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富士通、コンタクトセンターの効率化・高度化に向けSalesforceのカスタマーサービス向け生成AIを採用

 株式会社セールスフォース・ジャパン(以下、Salesforce)は19日、富士通株式会社が、Salesforceのカスタマーサービス向け生成AI「Einstein for Service」の採用を決定したと発表した。富士通は、Einstein for Serviceを活用することで、コンタクトセンターの効率化と高度化を図り、顧客体験のさらなる向上を目指すとしている。

 富士通では、Einstein for Serviceの機能として、サービス返信(Service Replies)と会話サマリー(Conversation Summaries)を検証した。Salesforceは、これらの機能をアメリカで先行提供しており、2023年12月15日に日本国内でも一般提供を開始した。

 サービス返信(Service Replies)は、顧客からのチャットでの問い合わせに関する返信内容の推奨案を、データやナレッジベースに基づき、AIが自動生成する。会話サマリー(Conversation Summaries)は、カスタマーサービスにおけるオペレーターと顧客の会話内容の要約を、AIが生成する。

 富士通のグローバルビジネスアプリケーション事業本部では、顧客窓口の一つであるSalesforceサポートデスクで、顧客体験のさらなる向上を目指しており、その取り組みの一環として、2023年8月からEinstein for Serviceが先行リリースされていた北米インスタンスで環境を準備し、富士通およびFujitsu North Americaで、SalesforceのEinstein for Serviceについて、日本のサポートデスクでの運用を想定した機能検証を行ってきた。

 検証の結果、サービス返信(Service Replies)により、サポートデスクのオペレーターの平均処理時間は89%削減。会話サマリー(Conversation Summaries)により、平均後処理時間は86%の削減効果が得られたという。

 これを踏まえ、富士通はさらに日本語環境での実検証に取り組みを推進しており、2023年12月にSalesforce Service Cloudの生成AI機能が国内で一般提供開始された後、即座に採用を決定し、日本語環境での検証を開始。英語での検証結果に近い導入効果を目指しており、本格運用は2024年度前半を計画しているという。

 富士通では、コンタクトセンターでの生成AI活用に向けた運用のポイントを整理した。過去の質問や回答をナレッジとして残し、それらを顧客からの問い合わせ返信内容の推奨案として生成する際に、グラウンディングとして活用することや、チャット対応するオペレーターが一問一答に誘導し、AIが正しい回答を生成しやすくすること、会話内容の要約生成に関しては、内容が正しいかどうかを人の目で必ずチェックし修正・加筆することなどで、これらの作業の継続により、生成AIの作成する回答やサマリーの精度向上が見込まれるとしている。

 Salesforceは、Customer 360を構成するCRM製品での生成AI機能を、順次国内で提供開始する予定で、顧客企業への支援を継続していくとしている。