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日本ヒューレット・パッカード、デジタル変革を推進するハイブリッドIT基盤を発表
HPE SynergyをベースにVMware Cloud Foundationを迅速・容易に展開
2018年4月20日 11:25
日本ヒューレット・パッカード株式会社は19日、コンポーザブルインフラ製品「HPE Synergy」をベースとしたVMware Cloud Foundation(VCF)向けのハイブリッドITプラットフォーム製品として、「HPE Synergy with VMware Cloud Foundation」(以下、HPE Synergy with VCF)を販売開始すると発表した。
同日に行われた記者発表会では、今回の新製品をリリースする狙いや、HPE SynergyとVCFを組み合わせることによるメリットなどについて説明した。
「HPE Synergy with VCF」は、VMwareが認定済みのHPE Synergyハードウェア構成上に、統合ハイブリッドクラウド基盤であるVCFをシンプルに構築できる、ハイブリッドITプラットフォーム製品。これにより企業のIT部門は、プライベートクラウドおよびSaaSを数分で展開することが可能となる。また、さまざまなクラウドサービスとの共存を実現するハイブリッドITインフラへの将来的な移行も、容易に行えるようになるという。
日本ヒューレット・パッカード 執行役員 ハイブリッドIT事業統括の五十嵐毅氏は、「『HPE Synergy with VCF』は、ハイブリッドITインフラの最適化を実現する強力なソリューションの1つと位置付けている。多くのIT管理者が頭を悩ませているオンプレミス環境のクラウド化を支援するとともに、パブリッククラウドとのシームレスな接続を可能にすることで、デジタルイノベーションを推進する。さらに、オンプレミス環境に従量制の消費モデルを適用可能となるため、機能だけでなく利用モデルもクラウド化することができる」とアピール。オンプレミス環境からハイブリッドITへの架け橋として利用し、企業のデジタルトランスフォーメーションを加速させる考えを示した。
「HPE Synergy with VCF」の拡販に向けては、ヴイエムウェアとの協業展開を推進していく計画で、「両社のブリーフィングセンターを活用して、ハイブリッドクラウド・ワークショップを展開する。ヴイエムウェアのブリーフィングセンターには、すでにHPEサーバーによるVCF環境を設置済みで、例えば、仮想環境からハイブリッドへの変革に向けたワークショップなどを実施していく。また、社内にハイブリッドITの推進を担う専任営業部隊を20人体制で組織し、ヴイエムウェアとも協業しながら、VCFによるハイブリッドクラウドの提案を強化する。現在、すでに複数の顧客で『HPE Synergy with VCF』のPoCプロジェクトが開始している」と述べた。
また発表会には、ヴイエムウェア 上級執行役員副社長の山中直氏も同席し、「企業のIT部門は、ITインフラの複雑性とリスクを軽減しながら、俊敏性を向上させることが求められている。これに対して当社では、クラウドからエッジまで、デジタルビジネスを支える一貫性のあるITインフラを展開しており、その中で、ハイブリッドクラウドをシンプルかつ迅速に構築・運用するためのプラットフォームとしてVCFを提供している。VCFには、サーバー仮想化のvSphereから、ストレージ仮想化のvSAN、ネットワーク仮想化のNSX、クラウド管理のvRealizeまで、SDDC(Software Defined Data Center)の主要コンポーネントが包含され、SDDC Managerによって構築から運用までのライフサイクルを自動化することができる」と、VCFについてコメント。
また、「日本ヒューレット・パッカードとは長期のパートナーシップを築いてきているが、今回のVCFとHPE Synergyの組み合わせにより、マルチクラウド環境におけるデジタルトランスフォーメーションを強力に推進していく」と述べ、日本ヒューレット・パッカードとのハイブリッドIT領域での協業展開に意欲を見せた。
具体的な「HPE Synergy with VCF」のメリットについて、日本ヒューレット・パッカード ハイブリッドIT事業統括 クラウドプラットフォーム統括本部 テクノロジーエバンジェリストの小川大地氏は、「従来のVCFでは、VMwareの各種ソフトウェアの導入・管理はSDDC Managerで自動化されていたが、ハードウェアについては複数製品の構成管理やファームウェアの管理に手間がかかっていた。今回の『HPE Synergy with VCF』では、SDDC Managerに加えて、HPE OneViewがハードウェアに関する構成管理・ファームウェア管理をサポートし、ハードウェアのライフサイクル管理からメンテナンスまで自動化することができる」と説明している。
また、従来のアプライアンス型やモジュラー型のハードウェア構成に比べて、コンパクトにまとまったIn-a-Box型のHPE Synergyを利用することで、設置スペースの極小化を図ることが可能。ネットワークについても、従来はサービス系、管理系のそれぞれでVCF指定のネットワークスイッチが必要だったが、「HPE Synergy with VCF」では、内部バックプレーン接続によって広帯域ケーブルやVCF対応スイッチは不要となる。加えて、各サーバーにはDual 20Gネットワークを装備しており、従来のVCF(10Gbps×2)に比べて2倍の帯域を提供する。
さらにストレージ面でも、「従来のVCFは、一般的な2Uラックマウントサーバーを使用した場合、搭載できるHDD/SDDスロットは20個強に限られ、容量不足の際にはサーバー追加が必要だった。一方、『HPE Synergy with VCF』では、各サーバーに搭載するHDD/SDDスロットを2個から40個まで自由に設定可能で、運用開始後もスロット数を増減することができる」(小川氏)という。
このほか、オンデマンドの容量と従量制の消費モデルを提供する「HPE GreenLakeフレックスキャパシティ」と「HPE Synergy with VCF」を組み合わせることで、オンプレミス環境のリソースの利用量を必要に応じて増減できるとともに、従量課金制の消費モデルを適用することで、ITインフラコストの最適化を図ることが可能となる。
「HPE Synergy with VCF」の価格は4010万円(税別)から。