ニュース

ピュア・ストレージ、クラウドやフラッシュに対応したデータ保護製品「ObjectEngine」

バックアップデータからの高速リストアを実現

 エンタープライズ向けオールフラッシュストレージ専業ベンダーのピュア・ストレージ・ジャパン株式会社は14日、フラッシュストレージおよびクラウドに対応したデータ保護プラットフォーム「ObjectEngine」を発表した。

 同時に、イーサネット越しにNVMeフラッシュストレージを高速に利用するNVMe over Fabricの「DirectFlashファブリック」機能についても発表した。

データ保護プラットフォーム「ObjectEngine」のアプライアンス型「ObjectEngine//A」

フラッシュストレージやクラウドにバックアップを保存するゲートウェイ

 ObjectEngineは、データのバックアップとリストアのための製品だ。既存のバックアップソフトウェアと併用することを想定しており、バックアップソフトウェアからはバックアップ先ストレージのように見えるゲートウェイとして働く。ObjectEngine自身は永続的なデータを保持せず、受け取ったバックアップデータにインライン重複排除をかけ、ObjectEngineとは別のフラッシュストレージやクラウドストレージ(Amazon S3)に保存する。なおObjectEngineは、米Pure Storage社が2018年に買収したStorReduce社の技術がベースになっている。

 ObjectEngineは、アプライアンス製品の「ObjectEngine//A」と、クラウド上のソフトウェア製品の「ObjectEngine//Cloud」の2種類の形態で提供される。オンプレミス環境からはObjectEngine//Aを、パブリッククラウド環境からはObjectEngine//Cloudを利用することになる。

 記者発表会に出席した米Pure Storageの戦略部門副社長のマット・キックスモーラー(Matt Kixmoeller)氏は、バックアップデータから復元するリストアの速さをObjectEngineの特徴として挙げた。「既存のバックアップ専用アプライアンスは、バックアップのスピードに特化していて、リストアのスピードが遅い」(キックスモーラー氏)。

 キックスモーラー氏によると、従来製品でリストア速度が1日1TBのところ、Amazon S3からObjectEngine//Aを経由したリストアが毎時1TB、フラッシュストレージからObjectEngine//Aを経由したリストアがそれ以上という調査結果が出されているという。

 氏は従来のバックアップソリューションを、プライマリディスクからバックアップディスクに、そして長期保存用のデータにバックアップする「ディスク→ディスク→テープ(D2D2T)」と呼ぶ。それに対して、ObjectEngineによるソリューションを「フラッシュ→フラッシュ→クラウド(F2F2C)」と呼ぶ。

 例えば、長期保存用にAmazon S3に保存したデータを、テスト・開発環境作成や分析などの目的でクラウドにリストアし再利用する、といったことができるとキックスモーラー氏は語った。あるいは、Amazon S3を経由して複数拠点にレプリケーションすることも、重複排除と高速リストアによって考えられるという。

 そのほか、集約性についても競合製品で4.5ラックを必要としたものが、ObjectEngine+FlashBladeの構成で1+1/3ラックとなると主張した。

 ObjectEngine//Aは、システムの一般提供が2019年3月の予定で、CloudDirectの一般提供が2019年5月の予定。ObjectEngine//Cloudの一般提供が2019年後期の予定。

米Pure Storageの戦略部門副社長のマット・キックスモーラー氏
アプライアンス製品の「ObjectEngine//A」とクラウド上のソフトウェア製品の「ObjectEngine//Cloud」の2種類
リストア速度を従来製品と比較
従来の「ディスク→ディスク→テープ(D2D2T)」と「フラッシュ→フラッシュ→クラウド(F2F2C)」の比較
Amazon S3にバックアップしたデータから複数拠点にレプリケーションする例
集約性を競合製品と比較

「NVMe over Fabricをミッドレンジで使えるようにする」

 もう一方の「DirectFlashファブリック」は、イーサネット越しにNVMeフラッシュストレージを高速に利用するNVMe over Fabricの機能だ。FlashArray//XのOSアップデート(Purity 5.2)によって対応する。

 Pure StorageではフラッシュストレージのNVMe化を「DirectFlash」として進めている。「Pure Storageが7年前に製品を出したときには1ミリ秒以下のレイテンシを目指したが、現在ではマイクロ秒の世界になってきている。それを実現するのがNVMeであり、われわれの出荷している製品の8割がDirectFlashだ」とキックスモーラー氏は言う。

 NVMe over Fabricは、RDMA(リモートDMA)によって、イーサネット経由でNVMeにアクセスする技術だ。「速度が必要とされる分野では、共有ストレージではなくDAS(サーバーに直接接続されるストレージ)が使われている。しかしNVMe over Fabricであれば、同等以上の速度が出せる」とキックスモーラー氏。DASは、サーバーごとにストレージを持つため、容量を最適化するのが困難という課題がある。「AWSやGoogleのようなハイパースケーラーは、DASを15年前にやめている。その技術をすべての人に提供する」(キックスモーラー氏)。

 ピュア・ストレージのプリンシパル・システムズ・エンジニアの岩本知博氏も、「NVMe over Fabircは一般にハイエンドのソリューションだが、DirectFlashファブリックはミッドレンジで使える」と主張。「iSCCIのほうがコストが安いがレイテンシーがある。そこに向けてNVMe overを出していく」と語った。

 ただし、NVMe over FabricはNICやサーバー、OSの相互運用性でまだ課題がある。そこでPure Storageでは、Cisco UCSサーバーやCisco Nexusスイッチと組み合わせた検証済みの構成をリファレンス構成として発表している。

NVMe over Fabricの「DirectFlashファブリック」。FlashArray//XのOSアップデートで対応
DASの課題
「ハイパースケーラーの技術をすべての人に」。写真は実際のクラウド顧客のラックだという
ピュア・ストレージのプリンシパル・システムズ・エンジニアの岩本知博氏
各種アプリケーションの高速化の例
リファレンス構成も発表