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マイケル・デルCEOが語るEMC買収の狙い

Dell World 2015レポート

PCビジネスにコミットし続ける

 一方、PC事業に関しては、同社のジェフ・クラーク副会長がコメント。「われわれは、PCビジネスにコミットをし続けている。PC分野では、引き続き、大きなイノベーションが続くことになる。PCのイノベーションに終わりはない。全世界に、18億台ものPCが存在し、これをアップグレードしたいというユーザーがいる。Dellは、2週間前に、ニューヨークにおいて、13型、15型で世界最小となるノートPCを発表した。MicrosoftのWindows Helloなどの新技術にも対応している。デスクトップPC、ノートPC、シンクライアントなど、すべてのデバイスにおけるイノベーションを進めたい」などとした。

 また、EMCの買収により、Dellのクラウドビジネスが変化する可能性を指摘する質問もあったが、それに対しては、「今後も、従来の姿勢が変わることはない」と否定。「全世界のクラウドプロバイダーのほとんどがDellの顧客であり、顧客と競合するようなビジネスはやらない。顧客を支援していく立場であることは変わらない」として、パブリッククラウドサービス事業参入の可能性を否定した。

 今年で5回目となるDell Worldでは、「A Future」をテーマに、未来に向けた技術や製品、ソリューションなどを発表する予定であるとし、「新たな戦略についても明らかにする」と、デルCEOは語る。

 また、「顧客の成功にフォーカスする場である」として、事例などについても紹介していく内容になっていることを強調した。

かつてデルとEMCはストレージのOEMパートナーだった

 一方、Dell World 2015に参加したデル日本法人の平手智行社長は、現地で、日本人プレスの取材に応じ、「Dellが持つサーバー、ソフトウェアと、EMCが持つストレージとの組み合わせによって提供される、新たな世界の実現に対して、多くの期待の声を、パートナー、お客さまからいただいている。相互補完ができるという点も、その可能性に期待が高まっている理由のひとつ。EMCとは、かつてパートナーとして、ストレージのOEMを受けていた経緯があり、全世界で20億ドル以上のビジネスを行っていた。その協業成果は、日本でも大きなものであった。そうした経験をもとに、ひとつのチームとしてやっていくことになる」などとした。

 また、今回のDell World 2015については、「世界中から多くの顧客が参加しており、今回は、過去最大規模のものになる。われわれは、強い意気込みでこのイベントに臨んでいる。先週、大きな発表を行ったこともあり、参加しているパートナー、お客さまとも積極的に議論を行う場になっている。数多くのサーバー周りのツールを持ち、クラウド、モビリティ、ビッグデータ、セキュリティといった第3のプラットフォームの上でも、あらゆるソリューションを提供していること、さらに、その上でパートナーがさまざまなソリューションを提供していることを示したい。クライアントPCのDellから脱却し、サーバー、ソリューションのDellということを理解していただける場になると考えている」とした。

デルの平手智行社長

大河原 克行