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日立の2018年度第2四半期連結業績、情報・通信や社会・産業の収益性改善で過去最高益に

 株式会社日立製作所(以下、日立)は26日、2018年度第2四半期(2018年4月~9月)の連結業績を発表した。

 売上収益は前年同期比2.6%増の4兆4918億円、調整後営業利益は同13.6%増の3345億円、税引前利益は同20.4%増の3529億円、当期純利益は同20.2%増の1929億円となった。

2018年度第2四半期の連結業績概要

 日立 代表執行役 執行役専務CFOの西山光秋氏は、「売上収益は、日立国際電気の再編によるマイナス影響があったものの、情報・通信システム、社会・産業システム、建設機械、高機能材料の事業拡大などにより、前年同期比2.6%の増収となった。利益は、調整後営業利益、税引前利益、当期純利益のすべてが過去最高値を更新した。営業利益率も前年同期の6.9%から7.7%に改善している。オートモーティブシステムや生活・エコシステム、高機能材料は減益となったが、情報・通信システム、社会・産業システム、建設機械が増益に大きく貢献した」と業績概況について説明した。

日立 執行役専務CFOの西山光秋氏

 国内売上収益は前年同期比1%増の2兆1218億円、海外売上収益は同5%増の2兆3699億円。海外売上比率は53%となった。「海外は、すべての地域で収益が伸びており、中国が前年同期比2%増、ASEAN・インドが同2%増、北米が同5%増、欧州が同10%増となった。欧州で大きく伸びた要因は、鉄道、情報・通信システム、建設機械が好調に推移した」と述べた。

国内・海外の売上収益

事業部門別の業績

 事業部門別では、情報・通信システムの売上収益は、前年同期比3%増の9601億円、調整後営業利益は前年から220億円増の982億円、EBITは同171億円増の875億円となった。

 このうち、システムインテグレーションを中心としたフロントビジネスの売上収益は前年同期比5%増の6873億円、調整後営業利益は前年から136億円増の650億円。ITプラットフォーム&プロダクツの売上収益は前年同期比1%減の3504億円、調整後営業利益は前年から68億円増の310億円となった。

 「情報・通信システムは、通信ネットワーク機器子会社のアラクサラネットワークスの譲渡による減収があったが、システムインテグレーションが増加したことで増収となった。調整後営業利益は、フロントビジネス、ITプラットフォーム&プロダクツともに収益性が改善し、増益となった。フロントビジネスでは、システムインテグレーションにおいてきめ細かなプロジェクトマネジメントを継続し、定着してきたことが挙げられる。ITプラットフォーム&プロダクツは、構造改革の効果が出たことに加え、ストレージビジネスとハードウェアビジネスの収益性も改善した」としている。

 社会・産業システムの売上収益は前年同期比6%増の1兆982億円、調整後営業利益が前年から241億円増の565億円、EBITは前年から195億円増の444億円。

情報・通信システムと社会・産業システムの業績

 電子装置・システムの売上高は前年同期比8%減の4747億円、調整後営業利益は前年から4億円増の399億円、EBITは前年から40億円減の374億円。

 建設機械の売上収益は前年同期比11%増の4904億円、調整後営業利益は前年から157億円増の528億円、EBITは前年から83億円増の493億円。

電子装置・システムと建設機械の業績

 高機能材料は売上収益が前年同期比8%増の8624億円、調整後営業利益は前年から33億円減の578億円、EBITは前年から101億円増の616億円。

 オートモーティブシステムの売上収益は前年同期比2%減の4790億円、調整後営業利益は前年から144億円減の98億円、EBITは前年から360億円減で137億円の損失となった。

高機能材料とオートモティブシステムの業績

 生活・エコシステムの売上収益は前年同期比12%減の2430億円、調整後営業利益は前年から21億円減の88億円、EBITは前年から24億円減の159億円。

 その他部門の売上収益は前年同期比4%減の2657億円、調整後営業利益は前年から21億円増の133億円、EBITは前年から42億円増の149億円となった。

生活・エコシステム、その他などの業績

Lumada事業も増収

 IoTプラットフォームのLumada事業は、売上収益が前年同期比11%増の5000億円となり、そのうちLumadaコア事業は同52%増の1310億円、Lumada SI事業は同1%増の3690億円であった。

 「今期は、特に産業分野と金融分野でLumadaを活用したソリューションが拡充した。産業分野では、生産工程全体の最適化を支援するソリューション『IoTコンパス』と、AIを活用した石油化学プラント向け予兆診断サービスを提供開始した。また、金融分野では、医療ビッグデータを活用し、生活習慣病にかかわる入院リスクを予測するサービスを提供開始している」と説明した。

 グローバルでの展開にも言及し、「東南アジア地域における協創の拡大に向けて、タイにLumadaセンターを設立。タイ最大手の製造会社であるサイアムセメントグループと、工場のエネルギー省力化および流通業務の効率化に向けた協創を開始した」と述べている。

Lumada事業の進ちょく

 また今回、事業構造改革と経営基盤強化に向けた取り組みとして、連結子会社であるクラリオン株式の、フォルシアグループによる公開買い付けに応募することを発表した。「これは、クラリオンのさらなる成長の加速と企業価値向上を促進するものであり、当社の経営リソースを社会イノベーションに集中するための決定である」とした。

 あわせて、大型産業機器事業を再編することも発表。インダストリアルプロダクツBUを分社化し、意思決定の迅速化と機動的な事業運営によりグローバルでの競争力を強化していく。グローバル事業拡大に向けた成長投資としては、台湾地域の昇降機事業会社である永大機電工業の株式公開買い付けを2019年に実施する予定だ。

 2018年度(2019年3月期)の業績見通しは、7月27日時点の数値を据え置き、売上収益は前年同期比0.3%増の9兆4000億円、調整後営業利益は同4.9%増の7500億円、税引前利益は同15.1%増の7350億円、当期純利益は同10.2%増の4000億円としている。

2018年度の連結業績見通し