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レノボがユニアデックスと提携、ハード/ソフトのインプリメンテーションサービスを開始

 レノボ・エンタープライズ・ソリューションズ株式会社(以下、レノボ)は、2017年における同社データセンターソリューション事業に関する戦略を発表。また、ユニアデックスの提携により、ハードウェアおよびソフトウェアのインプリメンテーション・サービスを開始すると発表した。

 レノボ データセンターグループ データセンターソリューション事業本部 副事業本部長兼製品統括本部 統括本部長の橘一徳氏は、「日本IBM時代のx86サーバーのシェアは8%だったが、現在は、3.5%にとどまっている。早期に8%のシェアにまで戻したいと考えており、今年から来年にかけて、シェア拡大に取り組んでいく」とした。

レノボ データセンターグループ データセンターソリューション事業本部・橘一徳副事業本部長

アプライアンス製品の強化でソリューションビジネスを強化

 レノボでは、2017年の事業戦略として、HCI(Hyper Converged Infrastructure)や、SDS(Software Defined Storage)といったアプライアンス製品の強化による、「1)第3のプラットフォームに最適化された製品ポートフォリオの拡大とソリューションビジネスの強化」、を挙げる。

 また、保守拡張サービスや米沢事業場でのファクトリーインテグレーション・サービス、プロフェッショナル・サービスによる「2)DCGエンタープライズサービスのポートフォリオの強化」、市場におけるレノボエンタープライズビジネスの認知度向上を図る「3)データセンターグループのマーケティング施策の強化」、アライアンス戦略であるLenovo Togetherプログラムと新たなハイブリッド協業モデルによる「4)日本国内でのアライアンスパートナーシップ強化」をあわせ、4点に取り組む姿勢を示した。

 橘副事業本部長は、1)では、パートナーとの連携により、SDI(Software Defined Infrastructure)製品群の強化を進める一方、Nimble Storageによるオールフラッシュストレージアレイを2017年春以降投入する予定を明らかにした。

SDIポートフォリオの拡充

 また、ソリューション事業に注力することを強調。「これまでのITプラットフォームは、ハードウェアやOS、仮想化ソフトウェアに価値があったが、いまや、顧客が、ITシステムを検討する内容やタイミング、重要度や優先度は、ハードウェアなどよりも、ITプラットフォームから得られるサービスはなにかという点になっている。ITにかかわる検討プロセスの変化や、ニーズの変化にあわせて、エンタープライズビジネスの事業領域を、重要度が高い部分にシフトしていかないと、競争力を高めることができない」という点を指摘する。

 そこで、レノボは、「ミドルウェアやアプリケーションソフトの領域にも事業領域を広げていくことになる。HCIやSDSは広い意味でのミドルウェアであると判断しており、同時にアプリケーションでは、セキュリティ関連製品を強化していくことになる」と述べた。

ユニアデックスと連携してサービスを強化

 2)では、ユニアデックスとの提携について言及。この提携により、ハードウェア機器の設置から、ハイパーバイザー、OS、管理ソフトウェアの導入、ファームウェアの更新まで、ワンストップでサービスを提供することができるようになるという。

 具体的には、ソフトウェアと作業内容を事前定義したハードウェア機器の設置、ソフトウェア導入、構築サービスメニューを提供する「パッケージサービス」と、顧客の要望にあわせてカスタマイズ可能なサービスを提供する「フレキシブルサービス」を用意する。

「パッケージサービス」と「フレキシブルサービス」

 レノボ データセンターソリューション事業本部 テクノロジーサービス本部 山口洋紀本部長は、「ユニアデックスのSystem Xでの協業実績、デリバリー品質、顧客満足度、全国をカバーできる力などを評価し、提携した。当社が、ハードウェア中心のビジネスから転換するためには、ソリューション提供の強化が必要であり、それを実現するためのサービスポートフォリオが求められる。これまでは、保守中心のサービスポートフォリオであり、競合他社とのギャップがそこにあった。ITライフサイクルをワンストップでサポートできるサービスが実現できるようになる。レノボのエンタープライズサービスにおいて、大きなステップになる」と語る。

