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Google Cloudは“Easy for Developer”にフォーカス――、さまざまなデモが実施されたDeveloper Keynoterをレポート

 Google Cloudの年次カンファレンスイベント「Google Cloud Next '21」が、米国時間の10月12日から14日までオンラインで開催された。

 本記事では、2日目の「Developer Keynote」やその他のセッションで披露されたデモを中心にレポートする。

Devloper Keynoteで“Easy for Developer”をデモ

 2日目は、Google CloudのUrs Hölzle氏(SVP, Technical Infrastructure)によるキーノート「Developer Keynote」から始まった。この中では、Google Cloudのさまざまなサービスや技術のデモが行われた。

Google CloudのUrs Hölzle氏(SVP, Technical Infrastructure)

Custom Voiceをデモ

 冒頭で、Google Cloud Next '21への歓迎メッセージが、6カ国語でHölzle氏の声により読み上げられた。これは、学習させた個人の声でテキスト音声読み上げをするCustom Voice技術によるものだ。この技術が、発話障害者をサポートするGoogleのプロジェクトProject Euphoniaに使われていることも紹介された。

Custom VoiceによりHölzle氏の声が6か国語であいさつ

コンテナのEasy for Developer

 Hölzle氏は、伝統的な産業がデジタル化していく例として、野球のMLBがクラウドを使ってファンとのエンゲージメントをモダナイズしている例や、金融のEquifaxがデータ分析とテクノロジーの企業に変革しようとしようとしている例を紹介。「すべての企業がテクノロジー企業になる中で、キーとなるのがクラウドと開発者だ」と強調。そのうえで「Easy for Developer(開発者が使いやすい)」へのフォーカスを語った。

 Hölzle氏はEasy for Developerの構成要素として、GKE/Anthosとコンテナを強調。中でも、ノードの構成や管理までGoogleが担当する「GKE Autopilot」や、コンテナをサーバーレスで動かす「Cloud Run」を取り上げた。さらに、これらと合わせてクラウド上のIDEである「Cloud Shell Editor」も紹介した。

Cloud Shell Editorのデモ。KubernetesのYAMLのアシスタンス機能
DockerfileのないアプリをCloud Shell EditorからCloud Runにデプロイ

 また、Hölzle氏はソフトウェアサプライチェーン(依存モジュールなど)のセキュリティの重要性を強調。そして、Google CloudではSLSAを取り入れており、CI/CDのCloud Buildならeasy for developersにセキュリティを高められると主張した。

コンテナイメージに含まれる脆弱性をスキャンするデモ
Coud BuildによるCI/CD

 さらに、Istioをベースにしたサービスメッシュの「Anthos Service Mesh」なら、ゼロトラストなどの認証認可の強化を、アプリケーションへの変更なしに実現できると語った。

Anthos Service Meshでセキュリティ強化

データのパートナーシップでMongoDBのCEOが登場

 続いてHölzle氏はデータプラットフォームを紹介した。氏はGoogle Cloudには、SQLデータベースも、スケーラビリティに優れたNoSQLも、スケーラブルなSQLデータベースのCloud Spannerもあることを特長として強調。また、今回一般提供開始となったBigQuery Omniや、新発表のSpark on Google Cloudも紹介した。

 さらにGoogle Coud上のサードパーティーのデータプラットフォームの例として、MongoDBのCEOのDev Ittycheria氏が動画で登場した。Ittycheria氏は、企業がソフトウェアとデータでビジネスを変革するのにソフトウェアも追従する必要があること、そしてGoogle Cloud上のMongoDBであればコンソールから簡単にデプロイやモニターができGoogleのAIや分析ツールともつながるというパートナーシップについて語った。

GoogleにはSQLもNoSQLもSpannerもあるという主張
MongoDBのCEOのDev Ittycheria氏が登場

Document AIで機械学習の開発を効率化

 次にHölzle氏は、AI/機械学習の開発について、ビルディングブロックやテンプレート自動化などを用いてモデルを作成することで効率化させる必要性を説いた。

 その例としてドキュメント処理の統合コンソール「Document AI」がデモされた。コンピュータビジョン、OCR、自然言語などをシンプルな方法で利用できるという。デモでは店舗でのレシートをスキャンして、スキーマのある構造化されたデータの項目を抽出するところを見せた。

 さらにより複雑な例として、契約文書の例もデモ。例えば文章中の「ten (10) years」という記述から終了日を理解して抽出するところを見せた。

Document AIでレシートを構造化データに
契約文書から日付などの項目を抽出

地球データを機械学習して洪水を予測

 今回のGoogle Cloud Nextでは、サステナビリティや環境問題のための、Google Cloud Carbon Footprint、Carbon Reduction Recommendations、Google Earth Engineも発表された。デモでは、Google Earth Engineと、Virtex AI、BigQuery、Google Maps Platformを使って、Google Earth Engineの川の氾濫の情報と地球上の地表の情報から機械学習し、洪水のリスクを調べるところを見せた。

Google Earth EngineやAIサービスを使って洪水を予測

コミュニティプログラム「Google Cloud Innovators」

 最後にHölzle氏は、新しいコミュニティプログラム「Google Cloud Innovators」をアナウンスした。開発者が初期のテクノロジープレビューや最新のロードマップなど、あるいはGoogleのエンジニアにアクセスできるという。

講演で流れたGoogle Cloud Innovatorsの紹介ビデオより