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日立の2017年度連結業績、増収増益で過去最高益を記録 Lumada事業は当初計画を上回る売上に

 株式会社日立製作所(以下、日立)は27日、2017年度(2018年3月期)連結業績を発表した。売上収益は前年比2.3%増の9兆3686億円、調整後営業利益は同21.7%増の7146億円、税引前利益は同36.1%増の6386億円、当期純利益は同57.0%増の3629億円となった。

 日立 代表執行役 執行役専務CFOの西山光秋氏は、「売上収益は、日立物流、日立キャピタル、日立工機を再編した影響があったものの、事業の進ちょくがそれを上回り、前年比2.3%の増収を達成した。利益についても、調整後営業利益が同21.7%、当期純利益が同57.0%の増益となり、ともに過去最高を記録した。特に情報・通信システム、社会・産業システム、建設機械の各部門が好調に推移し、増益に大きく寄与した」と業績概況について述べた。

2017年度の業績概要
日立 代表執行役 執行役専務CFOの西山光秋氏

 国内売上収益は前年比2%減の4兆6430億円、海外売上収益は同7%増の4兆7255億円。海外売上比率は50%。「海外事業が好調で、前期は48%だった海外の売上比率は50%まで高まり、国内と同等の売上規模になった。特に増加したのがアジアで、中国が前年比12%増、中国を除くアジアも同12%増と成長した。また、北米も同3%増となった。欧州は同1%の減少だったが、日立工機の再編影響を除くと同13%の増加になる」と説明した。

国内・海外売上収益

 事業部門別では、情報・通信システムの売上収益は、前年比1%増の2兆89億円、調整後営業利益は前年から362億円増の1892億円、EBITは同628億円増の1392億円となった。

 このうち、システムインテグレーションを中心としたフロントビジネスの売上収益は前年比2%増の1兆4172億円、調整後営業利益は前年から242億円増の1429億円。ITプラットフォーム&プロダクツの売上収益は前年比1%増の7442億円、調整後営業利益は前年から191億円増の484億円となった。

 「情報・通信システムは、ITプラットフォーム&プロダクツにおいて、製品の絞り込みなど事業構造改革を実施したことによる減収要因があったものの、フロントビジネスの国内システムインテグレーションが増加したことで増収となった。特に、以前から取り組んできたプロジェクトマネジメントが事業部門全体に定着したことが増収・増益につながり、収益の安定化に寄与している。一方、ITプラットフォーム&プロダクツでは、中国のフラッシュストレージが堅調で、計画を上回るスピードで新製品を投入。売上規模は低いが、収益性は改善してきている」とした。

 社会・産業システムの売上収益は前年比2%増の2兆3750億円、調整後営業利益が前年から385億円増の1155億円、EBITは前年から1212億円増の1012億円。

情報・通信システムと社会・産業システムの業績

 電子装置・システムの売上高は前年比7%減の1兆865億円、調整後営業利益は前年から53億円増の869億円、EBITは前年から220億円増の888円。

 建設機械の売上収益は前年比27%増の9591億円、調整後営業利益は前年から662億円増の925億円、EBITは前年から743億円増の970億円。

 高機能材料は売上収益が前年比13%増の1兆6575億円、調整後営業利益は前年から19億円増の1218億円、EBITは前年から246億円減の986億円。

 オートモーティブシステムの売上収益は前年比1%増の1兆10億円、調整後営業利益は前年から67億円減の495億円、EBITは前年から234億円減の424億円。

部門別業績(2)(3)

 生活・エコシステムの売上収益は前年比3%減の5401億円、調整後営業利益は前年から26億円増の251億円、EBITは前年から15億円増の333億円。

 その他部門の売上収益は前年比15%減の5577億円、調整後営業利益は前年から9億円減の214億円、EBITは前年から12億円増の218億円となった。

部門別業績(4)

 IoTプラットフォームのLumada事業の売上収益は1兆60億円となり、そのうちLumadaコア事業が2300億円、Lumada SI事業が7760億円となった。「製造業向けデジタルソリューションや鉄道車両・産業設備向け予兆保全ソリューションなど、社会インフラ、産業・流通分野での事業拡大によって、当初計画9500億円を上回る売上収益を達成した。これを受け、2018年度は、当初計画を200億円上方修正し、1兆700億円を見込んでいる」と、Lumada事業の進行を述べた。

Lumada事業の進行

2018年度の業績見通し

 2018年度(2019年3月期)の業績見通しは、売上収益が前年比0.3%増の9兆4000億円、調整後営業利益は同4.9%増の7500億円、税引前利益は同15.1%増の7350億円、当期純利益は同10.2%増の4000億円とした。

2018年度(2019年3月期)の業績見通し

 事業部門別の業績見通しは、情報・通信システムの売上収益は、前期横ばいの2兆円、調整後営業利益は前年から47億円増の1940億円。社会・産業システムの売上収益は、前年比4%増の2兆4600億円、調整後営業利益は前年から494億円増の1650億円。電子装置・システムの売上収益は、前年比8%減の1兆円、調整後営業利益は前年から149億円減の720億円。建設機械の売上収益は、前年比2%増の9800億円、調整後営業利益は前年から104億円増の1030億円。

 高機能材料の売上収益は、前年比4%増の1兆7300億円、調整後営業利益は前年から161億円増の1380億円。オートモーティブシステムの売上収益は、前年比1%減の9900億円、調整後営業利益は前年から104億円増の600億円。生活・エコシステムの売上収益は、前年比6%減の5100億円、調整後営業利益は前年から8億円増の260億円。その他部門の売上収益は、前年比3%減の5400億円、調整後営業利益は前年から54億円減の160億円を見込んでいる。

 「2018年度は、電子装置・システムを除く、すべての事業部門で増益を計画している。電子装置・システムは大きく減収・減益となる見通しだが、これは日立国際電気の非連結化によるもので、この影響を除けば実質的には増収・増益となる見込み」としている。

部門別業績の見通し