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マイケル・デルCEOが語るEMC買収の狙い

Dell World 2015レポート

 10月20日(米国時間)から、米国テキサス州オースティンで開催されている米Dellのプライベートイベント「Dell World 2015」において、Dellの会長兼CEOであるマイケル・デル氏が記者会見を行い、EMC買収の狙いなどについて説明した。

Dellの会長兼CEO マイケル・デル氏

 Dellは10月12日(米国時間)、EMCの買収を発表。買収金額は670億ドル(約8兆円)とされ、IT業界最大の買収として話題を集めている。2016年半ばに取引が完了する予定だ。

 デルCEOは、「先週発表した内容は、私自身、非常にエキサイトしている」と切り出し、「DellとEMCの2社がひとつになることで、世界屈指の企業が誕生することになる。そして、サーバー、ストレージ、仮想化、PCという、4つの分野におけるリーディングカンパニーが誕生することになる。また、デジタルトランスフォーメーション、コンバージドインフラ、SDDC(Software Defined Data Center)、ハイブリッドクラウド、セキュリティ、モバイルといった将来の技術を有する企業になる。市場に向けた強いアプローチが可能になり、世界最大の企業に向けて歩むことができる。一方で、ワールドクラスのサプライチェーンを生かすことで、中小企業向け、新興市場向けにもこれまで以上にリーチできるようになる。R&Dに関しても、両社は、イノベーションを生み出すことができるエンジンをすでに持っている」などとした。

 デルCEOは、両社合計の収益は800億ドル以上になると試算。EMCの買収を、「宇宙統一理論 Version 1」と位置づけ、「この2社が一緒になることで、どんなメリットを享受できるのか、どんなポジションの企業になるのかということを理解してもらいたい」などとした。

 さらに、Hewlett-Packard(HP)のメグ・ホイットマンCEOが、同社社員に向けたメールのなかで、Dellは毎年25億ドルの利息を払う必要があるのに対して、HPはその費用を研究開発に回すことができることや、20万人規模の社員の統合に挑まなくてはならないことなどを指摘。「HPは、2年先を行っている。これはチャンスである」としたことに関しては、「HPは、VMwareの大事なパートナーである」とコメントし、デルCEOは多くを語らなかったが、「だが、一部は間違った理解をしている。事実はどうなっていくのかは、われわれ自身で証明していくことになる」などと述べた。

 「われわれは、HPとは異なる視点を持っている。企業の進化には、スケールが大切だと考えている。エンタープライズ領域や、データセンター領域で成功した企業と、クライアントPC事業で成功した会社とが一緒になることで、成功することができる。多くの顧客からは、サプライヤーの数が少なくなり、窓口が一本化されることで、仕事がやりやすくなったという声が出ている。われわれは、効率を高めることができ、コストを削減することもできる。新たなITの波をとらえることができ、顧客の挑戦を助けることができる」などと語った。

(大河原 克行)