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NTTPC、SD-WANサービス「Master'sONE CloudWAN」のセキュアパッケージを提供
「フレッツ」の閉域ネットワークでSD-WAN機能を利用可能に
2018年6月13日 06:00
株式会社NTTPCコミュニケーションズ(以下、NTTPC)は12日、SD-WANサービス「Master'sONE CloudWAN」のラインアップを拡充し、インターネットを介さない網構成で利用できる「Master'sONE CloudWAN セキュアパッケージ」を、7月5日より提供開始すると発表した。記者説明会では、新サービスを提供する狙いやサービス概要についての説明が行われている。
大企業を中心にSD-WANの導入が拡大する中、NTTPCでは、2017年5月から、日本企業向けSD-WANサービス「Master'sONE CloudWAN」を提供している。同サービスは、NTTPCと、シリコンバレーにおけるNTTのイノベーションセンターであるNTT Innovation Instituteが共同で開発したもので、日本企業に必要な機能を優先して搭載。また、中堅・中小企業および多拠点展開企業のネットワークインフラ課題を解決する機能に絞って提供することで、シンプルで安価な料金体系を実現している。さらに2018年1月には、日立のSD-WANソリューションへの採用が決定し、注目を集めていた。
今回、提供開始する「Master'sONE CloudWAN セキュアパッケージ」は、「Master'sONE CloudWAN」の新たなサービスメニューとして、アクセス回線にNTT東日本・NTT西日本の「フレッツ」を用い、NTTPCが提供する閉域ネットワークでSD-WAN機能を利用できるようにしたもの。インターネット経由ではなく、閉域ネットワーク上でSD-WAN機能の利用を可能としたのは、国内VPNサービスではこれが初めてという。
NTTPC 代表取締役社長の田中基夫氏は、「ネットワーク関連商品やサービスは、中堅・中小企業にとって扱いにくく、リードタイムも長いのが現状となっている。これに対して、『Master'sONE CloudWAN セキュアパッケージ』は、当社が開発した国産SD-WAN機能を『フレッツ』の閉域ネットワークで、迅速かつ容易に利用することができる。今後、さらにクラウド化が進展し、ITの組み合わせでさまざまなサービスが簡単に作られていく中で、今回の新サービスを、日本の中堅・中小企業にフィットした使いやすいネットワークの部品として展開していく」と、新サービスの方向性を述べた。
また、NTTPC サービスクリエーション本部 第二サービスクリエーション部 部長の三澤響氏は、SD-WAN市場の現状と課題について、「SD-WANは、大企業・グローバル企業での導入が進んでいる一方で、中堅・中小企業の主流は低価格なエントリーVPNとなっている。SD-WANが国内でさらに普及するためには、クラウド利用の拡大にともなう輻輳や遅延を解決することに加え、安全な閉域ネットワークで利用できること、エントリーVPN価格相当で導入できることが求められている」と指摘。
「これらの課題を解決するSD-WANソリューションとして、『Master'sONE CloudWAN セキュアパッケージ』をリリースする。同サービスにより、中堅・中小企業の多くが利用しているVPNネットワークの安全性や低コストといったメリットを残したまま、安心してSD-WANを導入できるようになる」としている。
「Master'sONE CloudWAN セキュアパッケージ」の主な特長としては、インターネットと隔離されたNTTPCが提供する閉域ネットワーク上で、サイバー攻撃などの不安なくSD-WAN機能を利用することが可能な点が挙げられる。
なおアクセス回線の「フレッツ」の接続方式には、IPv6 IPoE接続を採用しており、従来のIPv4 PPPoE接続と比較して、遅延が少ない企業ネットワークを構築することができるとした。
また、NTTPCが提供する専用エッジ装置に、アクセス回線接続用ルータ機能が搭載されるため、専用エッジ装置1台で「フレッツ」回線を用いた閉域ネットワークの構築が可能となり、シンプルな構成を実現できる。
さらに、NTTPCが提供する「ファイバーライン(光コラボレーション)」を申し込むことで、アクセス回線から閉域ネットワーク、SD-WANまでを一元的に管理・運用できるとのこと。
「Master'sONE CloudWAN セキュアパッケージ」で利用できる主なSD-WAN機能は、新規回線申し込みや専用エッジ装置の管理・設定変更を日本語で一元的に行える「コントロールパネル」、専用エッジの手配やネットワークの設定、監視などの「API提供」、専用エッジ装置をアクセス回線に接続するだけで設定情報などが自動的にダウンロードされる「ゼロタッチプロビジョニング」、ネットワークに流れるアプリケーション種別とそのトラフィック量をコントロールパネルからグラフィカル表示で確認できる「トラフィック可視化」など。
「これらのSD-WAN機能により、ネットワークの運用管理業務を大幅に効率化することができる」(三澤氏)という。
このほか、オプションサービスとして、「トラフィック最適化」(インターネットオフロード)を提供する。トラフィック可視化機能で得た情報をもとに、特定トラフィック(Windows Update/Office 365)をインターネットなど、企業内ネットワークとは異なるネットワークに迂回(うかい)することが可能。これにより、企業内ネットワークの輻輳(ふくそう)による業務への悪影響を回避するとともに、企業内ネットワークの必要帯域を抑制し、コストを抑えることができる。
価格(税別)は、スタンダードプランが月額1万9000円/ID、インターネットオフロードGWプランが月額3万円/VPN。三澤氏は、「通常、エントリーVPNとSD-WANを利用する場合、『フレッツ』とインターネット料金も含めて、1拠点あたり月額4万円から5万円かかっていた。一方、『Master'sONE CloudWAN セキュアパッケージ』であれば、フレッツ料金を含めて1拠点あたり月額2万4000円に抑えることができる」と、新サービスのコストメリットを強調していた。