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セールスフォースが最新のAI機能を紹介、コールセンター業務を強力に支援
「Salesforce Service Cloud Einstein」の新機能
2019年3月1日 06:00
株式会社セールスフォース・ドットコム(以下、セールスフォース)は2月28日、プレスセミナーを開催。定期アップデートにより2月12日に提供が開始された「Spring'19リリース」における、AI機能「Salesforce Service Cloud Einstein」の新機能について解説した。
説明されたのは、いずれもコンタクトセンター向けの機能だ。エージェント(オペレーター)が入力しなくても優先度などの項目を自動的に埋めてくれる「Einsteinケース分類」新機能や、クロスセルなどのアクションを提案する「Einstein Next Best Action」の正式リリースが紹介された。さらに、2018年にリリースされたチャットボット「Einsteinボット」についても紹介がなされた。
さまざまなアプリケーションと顧客との接点にEinstein
まず、同社の早川和輝氏(マーケティング本部 プロダクトマーケティング マネージャー)が、改めてEinsteinについて説明した。
氏はSalesforceについて、営業支援や顧客管理からさまざまなアプリケーションに広がっていること、その中心に顧客がいることを説明。その接点としてさまざまなデータを集約して最適な機能を実現するのがEinsteinだと語った。
Einsteinの機能については、大量のデータから傾向やパターンを発見する「DISCOVER」、そこから予測をする「PREDICT」、それをレコメンデーションにつなげる「RECOMMEND」、そこからの対応を自動化する「AUTOMATE」の4つを示した。「予測だけでなく自動化まで扱うことから、AIというより『スマートなCRMアシスタント』と呼んでいる」と早川氏。
さらに、Einsteinのメリットは、Salesforceの画面に埋め込まれていることにより、ビジネスを直接変えることだと早川氏は語った。
AIが入力項目を埋める「Einsteinケース分類」
新機能については、大森浩生氏(マーケティング本部 プロダクトマーケティング シニアマネージャー)が解説した。また、宮下祐輔氏(セールスエンジニアリング本部 サービスクラウドスペシャリスト)によるデモもなされた。
大森氏は背景として、コンタクトセンターのタスクが増えるとともに、期待値も高まっていることを説明。それにより、いかに迅速に、かつ期待に応えるかが求められていると述べた。さらに、人材難から、働きやすさや離職率対策も求められていると語った。
そして、AIと自動化により顧客リレーションを構築し、複雑なタスクに集中できるようにすると説明した。
まず解説された新機能は「Einsteinケース分類」だ。過去の問い合わせを学習することで、エージェントの入力項目を自動的に埋めてくれる機能だ。自動的に選択された内容が正しくなくてエージェントが直した場合には、フィードバックされ学習されるという。
Einsteinケース分類の事例としては、レストランなどにWi-Fiを設置するフランス企業Zenconnectの例が紹介された。Einsteinケース分類によって、多数の問い合わせに対して入力が3倍に向上し、1件あたりの時間が25%になり、より高度な分析につなげたという。
デモではまず、コールセンターの問い合わせ一覧画面から問い合わせを1件開いた。そして、Einsteinケース分類により自動入力され、確認のクリックだけで分類できるところを見せた。別の問い合わせでは、優先度やエスカレーションが設定され、Salesforceのワークフローと組み合わせることで、自動的にエスカレーションされるところが示された。
AIがクロスセルやクーポンなどを推奨する「Einstein Next Best Action」
次の機能は「Einstein Next Best Action」。7月にパイロット版が登場し、今回正式サービスインした。
Einstein Next Best Actionは、1件の問い合わせデータから、クロスセルやアップセル、解約防止のためのクーポンのオファーなど、次のアクションを推奨してくる機能だ。画面上に表示された推奨をクリックすることで、その場で実行することもできる。
Einstein Next Best Actionの事例としては、ヨーロッパの大手エレクトロニクス会社が、クーポンを送信するための平均保留時間を88%短縮したという。
デモでは、問い合わせ画面に「ギフトサービス手続き」が出てくるところを紹介。そして、クリックすると、ウィザード形式でワークフローを実行する「Lightning Flow」により手続きが進むところを見せた。これにより、熟練オペレーターでなくても対応でき、離職率の低減や、トレーニングコストの削減にもつなげられるという。