【AWS re:Invent】Amazon S3の大幅な価格改定と、DWHのクラウドサービス「Amazon Redshift」を発表


 11月27日~29日の3日間に渡って行われるAWS re:Inventは、AWSがその6年の歴史で初めて開催する顧客およびパートナー向けのカンファレンスだ。60カ国から6000人が参加し、数多くの事例紹介やハンズオンセッションが行われる。

 28日の、AWS シニアバイスプレジデントのアンディ・ジャシー(Andy Jassy)氏の基調講演では、2つの大きな発表が行われた。ストレージサービスであるAmazon S3の価格改定、そしてデータウェアハウジングの新サービス「Amazon Redshift」のローンチだ。

約25%の値下げが行われるAmazon S3

AWS シニアバイスプレジデントのアンディ・ジャシー氏

 Amazon S3に関しては、12月1日から約25%のプライスダウンが全リージョンにおいて実施される(以下、1GB当たりの月額)。

・1TBまで: 0.125ドル→0.095ドル(24.0%)
・~50TB: 0.110ドル→0.080ドル(27.3%)
・~500TB: 0.095ドル→0.070ドル(26.3%)
・~1PB: 0.090ドル→0.065ドル(27.8%)
・~5PB: 0.080ドル→0.060ドル(25.0%)

 Amazon S3は過去23回にわたってプライスダウンを実施してきたが、ジャシー氏は「AWSのユーザーが増えれば増えるほど、われわれはサービスの価格を下げることができる。われわれは競合他社のようなマージンを取るビジネスはやらないので、規模が拡大したぶんは顧客にそのまま還元する。そしてまた顧客が増えていく」と、プライスダウンによる“理にかなったサイクル”が確立していることを強調する。

新サービスはデータウェアハウジングを格安で提供する「Amazon Redshift」

Redshiftはリーダーノードの下に複数のコンピューティングノードが接続される。課金されるのはコンピューティングノードの使用料だけ
1TBあたりの年間料金は約1000ドルという破壊的な価格でDWH環境を提供する

 そして会場でも驚きの声が上がった新サービスのAmazon Redshift。ペタバイト級のデータウェアハウジングをクラウド上で可能にするこのサービスについてジャシー氏は「古くて複雑な従来のDWHの概念を破壊する。パフォーマンスは10倍、コストは1/10になる」と自信を隠さない。デプロイや管理の自動化はもちろん、メジャーなBIツールとの連携も可能となっている。データベースとしてPostgreSQLが採用されているのも特徴だ。

 ジャシー氏によれば、Amazon Redshiftはすでに親会社のAmazon.comによりテスト済みだという。32ノード、4.2TBのRAM、1.6PBのディスクで稼働していたDWHをAmazon Redshiftに移行し、「20億の行データセットも問題なく処理できている」(ジャシー氏)と紹介している。

 Amazon Redshiftではデータのサイズによって、2つのノード(2TBまたは16TB)から選択できる。RAMサイズは16GBと128GB。発表された価格(1時間あたり)は以下のとおり。

【お詫びと訂正】
初出時、RAMサイズをいずれも168GBと記載しておりましたが、正しくは上記の数字となります。お詫びして訂正いたします。

・オンデマンド: 0.850ドル(2TBノード)/6.80ドル(16TBノード)
・1年予約: 0.50ドル(2TBノード)/4.00ドル(16TBノード)
・3年予約: 0.228ドル(2TBノード)/1.824ドル(16TBノード)

 年間で利用すれば、1TBあたり1万9000~2万5000ドルほどの料金となる。最大で100ノード/1.6PBまで利用でき、JDBCやODBCを利用してSAP BusinessObjectsやMicroStrategyといったBIツールとの連携も可能だ。

 Amazon.comでのテストでは16TBノードで年間利用し、約3万2000ドル程度のコストで済んだという。データウェアハウジングにかけていた年間数百万ドルのコストを考えれば、ジャシー氏の言う「1/10のコスト」も大げさな表現ではないどころか、破壊的な価格体系と言っても過言ではない。

 Amazon Redshiftは発表があった11月28日から限定的にプレビュー版を公開、正式なローンチは2013年になるという。なお、Amazon.comのほかにも、NASA/JPLやNetflix、Flipboardといった20社ほどのAWS大口ユーザーがすでにAmazon Redshiftのプライベートベータに参加しており、十分な検証が重ねられている。

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