 また、ユニアデックス エクセレントサービス創生本部副部門長兼プロダクト&サービス部長の関口修氏は、「国内180カ所の拠点を通じて、24時間365日のサービス体制を確立しており、2400人のエンジニアによって対応している。国際規格に裏付けられた高品質のサービスを提供することができるのが特徴である。2008年に、日本IBMとSystem Xの販売契約および自営保守契約を結んでおり、事業移管後も、レノボ・ジャパンと強い関係を維持してきた。サービスインテグレータとしての実績を生かすことができる」と、これまでの経緯を説明。

 「顧客にとっても、製品到着後にそのまま機器の利用ができることから自社リソースを軽減でき、レノボによる窓口の一本化や、メニュー化により、必要なサービスだけを購入できるというメリットがある。顧客の価値向上に貢献できる」とする。

レノボ データセンターソリューション事業本部 テクノロジーサービス本部 山口洋紀本部長
ユニアデックス エクセレントサービス創生本部副部門長兼プロダクト&サービス部長の関口修氏

 さらに、レノボの橘副事業本部長は、「エンタープライズビジネスにおいて、コンサルティングから、構築、運用、更新のサイクルを、ワンストップで展開できるようになる。これを第1弾として、ソリューションビジネスを、サービス面から強化していくことになる」とした。

 レノボでは、IBMからのサーバー事業を移管して以降、保守サービスだけを提供してきたが、2016年1月に、ニュータニックスとの提携により、HCI製品の「Lenovo Converged HXシリーズ」を投入し、HCI市場に参入するとともに、同時にプロフェッショナル・サービスを開始。さらに、6月には、NECパーソナルコンピュータ 米沢事業場において、ファクトリーインテグレーションサービスを開始。11月にはクラウディアンおよびネクセンタとの協業により、関連製品を大幅に拡充し、SDS市場への参入を果たした。

 「これまで提供してきたオンサイトサービスは、パートナーによるものであり、レノボブランドでは提供していなかった。だが、今回のユニアデックスとの提携により、自社ブランドによるオンサイト構築サービスを提供することで、エンタープライズビジネスにおけるサービスポートフォリオが完成する。『Lenovoエンタープライズ・サービス』として、インプリメンテーション・サービス、ファクトリー・インテグレーション・サービス、プロフェッショナル・サービス、テクノロジー・サービスの4つのサービスを提供。システム構築から、保守、運用までの広範なエンドトゥエンドのサービスを提供できる。エンドユーザーやパートナーとの信頼性を高めるという点でも効果がある」(レノボの橘副事業本部長)と位置づけている。

 なお、プロフェッショナル・サービスはグローバルでのサービスプログラムであるのに対して、新たなインプリメンテーション・サービスは、日本独自のものになるという。

 また、NECパーソナルコンピュータ 米沢事業場でのファクトリーインテグレーションサービスにおいては、内蔵オプションのキッティングやラッキングなどのほか、ソフトウェア設定、エージングテストなどを実施しており、「SDIに関しては、初期不良は出ないという状況にまで品質の水準を高めることができている」などとした。

エンタープライズサービスの大幅強化

パートナープログラムも拡充・強化へ

 「データセンターグループのマーケティング施策の強化」では、IBMから事業移管後、2016年8月1日に初めて新聞広告を開始したのを皮切りに、今後、マーケティング費用の戦略的投資を行うほか、需要創出に向けたアウトバンドコールやキャンペーンの実施、顧客を対象にした米ラーレイのEBC(エグゼクティブ・ブリーフィング・センター)へのツアー、各種検証やトレーニングプログラムの実施などを通じて、「市場におけるレノボのエンタープライズビジネスの認知度向上を図る」という。

データセンターグループのマーケティング施策

 「日本国内でのアライアンスパートナーシップ強化」では、ISV、IHV、とともに、リファレンスモデルを開発し、これを販売パートナーにも展開していく基本姿勢を踏襲。2016年4月にスタートしたLenovo Togetherプログラムでは、当初は、ISVを対象にしたものだったが、2016年6月には、販売パートナーにまでプログラムの対象を拡大し、「Lenovo Togetherプログラム2.0」へと進化させた。「今年は、Lenovo Togetherプログラム3.0として、もう一段進めたパートナーシップを推進する。レノボ自らが、ソフトウェア販売代理店になるといったホールソリューションを提供するパートナープログラムを発表することになる」とした。