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米ThousandEyesが日本法人を設立 「働き方改革」を支えるネットワーク環境の可視化サービスを提供

 インターネットの中身や経路情報を見える化し、問題を検知・解析するネットワークモニタリングサービスを提供する米ThousandEyesは19日、日本法人として「サウザンドアイズ・ジャパン株式会社」を設立し、日本市場に本格参入すると発表した。同日に行われた記者発表会では、同社サービスの概要、および日本市場に向けた展開について説明した。

 米ThousandEyesは、UCLAの大学院でコンピュータ・サイエンスを研究していたモヒート・ラド氏(CEO)とリカルド・オリベイラ氏(CTO)の2名により、2010年に米カリフォルニア州サンフランシスコで設立。インターネットの中身やユーザーからクラウドサービスへの経路を見える化し、解決困難なトラブルをピンポイントで検知・解析するSaaS型のサービスを通信事業者やクラウドサービス事業者とユーザー企業のシステム管理者向けに提供している。

 米ThousandEyes 製品マーケティング担当バイスプレジデントのアレックス・ヘンソーン-イワネ氏は、「IaaSやSaaSなどクラウドの利用拡大やSD-WANサービス、APIの活用により、WANの通信がインターネットベースへと変化してきている。また、キャリアのWANとインターネットを組み合わせたハイブリッドWANアーキテクチャの普及によって、データセンターを介さず、インターネットから直接、支社との通信を行うケースも増えてきている。こうしたネットワーク環境においては、従来のモニタリング手法では、問題の検知・解析が難しくなっているのが実情だ」と、企業におけるネットワークモニタリングの課題を指摘する。

米ThousandEyes 製品マーケティング担当バイスプレジデントのアレックス・ヘンソーン-イワネ氏

 「SNMPやパケットキャプチャ、NetFlowといった従来のネットワークモニタリングの手法は、自社が所有もしくは制御可能なインフラから実際にデータを取得する必要がある。しかし、クラウドの場合は、インフラを自社で所有も制御もできないため、解析に必要なデータが取得できない」(イワネ氏)というのである。

 これに対して、ThousandEyesの新たなネットワークモニタリング技術では、ネットワーク運用者が一般的に得られる情報をネットワークモニタリング、分析・解析用に特別に設計されたテストパケットによって収集。また、世界53か国150か所以上に独自に展開するエージェント(ソフトウェア)により、インターネットを流れるトラフィックのテレメトリデータや経路情報をエンド・ツー・エンドで監視できるようにしている。

 同様に、「Enterprise Agents」と「Endpoint Agents」の各エージェントを企業のデータセンターや店舗、工場などの各拠点、または従業員のノートPCにインストールすることで、各拠点や出張中、在宅勤務中の従業員の通信環境も容易に把握できるようになるという。

ThousandEyesの新しいモニタリング技術

 イワネ氏は、「当社のモニタリングサービスを活用することで、企業LAN/WAN/データセンターからインターネットISPネットワーク、SaaS/IaaSに至るすべてのネットワーク環境を網羅し、ユーザーからアプリケーションまでのパフォーマンスをエンド・ツー・エンドで見える化することができる。これにより、ネットワークに何かあった際の迅速なトラブルシューティングが可能になる」と、同社サービスのメリットを強調した。

ネットワークモニタリングサービスの概要

 ThousandEyesのネットワークモニタリングサービスは、グローバルではすでにTwitterやeBay、ServiceNowなどのテクノロジー企業をはじめ、Fortune 500のうち46社、世界の金融企業トップ6社のうち5社、通信事業者を含むGlobal 2000企業などに利用されている。最近では、MicrosoftのOffice 365、GoogleのG SuiteやSalesforce.comなどのアプリケーションからインターネットへの通信量が増加していることから、SaaS事業者、IaaSあるいはクラウドサービスを利用する企業による導入も増えているという。

 そして今回、日本市場に本格参入するべく、日本法人としてサウザンドアイズ・ジャパンを設立。通信・ネットワーク業界で23年の経験をもつ尾方一成氏を代表に迎え、国内市場で同社サービスの拡販と啓発、顧客サポート、パートナー開拓を図っていく方針だ。

 サウザンドアイズ・ジャパン カントリーマネージャーの尾方氏は、「現在、日本では『働き方改革』が進められているが、これを支えるネットワーク環境として、『どこからでもクラウドにつながる環境』、『ユーザーが体験するサービスレベルを常に監視』、『万が一の障害時も迅速にトラブル対応』といった点が求められている。特に、日本のネットワーク環境は、エンドポイントとデータセンターの部分で組織が多層化しているため、インターネットと組織を超えた監視体制が必要になる」と、「働き方改革」を実現するためには、より安定したネットワーク環境が必要不可欠になると指摘する。

サウザンドアイズ・ジャパン カントリーマネージャーの尾方一成氏

 「当社のネットワークモニタリングサービスでは、ダッシュボード画面からオンデマンドでパフォーマンスデータを可視化できるほか、データ収集やレポート作成、ネットワーク経路情報のスナップショットの保存・共有、アラート通知、API連携などの機能も備えている。これにより、日本企業の『働き方改革』を支える手厚いネットワーク監視体制をサポートしていく」(尾方氏)と、日本市場では「働き方改革」をキーワードに同社ソリューションを提案していく考えを示した。

ネットワークモニタリングサービスのダッシュボード画面

 なお、国内での販売展開にあたって、ネットワンシステムズとリセラー契約を結んでおり、今後、システムインテグレータや運用サービスプロバイダなど国内パートナー企業を拡充していく計画。