搭載版」という名称で紹介されていたものと同等だが、名称変更が行われた。

以前から提供されている「インテルPAC インテルArria 10 GX FPGA搭載版」は継続販売され、新たに追加された「インテルFPGA PAC D5005」と市場をすみ分ける形となる。なお、今回から製品名の体系が変更され、中核となるFPGAチップの名称が前面に出ない形になっている

 概要説明を行った同社のプログラマブル・ソリューションズ営業本部 事業開発マネージャーの山崎 大輔氏は、今回のポートフォリオ拡充によって、従来提供されていた「インテルPAC インテルArria 10 GX FPGA搭載版」が「低電力で幅広いユーザー層にて導入」、「インテル FPGA PAC D5005」が「高性能、高スループット」という位置づけになることを紹介。

 その上で、インテル FPGA PAC D5005では処理性能やメモリ搭載量、I/Oバンド幅などが向上しており、「従来は実行が難しかった新しいワークロードのアクセラレーションにも対応できるようになった」とした。

インテル プログラマブル・ソリューションズ営業本部 事業開発マネージャーの山崎大輔氏
既存のインテルArria 10 PAC(インテルPAC インテルArria 10 GX FPGA搭載版)と「インテルFPGA PAC D5005」との棲み分け。D5005では内蔵されるメモリ用の増加などの恩恵もあり、従来は難しかった低レイテンシが求められるワークロードなどに対応できるようになったという

 また同氏は、既に市場で普及しつつあるGPUとの比較についてもベンチマーク結果を踏まえて紹介し、ワークロードの特性によってFPGAが向く用途が存在することを強調したほか、ユーザーが任意にロジックを書き換えられるというFPGAの特性を生かし、「昼間はトランザクション処理向け、夜間はバッチ処理向け」といった形で、ワークロードに応じた最適化が可能な点も、FPGAのメリットとして挙げている。

GPU(NVIDIA V100)とのベンチマーク比較。上の表は、GPUが得意とする大量データの一括処理という形になるように、GPU側のパッチサイズを256にしてあり、いわば「GPU側に有利な設定」で実行した結果だが、この場合でも実効スループットはほぼ同等、消費電力量は1/6で済むという結果になっている。下は、音声のリアルタイム処理というワークロードの特性に合わせてレイテンシを最小化するためにパッチサイズを1にそろえた場合の結果。この場合は実効スループット、レイテンシ共にFPGAが上回るという。なお、山崎氏はこの結果の解釈として「FPGAがGPUよりも高速だと言いたいわけではなく、ワークロードの特性として“FPGAに向く処理”というものが存在するということを示したもの」としている

データセンターにおける消費電力量の増加対策に有効なソリューション

 また、HPE側の取り組みについて紹介した日本ヒューレット・パッカード株式会社(以下、HPE) ハイブリッドIT事業統括 ハイブリッドIT製品統括本部 カテゴリーマネージャーの高橋健氏は、「HPE ProLiant DL 380 Gen10」を「HPEでもっとも売れているサーバー」と紹介した上で、2018年12月から国内受注開始している従来製品「インテルArria 10 GX FPGAアクセラレータ」に加え、新たに「インテルStratix 10 SX FPGAアクセラレータ」の国内受注を2019年8月29日より開始するとした。

日本ヒューレット・パッカード ハイブリッドIT事業統括 ハイブリッドIT製品統括本部 カテゴリーマネージャーの高橋健氏

 さらに、ゲストとして登壇した、「インテルFPGAを核とした各種ビジネスを展開」するアイベックステクノロジー株式会社の事業戦略室の馬場 隆行氏は、市場でFPGAへのニーズが高まる背景として、“YouTuber”などのビデオコンテンツ作成者の人気が高まっていることがあると指摘した。

 大量のビデオコンテンツが作成されるようになってきていることに加え、複数の動画配信プラットフォームが存在し、さらに各プラットフォームからはエンドユーザーの視聴端末や接続回線の品質に応じてデータ圧縮率や表示画面サイズの異なる複数のエンコード結果を準備しているため、実行される動画のトランスコーダ処理量が膨大になっているという。

 これに対し、FPGAはトランスコーダ処理を高速かつ低消費電力で実行できることから、社会的な課題と目される、データセンターにおける消費電力量の増加傾向に対して有効なソリューションとなることが期待されるとした。

アイベックステクノロジー 事業戦略室 馬場隆行氏