大河原克行のクローズアップ!エンタープライズ
Oracle Global Media Dayで見た、クラウド時代の“成長戦略”
PaaS領域における自律機能の拡張、新たなサポートなどを発表
2018年5月15日 06:00
新たな2つのサポートサービス
Oracle Global Media Dayにおいて、もうひとつ、新たに発表したのが、Oracle Platinum-Level Supportである。
Fusion ERPやEPM、HCM、サプライチェーン、製造、販売、サービスをはじめとするOracle Fusion SaaSアプリケーションを対象に提供するプラチナレベルのサポートであり、これを追加費用なしで提供するという。提供開始は2018年夏の予定だ。
Hurd CEOは、「最高レベルのサポートを標準サポートとして提供するものになる。最もモダンなアプリケーションを最高のレベルでサポートする。これが、デジタル時代の新たなサポートの仕組みであり、今後のSaaS業界の標準になる」と語る。
ベースパッケージでは、24時間365日のテクニカルサポートとテクニカルモニタリングを提供。重大度1の問題に対して15分以内にテクニカルサポートからの回答を受けることができる。
また、Oracle SaaSアプリケーションの導入支援のほか、実装プロセスにおいては、ガイダンスと実地サポートを提供する専門技術者を派遣。機械学習により、技術的問題の診断および解決方法の提案や、顧客の使用事例を分析したビジネスプロセス改善の推奨事項の提案なども行われる。
さらに専用ポータルにおいては、人事や営業、サポートなどの職種にあわせた2000以上にのぼるトレーニングガイドの提供も行うことになる。
一方でアドバンスドサービスと呼ぶ有料の上位サポートも用意。エキスパートによる対応を通じて、業界が持つ特有のビジネス要件への対応や、より深いレベルのサポート、カスタマイズされたサポートを利用できる。
「アドバンスドサービスは、個別にカスタマイズしたサポートであり、必要なサービス内容だけを選択肢、その費用だけを支払えばいい」(カスタマサクセス担当グループバイスプレジデントのCatherine Blackmore氏)とする。
「SaaSの広がりによって、顧客のアプリの活用の仕方が変わり、さまざまな顧客がアプリを活用するようになった。サポートサービスも、より機敏かつ迅速に対応しなくてはならない。テクノロジーを活用するだけでなく、安定した環境で利用することが、顧客のビジネスの成功を支援することにつながる。他社がプラチナやプレミアムとして、サポートをアドオンした際に有料化するのはおかしい。Oracleはそれとはまったく正反対のことを考えた」と、Blackmore氏は、新たなサポート体系を用意した背景を語る。
クラウドによって導入のハードルが低くなり、多くの新規ユーザーを獲得できるようになった一方で、これらのユーザーの流出を防ぐには、手厚いサポート体制が重視されることになるのは明らかだ。
「これまではパートナー企業が行ってきた領域も、Oracleがメーカーとして踏み出すことになる。メーカーであるからこそできるサポートでもあり、パートナーのサポートを補完する協業関係を構築できる」と、Hurd CEOは語る。
だが、パートナーにとっても、この新たなサポート体系がプラスになるのか、マイナスになるのかは未知数。
新たなサポート体制は、顧客に対して大きなベネフィットを提供できる一方で、パートナーの関係にも変化を及ぼすことになりそうだ。