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レノボのサーバー事業、先進SDIソリューションで市場にアピール
6つの新製品を投入
2016年7月4日 06:00
レノボ・ジャパン株式会社(レノボ)では、サーバー事業部を4月1日付けでデータセンター・グループ事業本部に変更し、データセンター向け以外のサーバー製品もこの事業部が担当する。こうした背景を踏まえ、データセンター向け製品のラインアップ拡充の背景について説明会を開催した。
今回、データセンター向け製品のラインアップ拡充を実施し、「次世代型プラットフォーム向けラインアップを拡充し、SDIビジネスのさらなる注力、CloudianやNexentaとの協業によってStorageビジネスに参入する製品などをそろえたことが、今回の新製品のポイント」(レノボ データセンター・グループ事業本部 事業本部長の上原宏氏)となる。
2020年にデバイスとデータ流通量が劇的に増大したタイミングで必要となる次世代型プラットフォーム向け製品として、(1)ビジネスアプリケーションの最適化、(2)プライベートクラウドに最適化した製品群、(3)ビッグデータ/HPCに最適化したLenovo NeXtScaleファミリー「Lenovo ThinkServer n400/sd350」、(4)SDI(Software Defined Infrastructure)に最適化した「Lenovo Convergedファミリー」、「Lenovo StorSelect DXファミリー」を投入する。
特にSDIを推進するために、SDSソフトウェアをインストール済みアプライアンス「StorSelectプログラム」を提供。販売にあたっても、エンタープライズ製品販売に必要なノウハウを持ったパートナーとの協業をさらに拡充し、日商エレクトロニクス(日商エレ)が新たに販売パートナーとして加わった。
レノボではサーバー事業を担当するデータセンター・グループの強みを、「競争力の高いテクノロジー製品が揃っていることが当社のサーバー製品の特徴。他社と比較し、決してひけをとらないラインアップが揃っていると自負している。保守体制も、3年間、24時間、365日標準保守付きで、ホワイトボックスベンダーにはない保守製品の提供を行っていく体制を持っていることなどが特徴となっている」(レノボ データセンター・グループ事業本部DCGソリューション本部 副事業本部長の橘一徳氏)と説明する。
サーバーをはじめとしたエンタープライズ製品は、IBMからサーバー事業を買収しスタート。エンタープライズ市場での認知度は決して高くない。レノボでは最新のテクノロジーを搭載した先進的な製品を搭載したコンバージド製品を提供し、ISV、販売パートナーとの協業による案件送出などによって、レノボ製品のエンタープライズ市場での認知度向上を進めていく方針だ。
特に注力しているのがSDI製品の拡充。「SDIのような統合型のインフラは、ネットワーク、サーバー、ストレージ、マネージメントを統合したコンバージド製品からスタートしたが、これは世界的にも受け入れられなかった。原因はロックインされるのが嫌だと感じる人が多かったこと、値段が高かったこと。その後、サーバー内にストレージ、管理機能を取り込んだハイパー・コンバージド製品、さらにネットワークを仮想化したSDI製品が登場したことで市場が活性化してきている」(レノボ データセンター・グループ事業本部 ソリューション・ビジネス開発部 部長の早川哲郎氏)。
ネットワーク製品に関しては、スイッチについてはIBM時代にNortelから買収した製品群があるが、それ以外のネットワーク製品についてはジュニパー製品のOEM販売で製品を提供していく。ソフトウェアについてはハイパーコンバージド・インフラについてはニュータニックスとの提携によって実現していく。さらにSAP、Red Hatがグローバルレベルで共同ソリューションを開発するパートナーとなっている。エンジニアレベルでの協業を進め、ハードウェアにとどまらないソリューションとして製品を提供する体制を整えている。
6つの新製品を発売
こうした方針のもと、6月28日付けで6つの新製品を投入した。
ハイパー・コンバージドシステム製品「Lenovo Converged HX シリーズ」は、最新のインテル Xeon E5-2600 v4プロセッサを搭載。VDIや中小規模の仮想化など一般的なワークロードに対応し、最も需要の多い「HX3000シリーズ」には、新たに1Uモデルを採用した「HX3310」を発売。HX3310は、データセンターでの占有スペースを圧縮し、よりサーバー密度の高い環境を構築するが可能となった。
HXシリーズでは、ハイパフォーマンス要件に対応する「Lenovo HX7000シリーズ」は、現行製品の最大36コアを、最大44コアの「HX7510」を投入する。ストレージ容量を重視する要件に対応する「HX5000シリーズ」の新製品としては、高さ2U、最大36コアの「HX5510」を投入した。
また、HXシリーズについてはさらにラインアップを拡大していく開発意向を表明。ニュータニックスのXpressライセンス採用の中小規模向けモデル「HX2000シリーズ」、リモートオフィス/ブランチオフィス環境に対応する「HX1000シリーズ」を開発する。
「Xeon E5-2600 v4プロセッサとニュータニックスのソフトウェアを搭載した製品としては、業界内で最多品種を揃えていく。これはこの分野にLenovoが注力していることのあらわれだと思って貰いたい」(レノボ データセンター・グループ事業本部DCG製品本部 本部長の武田香代子氏)。
