イベント

米Microsoft、サティア・ナデラCEOが基調講演で「デジタル変革」への進展示す

パートナーカンファレンスをカナダ・トロントで開催

インテリジェントクラウドは開発者にとって大きなチャンスに

 2つめのインテリジェントクラウドについては、「簡単にプロビジョニングでき、必要なものをすぐにそろることができるMicrosoftのインテリジェントクラウドは、デベロッパーにとって大きなチャンスにつながる。AzureやAzure Stackを利用することで、ハイパースケールで信頼性が高く、真のハイブリッド環境を実現するクラウドクラウドプラットフォームが簡単に手に入り、ビッグデータアプリ、アドバンスドアナリティクスアプリ、モバイルアプリ、ウェブアプリ、IoTアプリといった、すべてのアプリにおいてチャンスを生むことができる」と主張。

 加えて、「Visual Studio OnlineやOperation Management Suiteなどを通じて、すべてのデベロッパーの生産性を高めることができる。そして、すべての会社をデジタル化することができる。Azureによって実現するインテジェントクラウドは、クラウドの限界への挑戦でもある」などとした。

 ここで登壇したのが、GEのジェフリー・イメルト会長兼CEOである。

 今回の基調講演にあわせて、これまでAmazon Web Services(AWS)のクラウドだけで提供していたPredixを、Microsoft Azureを通じて提供することを発表した。

 「従来型の会社を、デジタル型へと変革した企業」として、ナデラCEOが紹介。イメルト会長兼CEOは、「140年間の歴史を持つ会社において、約2兆ドルの情報投資を行い、グローバル化を図り、重厚長大な製造業からの変革を遂げた。かつては、アウトソーシングすることで事業を拡大しようと考えていた。だが、それでは企業のなかになにも価値が残らない。価値を蓄積する必要があった。それがデジタル化であった」と、自社の変革のきっかけを説明。

 「とはいえ、最初から、デジタル化することが会社の運命を決めるということがわかっていたわけではなかった。しかし、われわれの技術や製品、プロセスが変わりつつあることは認識していた。ジェットエンジンには多くのセンサーを搭載し、1機あたり1TBのデータを収集することになる。こうしたことをみても、我々が重厚長大な製造業のままではなく、ソフトウェアの会社にならなくてはいけないことがわかった。将来を握るのは、デジタル化であることに気がついた。そこで我々はデジタルに大きな投資をしてきた」と述べ、これまでの取り組みに触れる。

 さらに、「インダストリアルインターネットが、これからの世界を席巻することになるが、GEはその中心にいなくてはならいない。そのために、我々は、予算を確保し、人材を獲得し、社内のプロセスを変え、スピード感を持った経営に取り組み、成果主義の体制へとシフトした。そして、技術にも投資を行い、社内のプラットフォームを整備した。デジタルツインもそのひとつである。また、パートナーにも変革をお願いした」などと語った。

GEのジェフ・イメルト会長兼CEO

 また、インダストリアルインターネットプラットフォームであるPredixについては、「Azureを使うことで、Predixをオープンにすることができ、多くの人に使ってもらえるようになる。Predixとデータサービスやインフラサービスをつなげて、インダストリアルデジタルソリューションを提供できるようになるし、グローバル化もできる。Microsoftとの関係強化によって、GEはより速く動くことができる。ITからOT(Operation Technology)へと進むことができる」と述べた。

 Predixは、App Sourceからも利用することができるという。

 最後に、聴講している企業経営者に対してのアドバイスとして、イメルト会長兼CEOは、「企業は変わらないといけない。そのためには、技術に投資することが大切である。そして、経営者ひとりではなく、会社全体、社員全員が同じ方針を持って取り組むべきである。将来の鍵は、誰が早くデジタル化を成し遂げるのかにかかっている」とした。

イメルト会長はナデラCEOとの対話形式で話した

 ナデラCEOは、インテリジェントクラウドにおいては、このほかにも、McDonald's(マクドナルド)での導入事例を紹介。ドライブスルーでの注文時の効率化を図るために、Microsoftが提供するコグニティブサービスによって、音声認識や雑音のなかでも聞き取れる環境を実現。オーダーしたものを紙で書きとったり、雑音で聞き取れないという問題を解決し、POSから注文ボタンを押すだけで、忠実に発注でき、正確に商品を提供できるという。

 「コグニティブサービスにおいては、現在、20のAPIを提供しているが、このなかのいくつかを組み合わせることで、インテリジェントな形でサービスを提供できる。すべてのビジネスプロセスが、コグニティブサービスによって変革できる」と述べた。

マクドナルドのドライブスルーではコグニティブサービスを採用