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ピュア・ストレージ、次世代インフラビジョン「データ・セントリック・アーキテクチャ」に基づく新たなソリューション群を発表

 ピュア・ストレージ・ジャパン株式会社(以下、ピュア・ストレージ)は13日、同社の年次イベント「Pure Live 東京 2018」において、次世代のインフラストラクチャ設計となる「データ・セントリック・アーキテクチャ」のビジョンを発表。さらに、この新たなビジョンを実現するため、NVMe(Non-Volatile Memory Express:不揮発性メモリエクスプレス)およびAI(人工知能)の普及を促進するソリューション群もあわせて発表した。

 メディア向けの説明会冒頭でピュア・ストレージ 代表取締役社長の田中良幸氏は、「ピュア・ストレージを単なるストレージベンダーだと思っている人は多いが、私たちは長年にわたってデータをどのように蓄え、ビジネスに活用できるかという課題に真剣に取り組み、製品やサービスを提供してきた」と述べ、今回発表されたデータ・セントリック・アーキテクチャおよび新たなソリューション群は、これまでの取り組みの結果であることをアピールした。

ピュア・ストレージ 代表取締役社長 田中良幸氏

 また、米Pure Storage 戦略部門副社長のマット・キックスモーラー氏は、データ・セントリック・アーキテクチャについて、「あらゆる企業がデータをビジネスに活用したいと考えているが、保有するデータを十分活用できるインフラを持っていない企業が多い。これまでのITインフラはプロジェクトごとに拡張し、データはアプリケーションごとに分散している。これらのデータを最大限活用するには、アーキテクチャそのものを"データ・セントリック”(データ中心)に考え直す必要がある」と説明する。

米Pure Storage 戦略部門副社長 マット・キックスモーラー氏

 つまり、ストレージ基盤を統合して社内外に分散されているデータを「共有型高速ストレージ」に集約し、さまざまなアプリケーションで共有するということである。

 このストレージ基盤統合を可能にするのは、NVMeで接続された高速なフラッシュストレージだ。並列処理性能を向上してデータアクセスのリアルタイム性を高めており、データアクセスに高いパフォーマンスが要求されるアプリケーションでも利用できるという。

 これまでストレージのアーキテクチャには、外付けでネットワーク接続する共有型ストレージのSAN/NASと、サーバーに内蔵されている直接接続型のDASがあった。

 一方でピュア・ストレージの共有型高速ストレージは、ストレージI/O処理に使われるCPUリソースが、iSCSI SANやHCI利用時よりも低い。CPUはアプリケーション処理にフォーカスできるため、既存のSAN/NASのワークロードだけではなく、DASの領域もカバーすることができる。

 なおキックスモーラー氏は、新しいストレージのカテゴリとして、ガートナーも「共有型高速ストレージ(Shared Accelerated Storage)」を認定したと述べた。

高速ネットワークプロトコル「NVMe」で接続された高速なフラッシュストレージが、データ・セントリック・アーキテクチャを実現する

 今回発表されたソリューションには、NVMe/NVMe-oF(NVMe over Fabric)対応の「FlashArray//X」のほか、クラウドサービスのように従量課金で利用できるサービスの「Evergreen Storage Service(ES2)」、および、NVIDIAと共同開発したディープラーニング向けの統合インフラの第2弾となる「AIRI Mini」が含まれている。

データ・セントリック・アーキテクチャを実現する新しいソリューション群

 NVMe対応の「FlashArray//X」シリーズは2017年4月にすでに提供を開始しているが、今回はさらに「FlashArray//M」シリーズを統合し、共有型高速ストレージとしてエントリーレベルの「FlashArray//X10」から、6Uで3PBの容量を実現するハイエンド向け「FlashArray//90」まで、トータルで5つのラインアップとなった。

 いずれもNVMe DirectFlashとSATA/SAS SSD対応のデュアルコントローラーが搭載されており、DirectFlashとSATA SSDを混在させることも可能だ。さらに、コンテナ環境への対応や自動化ツールへの対応なども強化されている。

 キックスモーラー氏は、「これまで共有型高速ストレージは、一部の業界でしか使えないハイエンドな製品という位置づけだったが、今後は共有型高速ストレージが主流となっていく」との考えを述べ、これまでFlashArray//Mシリーズとは容量あたり25%程度の価格差があったが、今回からこの価格差をなくすことを明らかにしている。

FlashArray//Xシリーズに既存のFlashArray//Mシリーズを統合。新たに5つのラインアップとなった。
あらゆるアプリケーションでストレージのパフォーマンスが向上

 新たなストレージサービスとして発表されたES2は、クラウドサービスの従量課金モデルに近い形での提供を目指しているという。月ごとのにGB単位の利用料金を課金する仕組みで、基本契約は100TB以上の有効ストレージ、最短12カ月以上の利用契約が必要となる。

 長期にわたって利用する場合には料金が割高になるが、利用期間が比較的短い場合には、一般的なクラウドのストレージサービスと比べ、性能的にも価格的にも優位になるという。

従量課金制のストレージサービス「Evergreen Storage Service(ES2)」

 また、NVIDIAと共同開発したAIのディープラーニング向け統合インフラ製品の「AIRI」についても、今回新たに小型構成となる「AIRI Mini」が発表された。

 AIRI MiniはNVIDIAのGPUである「Tesla V100 GPU」を搭載した「NVIDIA DGX-1」と、FlashBlade×1、100Gigabit Ethernetスイッチ、ディープラーニング向けソフトウェア「NVIDIA GPU Cloudディープラーニングスタック」「Pure Storage AIRI Scaling Toolkit」などで構成される。

 既存のAIRIは最小構成が4ノードであったが、AIRI Miniは2ノードのDGX-1によって2ペタフロップスのディープラーニング処理性能を持つという。

 AIRI Miniの提供についてキックスモーラー氏は、「これから深層学習を始めたいといったお客さまから、もう少し小さいサイズのAIRIはないのかというリクエストをたくさんいただいた」と説明。また、スケールアウトが柔軟にできるアーキテクチャとなっているため、最初は小さく始めてたとしても将来の需要拡大には十分に対応できるという。

AIのディープラーニング向け統合インフラ製品の小型構成となる「AIRI Mini」
AIの活用度合いに合わせて柔軟にスケールアウト可能なアーキテクチャ