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ピュア・ストレージ、ディープラーニングの大規模展開に向けた統合インフラ「AIRI」をNVIDIAと共同開発

 ピュア・ストレージ・ジャパン株式会社(以下、ピュア・ストレージ)は5日、AIのディープラーニングに最適化された統合インフラ「AIRI(アイリ)」を発表した。

 AIRIは、Pure StorageとNVIDIAにより、ソフトウェアとハードウェアの完全統合ソリューションとして設計・開発された製品だ。

 ハードウェアにはPure Storageのオールフラッシュストレージ「FlashBlade」と、NVIDIAのディープラーニング向けアプライアンス「DGX-1」を採用。さらにスイッチにはARISTA Networksの製品が採用されている。

 ソフトウェアには深層学習(ディープラーニング)用フレームワーク「NVIDIA GPU CLOUD DEEP LEARNING STACK」やPure Storageの「AIRI Scaling Toolkit」が組み込まれ、事前構成済みの統合インフラとして提供される。なお、AIRIは「AI-Ready Infrastructure」を意味しているという。

Pure StorageとNVIDIAがソフトウェアとハードウェアの完全統合ソリューションとして設計・開発した「AIRI」

 AIRI開発の背景について米Pure Storage 製品・ソリューションマーケティング部門 副社長 マット・キックスモーラー氏は、「ディープラーニングのインフラに、NVIDIA DGX-1とPure Storageの FlashBladeを組み合わせるユーザーは以前からとても多かった。顧客の要望から生まれたコラボレーションだ」と述べた。

 さらにキックスモーラー氏は、「多くの企業でビジネスを加速させるためにAIを導入したいと考えているが、インフラ構築に多くの時間を要している。このような問題を解決するため、AIRIのような統合インフラが求められている」と述べ、多くの企業が直面しているインフラ整備の課題をAIRIが解決できると説明した。

米Pure Storage 製品・ソリューションマーケティング部門 副社長 マット・キックスモーラー氏

 続いて登壇したNVIDIA エンタープライズマーケティング部 シニアマーケティングマネージャーの佐々木邦暢氏は、AIRIのコンピューティングとして採用されたNVIDIA DGX-1について解説を行った。

NVIDIA エンタープライズマーケティング部 シニアマーケティングマネージャーの佐々木邦暢氏

 DGX-1はGPU「Tesla V100」を8個搭載している。内部にはSSDも搭載されているが、ここはOSを格納する用途と、処理データのキャッシュ用途のみを想定しており、Teslaに大量のデータを遅延することなく供給できる、外部の高性能ストレージと接続することが前提となっている。

 また、ネットワークモジュールはメラノックスのConnectXが採用されており、100Gbps InfiniBand/Ethernetの接続をサポートしている。ディープラーニング環境のネットワークにはInfiniBandが利用されることが多いが、AIRIにではエンタープライズユーザーになじみがあるEthernetを利用する。

 さらにDGX-1を特長づけているのは、NVIDIA GPU CLOUDなどのソフトウェアスタックだ。NVIDIAのGPUに最適化されたソフトウェアを、事前検証済みの状態で提供している。TensorFlow、Caffe、PyTorchなどのAIフレームワークもコンテナとして提供されており、コンテナごとに異なるフレームワークを利用したり、異なるバージョンのライブラリを利用したりすることも可能だ。

 「AIRIはNVIDIAのAIインフラであるDGX-1と、Pure StorageのオールフラッシュストレージであるFlashBladeとを組み合わせ、両社のエンジニアがハードウェアとソフトウェアをリファレンスアーキテクチャとして提供する製品。昨今のAI研究ではデベロッパーだけではなく、データサイエンティストなどインフラにはあまり詳しくない人も増えている。AIRIを採用すれば、少なくともAIインフラで迷う必要はなくなる」(佐々木氏)。

DGX-1は、GPU「Tesla V100」を8個搭載したディープラーニング向けAIインフラだ
ディープラーニングに最適化されたハードウェアおよびソフトウェアスタックで、迅速にAIインフラが利用可能となる

 AIRIは米国では3月27日に発表され、すでに提供開始されている。ただし、国内ではパートナー経由での提供となるため、現在AIRIを扱うパートナーを選定中であるという。価格についても最終的にはパートナー次第ではあるが、目安としてDGX-1とFlashBladeをそれぞれ導入するよりは安くなるとした。