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セールスフォースが最新のAI機能を紹介、コールセンター業務を強力に支援

「Salesforce Service Cloud Einstein」の新機能

 株式会社セールスフォース・ドットコム(以下、セールスフォース)は2月28日、プレスセミナーを開催。定期アップデートにより2月12日に提供が開始された「Spring'19リリース」における、AI機能「Salesforce Service Cloud Einstein」の新機能について解説した。

 説明されたのは、いずれもコンタクトセンター向けの機能だ。エージェント(オペレーター)が入力しなくても優先度などの項目を自動的に埋めてくれる「Einsteinケース分類」新機能や、クロスセルなどのアクションを提案する「Einstein Next Best Action」の正式リリースが紹介された。さらに、2018年にリリースされたチャットボット「Einsteinボット」についても紹介がなされた。

さまざまなアプリケーションと顧客との接点にEinstein

 まず、同社の早川和輝氏(マーケティング本部 プロダクトマーケティング マネージャー)が、改めてEinsteinについて説明した。

 氏はSalesforceについて、営業支援や顧客管理からさまざまなアプリケーションに広がっていること、その中心に顧客がいることを説明。その接点としてさまざまなデータを集約して最適な機能を実現するのがEinsteinだと語った。

 Einsteinの機能については、大量のデータから傾向やパターンを発見する「DISCOVER」、そこから予測をする「PREDICT」、それをレコメンデーションにつなげる「RECOMMEND」、そこからの対応を自動化する「AUTOMATE」の4つを示した。「予測だけでなく自動化まで扱うことから、AIというより『スマートなCRMアシスタント』と呼んでいる」と早川氏。

 さらに、Einsteinのメリットは、Salesforceの画面に埋め込まれていることにより、ビジネスを直接変えることだと早川氏は語った。

セールスフォースの早川和輝氏(マーケティング本部 プロダクトマーケティング マネージャー)
Salesforceのさまざまなな分野の中心に顧客、その接点にEinstein
DISCOVER、PREDICT、RECOMMEND、AUTOMATEの4つの機能
EinsteinはSalesforceの画面に埋め込まれている

AIが入力項目を埋める「Einsteinケース分類」

 新機能については、大森浩生氏(マーケティング本部 プロダクトマーケティング シニアマネージャー)が解説した。また、宮下祐輔氏(セールスエンジニアリング本部 サービスクラウドスペシャリスト)によるデモもなされた。

 大森氏は背景として、コンタクトセンターのタスクが増えるとともに、期待値も高まっていることを説明。それにより、いかに迅速に、かつ期待に応えるかが求められていると述べた。さらに、人材難から、働きやすさや離職率対策も求められていると語った。

 そして、AIと自動化により顧客リレーションを構築し、複雑なタスクに集中できるようにすると説明した。

セールスフォースの大森浩生氏(マーケティング本部 プロダクトマーケティング シニアマネージャー)
セールスフォースの宮下祐輔氏(セールスエンジニアリング本部 サービスクラウドスペシャリスト)

 まず解説された新機能は「Einsteinケース分類」だ。過去の問い合わせを学習することで、エージェントの入力項目を自動的に埋めてくれる機能だ。自動的に選択された内容が正しくなくてエージェントが直した場合には、フィードバックされ学習されるという。

 Einsteinケース分類の事例としては、レストランなどにWi-Fiを設置するフランス企業Zenconnectの例が紹介された。Einsteinケース分類によって、多数の問い合わせに対して入力が3倍に向上し、1件あたりの時間が25%になり、より高度な分析につなげたという。

 デモではまず、コールセンターの問い合わせ一覧画面から問い合わせを1件開いた。そして、Einsteinケース分類により自動入力され、確認のクリックだけで分類できるところを見せた。別の問い合わせでは、優先度やエスカレーションが設定され、Salesforceのワークフローと組み合わせることで、自動的にエスカレーションされるところが示された。

Einsteinケース分類
ZenconnectのEinsteinケース分類の事例
デモより。問い合わせの右側に「Einsteinのおすすめ使用可能」と表示される
Einsteinケース分類により項目が入力された
Einsteinケース分類の管理者画面

AIがクロスセルやクーポンなどを推奨する「Einstein Next Best Action」

 次の機能は「Einstein Next Best Action」。7月にパイロット版が登場し、今回正式サービスインした。

 Einstein Next Best Actionは、1件の問い合わせデータから、クロスセルやアップセル、解約防止のためのクーポンのオファーなど、次のアクションを推奨してくる機能だ。画面上に表示された推奨をクリックすることで、その場で実行することもできる。

 Einstein Next Best Actionの事例としては、ヨーロッパの大手エレクトロニクス会社が、クーポンを送信するための平均保留時間を88%短縮したという。

 デモでは、問い合わせ画面に「ギフトサービス手続き」が出てくるところを紹介。そして、クリックすると、ウィザード形式でワークフローを実行する「Lightning Flow」により手続きが進むところを見せた。これにより、熟練オペレーターでなくても対応でき、離職率の低減や、トレーニングコストの削減にもつなげられるという。

Einstein Next Best Action
ヨーロッパの大手エレクトロニクス会社のEinstein Next Best Actionの事例
デモより。問い合せの右側にクーポンが推奨される
ウィザード形式でワークフローを実行する
Einstein Next Best Actionの管理者画面

チャットボットから顧客が手続きできる「Einsteinボット」

 3つめの機能は「Einsteinボット」で、7月にサービスインしている。チャットボットにより、Salesforceのデータをもとに顧客が自動的に問題を解決したり、人間のエージェントにシームレスに引き継いだりできる。

 デモでは、チャットボットにより顧客が自動応答電話のように問い合わせの選択肢を選んだり手続きを実行したりするところを見せた。さらに、有人のオペレーターにシームレスに引き継ぎするところも見せた。

Einsteinボット
デモより。チャットボットにより顧客が選択肢を選んで手続きを実行する
有人のオペレーターにシームレスに引き継ぎ
Einsteinボットの管理者画面