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3200万ドルをクラウド調達 ハイブリッド端末「Ubuntu Edge」の挑戦 (PCとスマホのコンバージェンスにニーズはあるか?)

PCとスマホのコンバージェンスにニーズはあるか?

 Ubuntu Edgeは、デュアルブートと、PCとスマートフォンのコンバージェンス(融合)での差別化を図る。デュアルブートはAndroidという安全な選択肢を提供し、新しいOSに懐疑的な層にもアピールできる。コンバージェンスは、スマートフォンとPCを1台の端末に集約する。

 例えば、移動中にスマートフォン上で作業して、会社に戻って画面の大きなデスクトップで作業を続けるなどの利用シナリオが考えられる。デスクトップ側にあるファイルも利用可能で、作業中も通話もできるという。「Ubuntu Edgeは独自の“スーパーフォン”だ。次世代のパーソナルコンピューティングの触媒役となる」とCanonicalは胸を張る。

 だが、スマートフォンとPCのコンバージェンスはUbuntu Edgeが初めてというわけではなく、これまでにも何度か試みがあった。例えば2011年1月にMotorolaがCESで披露した「Motorola Atrix 4G」は、Androidを搭載したスマートフォンをHDMIでPCに接続するとUbuntuベースの「WebTop」が動くというものだ。Astrix 4Gは発表時には話題をさらったが、あまり成果を収めることができなかった。

 GuardianのテクノロジーライターCharles Arthur氏は、Astrix 4Gは「がっかりする体験。使ってみて1日目であきらめた」とし、ビジネスユーザーにアピールするには不十分だったと失敗の原因を分析する。Arthur氏は「携帯電話とPCのコンバージェンスが始まっている。(Ubuntu Edgeにより)これを加速する」というShuttleworth氏のコメントを引用しながら、そのニーズを満たすのはUbuntu EdgeやAstrix 4Gなどのコンバージェンス端末ではなくタブレットだ、と言う。

 Ubuntu Edgeの潜在ユーザーとなる企業ユーザーはすでにスマートフォン、PCを持っている。こうしたユーザーにとって魅力的なのはハイブリッドのUbuntu Edgeではなく、タブレットだというのだ。もちろん、価格から見ても、600ドル以上するUbuntu Edgeよりも、タブレットの方が安価な解決策と言える。

 Wired.comは、Ubuntu Edgeによって企業はPCとスマートフォンを別々に購入する必要がなくなる一方で、端末間の連携ニーズの解決策として開発や実践が進んでいるBYODを指摘する。「PCとモバイル端末のコンバージェンスはまだ実証されていない」とWired.comは述べ、UbuntuEdgeキャンペーンはユーザーがオールインワン型の端末を欲しているかどうかを占う試金石になると見る。

(岡田陽子=Infostand)