大河原克行のクローズアップ!エンタープライズ
ソラコム創業秘話を玉川社長が語る~福島県喜多方市で會津熱中塾を開催
IT産業関係者が講師で参加する會津熱中塾とは?
2016年9月14日 06:00
次の行動へとつなげることができる「動画力」とはなにか?
一方、「熱中プロジェクトが10倍わかる『動画力』講座」テーマに授業を行ったヒューマンセントリックスの中村社長は、「動画力」をキーワードに、動画が持っている、伝える力の魅力について講義した。
動画力とは、伝えたいものを動画を使って表現し、次の行動をうながす力のことを指すという。
「孫の運動会の映像は30分間見ていても飽きないが、縁が薄い子供の映像は30分間も見ることができない。視聴者と伝えるモノの関係性で、コンテンツを見る際の時間の長さの感覚は異なる」と前置き。
「ネット動画の場合には、つまらないとすぐに離脱することができる。私自身が、これまで1300社、2万本以上の動画を制作した上で感じたのは、ネット動画の場合には、2分以内でなくてはならないということ。2分間に収まる言葉は、文字数にすれば、600文字程度。朝日新聞の天声人語や、読売新聞の春秋などが、この文字数。起承転結もあり、情報も整理された形で伝わる。文字だけでなく、動画が加わると、さらに情報量が増える。また、先に2分間の映像であるということを表示しておかないと、10秒、30秒で離脱されるケースが多い。興味がある人を対象にするのかどうかがわからないときには、ネット動画の時間は2分以内にしておくべきである」とした。
熱中小学校を紹介する動画制作の例を通じて、動画が持つ力についても説明。「動画が伝わる理由は、文字や写真の数千倍以上の情報量をはじめとするコンテンツ力と、時間と場所を超えたネットによる拡散などの伝播力によるものである。思いや熱量を伝えることができ、雰囲気、イメージを伝えることができる」と述べたほか、「動画は、与えられた状況、目的にあわせて、適切に表現できる。動画力によって、時間を縮めることができ、機会が広がり、次の行動を誘引できる」などとした。
さらに、動画力の高いコンテンツに仕上げるテクニックとして、「テーマに沿ってストーリーを見つけること、完成物のイメージを持つこと、愛情や楽しさを持つことが大切。引き出す力、見つける力、切る力、整理する力が必要であり、それによって動画力を持ったドラマを作ることができる」と説明している。
Webサイトで動画をうまく活用する手法に関する質問に対しては、「一般的なサイトのなかに動画を入れると、クリック率が上がる。その際には、事前にそのコンテンツが動画であることを明確に示すこと、動画の時間を表示して、視聴する人とコンセンサスを取っておくことが必要である。無機質なものよりも、人の笑顔の方がクリックされ、さらに、女性の方がクリックされる傾向が強いが、それと関係ない映像だと離脱率が上がる。人を撮影する場合にはアップの方がいい。動画の強みは熱量。それが最も出るのが人。いまは、素材が周りにたくさんある。多くの人が簡単に動画を作れる環境がある」などとした。
「他力創発」という考え方
今回の會津熱中塾は2回目の開催であり、今後、月1回のペースで講座が行われる。また生徒は、50%以上の出席が条件となっているが、忙しい場合には、ネットを通じて参加できる仕組みを用意した。
さらに熱中小学校や會津熱中塾では、「熱中パスポート制度」を新たに導入し、ほかの熱中プロジェクト参加校に、生徒が無料で参加できる制度も実施。講師と生徒の幅広い交流の促進などにも取り組むという。
熱中プロジェクトの基本となっているのは、「他力創発」という考え方。「他力」というと、他力本願の言葉が思い浮かび、あまりいい印象にはとらえにくいが、ここでは、「常にスピード感を持続し、機敏に行動するには、信頼できて価値のある『他力』の才能を、ネットの世界を通して、少しずつ結集することが重要だと考えている。そして今の日本には、『創発』(Emergence)の世界を作り出す、若い人材のための環境デザインと、その提供が最重要なことと考えている。それを支援、実現するための場が、熱中プロジェクトになる」と、熱中小学校の用務員を務めるオフィス・コロボックルの堀田一芙代表は語る。
堀田代表は、かつて日本IBMで常務取締役を務めたほか、PCのマーケティングを統括し、DOS/Vを日本に浸透させた経歴の持ち主だ。
堀田代表が語る、他力創発とは、多くの人の力を結集することで、若い人材を育てるという意味が込められているというわけだ。
熱中プロジェクトは、「他力創発」というユニークに考え方をベースに、地域の活性化を促進しながら、全国規模に活動を広げていくことになる。