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Cohesity、セカンダリストレージ「Cohesity DataPlatform」の新アプリケーションを提供

パブリッククラウド環境のマスデータ断片化に関する調査結果も発表

 Cohesity Japan株式会社は6日、セカンダリデータ向けのハイパーコンバージドプラットフォーム「Cohesity DataPlatform」の新アプリケーションとして、オンプレミスのワークロードをクラウドに自動的に移動できる「Cohesity Runbook」と、バックアップデータを活用してIT環境の脆弱性やリスク状況を評価する「Cohesity CyberScan」を日本市場で提供開始したと発表した。

 同日に行われた記者説明会では、この2つの新アプリケーションの概要説明とあわせて、米Cohesityから発表されたパブリッククラウドに関するグローバル調査の結果について紹介した。

 今回新たに提供開始したCohesity RunbookおよびCohesity CyberScanは、Cohesity DataPlatform上で実行するアプリケーション。同社のマーケットプレイス「Cohesity Marketplace」を通じて提供され、ユーザー企業は無料で利用することができる。

 各アプリケーションの概要説明に先立ち、まず、Cohesity Japan代表取締役の江尾浩昌氏が、米Cohesityが同日に発表したパブリッククラウドに関するグローバル調査結果のサマリーについて紹介した。

 「この調査は、日本の100人の回答者を含む900人の上級IT意思決定者を対象に実施したもので、パブリッククラウド環境におけるマスデータ断片化に焦点を絞って調査を行った。調査結果によると、パブリッククラウドで期待されるメリットと、実際に提供されているメリットとの間に、大きなギャップが存在していることが明らかになった。また、期待されるメリットを享受できていないと回答したIT管理者の89%は、マスデータの断片化がその原因だと考えていることがわかった」としている。

 なお、マスデータの断片化とは、無数の異なる場所、インフラストラクチャのサイロ、管理システムに分散したデータが急増し、組織がその価値を十分に活用することができなくなっていることを指している。

Cohesity Japan代表取締役の江尾浩昌氏

 パブリッククラウド内のデータ断片化による影響に関しては、「国内回答者の55%が、複数のパブリッククラウドにわたるデータ管理に3~4種類の製品を利用しており、オンプレミスとパブリッククラウド間でデータを移動する際に、それらの製品が統合されていない場合、回答者の54%がセキュリティ、59%がコンプライアンス、40%がコストに懸念を抱いていた」という。

 「一方で、国内回答者の91%は、マスデータ断片化の問題を解決することができれば、パブリッククラウドのメリットをさらに実現できると考えていた。当社では、こうしたニーズに応えるソリューションとして、Cohesity DataPlatformを提供しているが、今回、新たに2つのアプリケーションを追加することで、このマーケットプレイスをさらに強化していく」と述べた。

 新アプリケーションCohesity Runbookは、オンプレミスのデータセンターからパブリッククラウドへ、ワークロードを自動的かつ体系的に移動できる機能を提供する。ワークロードを移動する際に正しい手順で実行されるように、企業の管理者が自動化ワークフローをドラッグ&ドロップで設計できるグラフィカルな設計キャンバスを用意している。また、APIも提供しているため、管理者は使い慣れたツールを使いながらアプリケーションの利点を活用できるように、好みのIaaS自動化ツールと統合することができる。

「Cohesity Runbook」の画面イメージ

 Cohesity Japan 営業本部 シニアSEマネージャーの東一欣氏は、Cohesity Runbookのメリットについて、「オンプレミスのワークロードをクラウドにシームレスに移行する際に直面していた、時間のかかる複雑なプロセスを解決することができる。例えば、ディザスタリカバリのためにデータをクラウドに移動する場合、これまでは、『手作業による煩雑なプロセス』、『互換性のない仮想マシンフォーマット』、『エラーが発生しやすい』、『移動が困難』、『リカバリの失敗リスク』などの課題を抱えていた。『Cohesity Runbook』を利用することで、ワークロードの移動を自動化し、これらの課題とリスクをすべて排除できる。第1弾として、VMwareの仮想マシンをAWSのEC2インスタンスに移行する機能を提供し、今後サポートプラットフォームを広げていく」と説明した。

Cohesity Japan 営業本部 シニアSEマネージャーの東一欣氏

 もう1つのCohesity CyberScanは、バックアップデータを活用して企業のIT環境の脆弱性やリスク状況を評価する、業界初のセキュリティアプリケーション。本番環境の代わりに、Cohesity DataPlatform上のバックアップデータをスキャンすることで、IT環境全体の脆弱性を特定するという。

 これには、OS、コンピュータ、ネットワークデバイス、コンフィギュレーションが含まれており、わかりやすいセキュリティダッシュボード上にグローバル規模での脆弱性を表示し、脆弱性への対処方法について実践的な推奨事項を提供する。

「Cohesity CyberScan」の画面イメージ

 なお、同アプリケーションでは、Common Vulnerabilities and Exposures(CVE)データベース内で定期的に公開されているエントリに対する脆弱性を特定するため、クラウドの脆弱性管理ソリューション「Tenable.io」を利用しているとのこと。

 また、Cohesity独自のアーキテクチャも活用しており、データを別のアプリケーション環境に移動することなく、データが存在するCohesityクラスタ上でアプリケーションを直接実行することが可能となっている。

 さらに、バックアップ検証を支援し、特定のバックアップ・スナップショットを確実にリカバリできるようにする。これにより、リカバリジョブの実行時に、既知または以前に対処した脆弱性が本番環境で再発生するリスクを排除できる。また、従来は本番環境におけるスキャンのスケジュールを数週間または数か月間で設定する必要があったが、Cohesity CyberScanでは、本番環境に影響を与えず、バックアップデータのスキャンを頻繁に実行できるようになるため、データ漏えいの危険性をさらに低減することができる。