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汎用AIエージェント「Manus」 DeepSeekに続く中国発AIの衝撃

人間よりもAIエージェントの方が多くなる

 新たな中国発AIシステムの登場にユーザーは熱狂している。Manusの招待コードは中国内のフリマアプリで売買され、元々の無料に数千ドルの値を付けられたものもある。eBayでも1000ドルという出品が確認された。Business Insiderなどが伝えている。

 同時に、Manusの仕組みが解明しやすかったこともあって、開発者にも大きな刺激を与えた。TechCrunchによると、Manusで採用されている「Browser Use」は3月3日から3月10日までの間に1日のダウンロード数が約5000から2万8000へと5倍以上に増加したという。

 またGitHub上には、Manusのオープンソース版を開発するプロジェクト「OpenManus」が早速立ち上がった。

 Manus側にとっても大きな転機となった。3月11日にはAlibabaとの戦略提携を発表。AlibabaのQwenモデルを活用し、AIエージェント機能を中国のAIモデルやコンピューティングプラットフォームと統合するという。Alibabaは3月6日、DeepSeek R1に性能で匹敵しながら、パラメーター数が32億と少ない推論モデル「QwQ-32B」を発表している。

 AIエージェントは業界の次の主戦場だ。Deloitteは、2027年までにAIを使用する企業の半数がAIエージェントを導入すると予測。Browser Useの共同創設者Gregor Zunic氏は「私たちの考えでは、今年の終わりまでにWeb上にはエージェントが人間よりも多くなるだろう」とTechCrunchに述べている。

 今回、中国のManusが火を付けた格好となったが、米国が遅れているわけではないと専門家はみる。

 AI研究者のDean W Ball氏は、「米国の全ての(ライバル)ラボが同等あるいはそれ以上の機能を裏では持っているのに、規制からのリスク回避のため、それらを出荷していないのでは」とXに投稿している。

 Forbesに寄稿したLutz Finger氏は、その中でこう述べている。「Manusの最大の強みは技術ではない。“メイドイン・チャイナ”であることだ」