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デル、Dell EMCサポートサービスの統合について進捗状況を説明

サポートポートフォリオを拡大しブランド統一

 デル株式会社は8日、EMCジャパンとの統合にともなうDell EMCサポートサービスの統合の進捗状況、および今後の新たなサービスポートフォリオについて説明会を開催した。あわせて、Dell EMC川崎オフィス内にある「グローバルコマンドセンター」の見学会が行われた。

 デルとEMCが昨年9月に統合され、新生Dell EMCとなって約1年が経過した。両社のサポートサービスの統合に向けた取り組みについて、デル サービスビジネス営業統括本部 統括本部長の高橋歩氏は、「昨年9月以来、サポートサービスについては、『協業体制の構築』、『インフラの統合』、『サービスの統一化』という3つのステップで統合を進めている。サポートサービスを完全統合する時期は、あえて設定していない。時期を決めてしまうと、それが目標になってしまい、無理が生じる恐れがある。デルとEMCがそれぞれのサポート体制を強化・拡充しながら、徐々に統合を進めていく道を選んだ」と説明している。

デル サービスビジネス営業統括本部 統括本部長の高橋歩氏

 まず、「協業体制の構築」では、Dell EMCの統合メリットを生かして、サポートポートフォリオを拡大。従来までの、ハードウェアサポート、ハードウェアとソフトウェアの包括的サポート、未然予防的なプロアクティブサポートに加え、11月から新たに「ProSupport One for Data Center」を提供開始する。

 「このサポートサービスは、デルとEMCの両方のエンタープライズ製品を利用している顧客を対象にしたもので、デルのテクノロジサービスマネージャー(TSM)とEMCのサービスアカウントマネージャー(SAM)が一元的にサービスを提供していく。統合されたサービスによって、個々のハードウェア単位ではなく、Dell EMCシステム全体の最適化が実現可能になる」(高橋氏)としている。

Dell EMCサポートのポートフォリオ

 「インフラの統合」では、8月からデルとEMCの保守サービスのブランドを「ProSupport」に統合した。これにより、ハードウェアサポートは「Basic Support」、ハードウェアとソフトウェアの包括的サポートは「ProSupport」、プロアクティブサポートは「ProSupport Plus」に名称が統一された。また11月以降には、構築サービスについても「ProDeploy」にリブランドする計画で、最終的なサービス統一に向けて着実に前進していることを強調した。

 さらに、日本市場でニーズが高まっているハイパーコンバージドインフラ(HCI)のVxRailおよびvSAN Ready Node製品について、顧客満足度のさらなる向上を図るべく、8月から各製品の技術力とサポート体制を拡充している。

 「VxRail製品のサポート体制について、オフショアからオンショアへ変更した。従来は日本でサポート受付後、すべて海外拠点で対応していたが、現在はレベル1/レベル2のサポートについては日本のエンジニアが対応し、高度なレベル3のサポートのみ海外で対応している」という。

 また、技術力については、VxRailおよびvSAN Ready Node製品のVMware認定エンジニアを2倍以上、専任エンジニアを3倍以上に増強している。

 サポートサービスの営業体制についても、8月から体制を強化しており、従来は旧デル製品のサービスを中心に営業活動を行っていたが、今後は、サポートサービス専任営業がDell EMCすべての製品をカバーし、顧客に最適なサポートサービスを一元的に提案していくという。

 また、高橋氏は、Dell EMCのオフィス統合の取り組みについても紹介。「西日本支社の新オフィスでは、デルとEMC両社二層の社内LANを備えた世界初の統合モバイルオフィスを構築し、両社の統合ワークスタイルを実践している。このオフィスでは、フレキシビリティの高い、新しい形のワークプレイスを活用することで、両社のシナジー効果を高められる空間を実現。各フロアにはコラボレーションスペースを新設し、どのように働くかを自ら選択できるようになっており、モバイルワーカーの生産性向上をサポートする」と説明した。なお、川崎オフィスも、すでに8月からこの新しいワークスタイルに移行済みで、9月からは新宿オフィスも新ワークスタイルに移行している。

川崎オフィスのコラボレーションスペース

 この後、Dell EMC製品の保守サービスデリバリーをリアルタイムかつプロアクティブに監視する「グローバルコマンドセンター」の見学会が行われ、Dell EMCの専門スタッフが、顧客の環境をリアルタイムで監視し、一連のサポートサービスを提供している実際の様子が公開された。

川崎オフィスの「グローバルコマンドセンター」

 同センターは、日本の川崎オフィスのほか、マレーシア、中国、米国、パナマ、アイルランドのグローバルで6拠点に設置されており、サポートインフラを有機的に機能させ、システマチックな改善活動を管理する中心的な役割を担っている。具体的には、「リアルタイム保守サービスデリバリー監視」、「深刻な状況に対する危機管理」、「プロアクティブな計画と継続的なコミュニケーション」の3つの機能を備えている。

 「リアルタイム保守サービスデリバリー監視」では、保守サービス提供開始から終了までの間、アラートポイントを監視し、特別処理を実施する。また、Dellシステムとパートナーシステムの統合、および最寄りのパートナーによる迅速な支援によって、予定通り技術員を派遣、保守部品を配送し、SLAを順守する。

 「深刻な状況に対する危機管理」では、自然災害などの事態に対してエンドツーエンドのチームで連携し、影響を最小限に抑える。そして、「プロアクティブな計画と継続的なコミュニケーション」では、サービスデリバリーに影響を及ぼす懸念のあるイベントの影響を評価し、先回りして対策を行うという。