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レノボ・ジャパン、エンタープライズ製品の事業戦略を発表

サーバー・ストレージ、スマートデバイス、パートナー戦略を3本柱に展開

 レノボ・ジャパン株式会社(以下、レノボ)は16日、2014年10月に事業統合した旧IBM System x製品を始めとしたエンタープライズ製品の事業戦略についてプレス発表会を行った。2016年は、「サーバー・ストレージ戦略」、「スマートデバイス戦略」、「パートナー戦略」の3つを重点施策として、エンタープライズ製品の事業展開をさらに加速していく考えだ。

 発表会では、まずレノボ 代表取締役社長の留目真伸氏が、同社の事業概況について説明した。「当社は、ワールドワイドのPC市場で2015年Q3(10~12月)に過去最高のシェア21.6%を達成し、世界シェア30%の中長期目標に向けて順調にシェアを伸ばしている。日本のPC市場においても、2015年Q2(7~9月)にはNECレノボ・ジャパングループで29.4%のシェアを獲得し、過去最高を更新した」と、国内・海外ともにPC事業が好調に推移しているという。

レノボ 代表取締役社長の留目真伸氏

 「エンタープライズ製品については、IBMの事業を継承してから1年が経過するが、ここまで右肩上がりで事業が拡大している。ワールドワイドの2015年Q3の売上は前年比12%増、前期比8%増となり、年間50億ドルの売上目標に向けてオントラックになっている。日本市場でも、2015年Q2でエンタープライズ製品シェアが5.0%となり、IBMとの事業統合前のレベルまで市場シェアを戻している」(留目氏)と、IBMとの事業統合を受けて一時落ち込んだエンタープライズ事業だが、1年間で事業体制を整え、V字回復を達成していると強調した。

ワールドワイドのエンタープライズ製品売上推移
エンタープライズ製品の日本市場シェア推移

 「当社は、コンピューティングパワーが人の生活や業務活動を常時サポートする世の中を実現することを使命に掲げており、サーバーからPC、ストレージ、モバイルまで、顧客ニーズにワンストップで応えられる豊富な製品ラインアップを揃えている。現在の日本企業は、海外に比べてクラウドサービスやBYODの利用率がまだ低いのが実状だが、こうした状況を当社のエンタープライズソリューションによって解消し、日本のIT活用力を世界レベルにまで高めていく」(留目氏)と、今後の事業ビジョンを語った。

 2016年のエンタープライズ製品の事業戦略については、「サーバー・ストレージ戦略」、「スマートデバイス戦略」、「パートナー戦略」の3本柱を重点施策に位置づけ、事業展開していくという。「サーバー・ストレージ戦略」では、IBMから事業継承したSystem x製品を中核とし、ハイパーコンバージドシステムにフォーカスしていく方針。レノボ 執行役員専務の安田稔氏は、System x製品の現状について、「System x製品は、IBM時代からのPC、サーバー事業拠点である米ノースカロライナ州ラーレイ拠点で引き続き開発を行っており、2015年のサーバー信頼性調査および顧客満足度調査では、x86サーバーでナンバーワンの評価を獲得した。保守サービスについても、全国72か所のサービス拠点網にIBM技術員を配置し、全国30か所にストック・センターを構えている。さらに、米レノボ開発グループと日本の製品技術拠点との密接な協業により、万全の障害対応体制を整えている」と、IBM時代と変わらない開発体制、信頼性・可用性、保守サービスを実現していると説明した。

レノボ 執行役員専務の安田稔氏

 「サーバー・ストレージ戦略」の具体的な施策については、「現在、データセンターの環境は、オンプレミス環境の『企業向けワークロード』とクラウド環境の『ハイパースケールワークロード』の2タイプに分化している。『企業向けワークロード』では、ハイパーコンバージドシステムによってTCOの削減などコスト構造の変革を支援していく。この第一弾として、今年1月にNutanixソフトウェアとSystem Xを組み合わせたハイパーコンバージドアプライアンス製品を市場に投入した。一方、『ハイパースケールワークロード』に向けては、今後、特定ワークロードを実行するために最適化したモジュラー型ハードウェアを開発し、購入コストや運用コストの削減を目指す。これに向けて、ハイパースケール専門組織を構築し、製品から販売までビジネスをさらに強化していく」(安田氏)としている。

 「スマートデバイス戦略」では、コンシューマライゼーションの波を活用し、これまでコンシューマ向けを中心に展開していたスマートデバイス製品をエンタープライズ事業にも拡大していく。「ワールドワイドでは、すでにAndroidの管理サービスを提供しているSOTIと提携し、店舗向けソリューションを展開している。また、国内では、日本独自の利用シーンに合ったパートナーと提携し、マルチモードデバイスを活用したソリューションを提案していく。さらに今後は、PCをベースにしたものではなく、新しい形のスマートデバイスやウェアラブルデバイスなど市場投入し、パートナーとともに新規ビジネスの開拓を目指していく」(安田氏)という。

販売店の倍増計画
パートナー支援強化

 「パートナー戦略」については、ISV/IHVとのアライアンス強化、販売店の倍増計画、パートナー支援強化の3つを重点施策とし、共創を加速していく。ISV/IHVとのアライアンス強化では、クラウドやコンバージド、ビッグデータ、ビジネスアプリケーション、データベース、HPC、VDIなど各分野において、メジャーなパートナーとのアライアンスをワールドワイドで進めていく。販売店の倍増計画では、主にサーバー販売店の拡大に向けて、PC&サーバー統合パートナープログラムとインセンティブプランの提供、PC販売店へのクロスセルとIBMビジネスパートナーとのリレーション強化、新規パートナーの開拓などに取り組むという。パートナー支援強化では、インバウンド型トレーニングとして、パートナー専用サイト「レノボ・パートナー・ポータル」を通じて、オンライン・トレーニングやオンライン・セミナーなどを提供する。また、アウトバウンド型トレーニングとして、パートナーオフィスでのオンサイト・トレーニングの無償開催や、全国主要都市でのパートナーキャラバンの開催など、レノボ製品を実際に体感できるトレーニングを展開していく計画だ。

唐沢 正和