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HPEとレッドハット、初期設定から運用時の変更作業までを自動化する「あんしんAnsibleパック」

 日本ヒューレット・パッカード株式会社(HPE)とレッドハット株式会社は11日、サーバー、ストレージ、ネットワークの初期設定から、運用時の変更作業までを自動化する「あんしんAnsibleパック for HPE Synergy」の提供を開始した。6月に発表した「コンテナShiftパック」に続く、両社の提携製品の第2弾となる。

 HPEのハイパーコンバージドインフラ(HCI)製品である「HPE SimpliVity」、あるいはコンポーザブルインフラストラクチャ「HPE Synergy」に、レッドハットのIT自動化プラットフォーム「Red Hat Ansible Tower」を組み合わせ、HPEが販売する。

 これを利用すると、ハードウェアの設定、OSのインストールからアプリケーションの展開までを一気通貫で自動化でき、従来は数週間かかっていたサービスのデプロイ期間が短縮されるとともに、手作業に起因するエラーの排除といったプラス効果がある。

あんしんAnsibleパック

 日本ヒューレット・パッカード 執行役員 ハイブリッドIT事業統括 五十嵐毅氏は、「この製品によって、導入にとどまらず、インフラ管理、運用まで、トータルな自動化を実現。自動化を利用するユーザーを増やしていく」述べ、日本では導入が遅れている自動化の定着を狙う。

日本ヒューレット・パッカード 執行役員 ハイブリッドIT事業統括の五十嵐毅氏

2つのHCIをベースとした製品ラインアップを用意

 IT自動化製品は数多く提供されているが、現状、日本でのIT自動化の導入状況は、「知っている人は知っていて、利用しているが……という状況ではないか」(日本ヒューレット・パッカード ハイブリッドIT事業統括 クラウドプラットフォーム統括本部 テクノロジーエバンジェリスト 小川大地氏)という。

 そこであんしんAnsibleパックでは、HPEの2つのHCI基盤にRed Hat Ansible Towerをセットアップ。あわせて、導入後にスムーズに利用できるよう、トレーニングとワークショップも用意する。

 具体的には、製品トレーニングから始まり、実機ハンズオン研修、自社の自動化運用で何を運用すべきかという課題と自動化対象の“洗い出し”、さらにはInfrastructure as Codeのサンプルスクリプト利用手順提供と、自動化を使いこなせるようになるためのフルサポートを行う。

自動化を使いこなせるようになるために

 自動化の適用範囲についても、インフラ担当者が担ってきたサーバー構成、ストレージ構成、ネットワーク構成に加え、運用スタート後のファームウェア更新管理も自動化するとのことで、「これまではアップデート作業もサーバー1台ごとに行ってきたが、自動化により大幅な時間短縮が見込める」(小川氏)とした。

自動化ソリューションの適用領域の拡大

 ラインアップは前述のように、利用するHCIに応じて2種類を用意する。

 1つ目は、HPE Synergyを用いた「あんしんAnsibleパック for HPE Synergy」で、コンピュートモジュール×3ノード構成では、キャンペーン適用時676万5000円(税別)から。
 もう1つは、HPE SimpliVityを用いた「あんしんAnsibleパック for HPE SimpliVity」で、HPE Synergy 380×2ノード川迫井では、キャンペーン適用時653万3000円(税別)からとなる。

 あんしんAnsibleパック for HPE Synergyでは、新規システム向けのサービス配備を行う場合、数週間かかっていた時間が、自動化によって1日以下に短縮される。一方のあんしんAnsibleパック for HPE SimpliVityでは、VDI環境における月次メンテナンスにかかっていた時間が、1時間以上から5分以下に短縮できるとした。

Ansibleとの組み合わせによる導入効果

属人性のない、自動化浸透を実現するRed Hat Ansible Automation

 一方レッドハットでは、このソリューションで採用されているRed Hat Ansible Automationについて、「どんな管理対象、どんな組織でもITインフラの共通言語となるよう、Ansibleを位置づけている。Infrastructure as Code、適切なポリシーによる自動化の管理、拡張性のある自動化プラットフォームなどによって、属人性のない組織全体で取り組む自動化浸透を実現する」とアピール。

Red Hat Ansible Automation

 その上で、「グローバルでは、2016年のリリース後は年々倍々ペースで伸びている。最初に導入が進んだのは金融業で、その後、公共、通信といった業種への導入が進んでいる」(レッドハット プロダクト・ソリューション本部シニアソリューションセールスマネージャーの池田俊彦氏)と、Ansibleの導入状況を説明した。

レッドハット プロダクト・ソリューション本部シニアソリューションセールスマネージャーの池田俊彦氏

 日本での導入にあたっては、働き方改革を推進するための属人性排除、デジタルトランスフォーメーション(DX)を実践する際に旧システムにかかる手間を少なくするための自動化導入、といった需要があると見込んでいる。

日本での適用状況

 HPEとの協業については、従来のインフラ管理からDevOpsライクなインフラ運用を実現することで、システム全体のモダナイゼーション加速を狙う。「そのためには、HCIが大前提となるが、HCIをリードしているベンダーがHPEで、協業によってAnsible普及が加速することが見込める」(池田氏)とした。

 一方HPEでは、パートナーとしてRed Hatを選んだのは、「有償サポートを提供しているレッドハットと連携することで、途中でトラブルが起こって作業時間がかかってしまうことを減らせるため」(小川氏)と説明している。

 なお発表には、Ansibleのユーザー企業として、株式会社ピーエスシーの取締役 東日本事業本部長の福島孝之氏が登壇。「Ansible導入によって、俗人化していた監視システムのプロセス自動化を行い、作業工数50%削減を実現した。当初は既存システムもパブリッククラウド移行を検討していたが、クラウド未対応製品だったためにプライベートクラウド、パブリッククラウドのハイブリッド環境を作り、サーバー、ストレージ、ネットワークの統合管理および自動化により情報システム管理負荷抑制実現を図った」と述べた。

ビーエスシー 取締役 東日本事業本部長の福島孝之氏