SDSアプライアンスの新製品については、ストレージ市場に、(1)従来型ストレージのコモディティ化、(2)SDSニーズの拡大、(3)ハイパースケールモデルの急伸という三つの変化があったと指摘する。
「この市場の変化に対し、レノボはストレージの老舗でないことを逆に強みにして、新しいものを取り入れて、老舗に対抗していく」(武田氏)。
SDSを推進していくために、多様化していくデータ管理の課題を、ソフトウェア定義ストレージでシンプルに解決していくことを提案する「StorSelectプログラム」を提供売る。まず、レノボのハードウェアに、ISVパートナーとしてCloudian、Nexcentaという2社の仮想ストレージソフトを開発するISVパートナーのソフトウェアを組み込んで販売する。
「すぐに使える状態で出荷を行ううえ、サポートはレノボがワンストップで請け負う。お客様が長期間、安心して利用してもらえるようにハード、ソフトのベンダーがタッグを組んで保守を行うことで、SDSを安心して使ってもらえる環境を提供する」(武田氏)。
このプログラムのもとに提供されるのが、レノボにとって初のアプライアンス製品となる「Lenovo Storage DX8200N」と「Lenovo Storage DX8200C」。
8200Nは、Nexcentaソフトウェアを搭載した拡張性と構成の柔軟性に優れた、ブロック/ファイル対応のユニファイドストレージ製品。NASストレージ、SANストレージの混在環境における管理のわずらわしさを解消し、最大で8台のLenovo JBOD、192台のSASドライブのダイレクト接続が可能となる。インラインデータ圧縮をサポートすることで、容量の節約も可能だ。エンタープライズでの活用としては、VMWare、OpenStack、CloudStackなど仮想化クラウド環境におけるストレージとして利用するのに最適となる。
DX8200Cは、Cloudianのソフトウェアを搭載し、劇的なデータ増大に対し、柔軟性のあるスケールアウト型のオブジェクトストレージ。3ノードから、ペタバイト旧の数百台ノードへの拡張が可能なスケーラビリティを持つ。複数データセンターにデータの分散配置することも可能で、Amazon S3に完全準拠のストレージをオンプレミス環境に構築することが可能となる。バックアップ、長期アーカイブ保存、オブジェクトデータの同期と共有などに利用することに適している。
ミッションクリティカル分野向け新製品が、「System x3850 X6」と「System x3950 X6」。レノボのx86サーバーとして最大のコア数とメモリ搭載量を実現したハイパフォーマンス・ラック型サーバーが、「Lenovo System x X6シリーズ」の特徴。最新のXeon E7-8800/4800 v4を最大8個搭載し、データベース/Javaのベンチマークで1位の性能となった。15のSTAC-M3のインメモリDB利用タイプのベンチマークでもトップクラスの性能となっている。
「メモリが多すぎるという声もあるが、この製品はSAP製品との親和性が高い。SAP HANAは1ノードあたり8TBのメモリが必要となるが、これだけのメモリを搭載したサーバーを提供しているのは当社を含めて2社しかない。競合製品と比べてもらえば、当社製品がリーズナブルな製品になっていることが実感してもらえるはず」(武田氏)。
次世代SANストレージ「Lenovo Storage Vシリーズ」の新製品としては、「Lenovo Storage V3700 V2」および「Lenovo Storage V5030」を発表。前モデルに比べて最大で4倍のキャッシュと2倍のホスト性能を実現した。
データセンター向け製品としては、高密度ラック型サーバー「ThinkServer sd350」を発売。ラックスペースを0.5Uサイズ相当にコンパクト化した2ソケットサーバーで、インテル Xeon E5-2600 v4製品を2基搭載したノードを2Uあたり最大4台、ラックあたり84台収納できる高密度を実現。最大48TBのストレージ収納能力をも確保し、ラックあたり168プロセッサ、3360コア、42TBのメモリを設置することができる。Lenovo XClarityによる監視により高い操作性と一括管理が可能で、データセンターの俊敏性を向上、汎用的な企業向けアプリケーションをはじめとして、ハイパーコンバージド・ソリューションなどに最適な導入しやすい。
今回、新たに販売パートナーに加わった日商エレクトロニクスは、5年前からハイパー・コンバージド製品の取り扱いを始め、「ニュータニックス製品については、製品化前の段階で契約し、取り扱いを始めた。当社経由でのニュータニックスユーザーは100ユーザーを超えており、日本のユーザーの6割程度は当社が販売しているお客様ではないか」(日商エレクトロニクス ITプラットフォーム事業本部 事業部長の坂井俊朗氏)という実績を持つ。
今回、レノボがニュータニックスのソフトを搭載したサーバー製品のラインアップを拡充したことから、「仮想化基盤としてニュータニックスを利用するお客様が増えている。レノボ様とともに新しいお客様創出をすすめていきたい」(日商エレクトロニクス ITプラットフォーム事業本部 ITプラットフォーム営業部 営業推進課主任の岡田正成氏)と協業でのビジネス拡大も進めていく計画だ。